勇気のない僕と

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僕の友達はすぐ色んな人に恋をしている。
でも、軽く好きになったわけじゃなく毎回本気で好きになっているのだ。
僕はそんな彼、晴翔の恋を応援するのが好きだし晴翔の色んな人との色んな話を聞くのが楽しくて自分が恋をしているような感覚にもなった。

晴翔は最近また好きな人が出来たらしい。
相手は同じクラスの鈴木さんという人だ。
鈴木さんは普段大人しい感じの子で友達と話してる時にたまにでる笑顔がとても可愛らしいくて気になり始め席が近くなった時に少し話をして好きになったみたいだ。僕は今回の子は心配せず応援できるなと思った。
今まで晴翔が好きになった人はもう彼氏がいる人や先生にまで恋をしていた。絶対叶うはずがないと僕も分かっていたし、晴翔も分かっていたかもしれないけど応援は辞めなかったし告白するまで諦めてもいなかった。
そこが僕が応援したくなるところだった。
叶わないと分かっていても色んなことに一喜一憂して最終的には諦めるんじゃなく当たって砕けるところだ。砕けるという表現をすると毎回振られているような印象になるがその通り毎回振られて砕けていた。
でも、鈴木さんは彼氏もいないようだし普通に同学年の子だったから最初から砕けるということもわかっていないし心配することがなかったのだ。
晴翔は好きになると積極的に話しかけたりするためすごく仲良くなっていた。
それでも晴翔は僕とも仲良くしてくれるから鈴木さんと僕も仲良くなることができた。
たしかに鈴木さんはとっても面白い人だし笑顔が可愛い人だった。


時が過ぎるうちに気づいたら僕は鈴木さんと晴翔と3人でいるようになっていた。
僕は最初は遠慮してた。だって晴翔の好きな人なんだから2人でいた方がいいと思って。
でも、晴翔は無理やりにでも僕にくっついてきた。ほんとに優しくて良い奴だ。
仲良くなるにつれ鈴木さんにもそれが伝わったんだろう。みていればわかる。鈴木さんも晴翔のことが好きになってるはずだ。
僕は本当に邪魔者なのかもしれない。
でも、2人の優しさに甘えてずっと一緒にいた。
そんなある日、晴翔が急に真剣な顔をして僕に
「当たって砕けてくる」と言った。
僕は砕けるわけないの分かっていたけどいつも通り。
「砕けてこい」と言った。
僕が勝手に勘違いして両想いだと思い期待をさせたら嫌だったから。いや、勘違いだと思いたかったのもあるのかもしれない。
僕はいつも通りに教室で晴翔が帰ってくるのを待っていた。いつもだったらしょぼんとして帰ってくるんだ。
でも、今回は違った。僕は勘違いしていたわけではなかったんだ。2人は付き合うことになったらしい。僕は心の底から嬉しかった。だって、ずっと砕けていた晴翔がやっと砕けずにすんだんだから。2人は幸せそうだった。
さすがに付き合い始めたのなら一緒にいるのは気まずい。だから、次の日から2人とは距離を置こうと思った。でも、やっぱり無理だった。
晴翔はもちろん鈴木さんも優しいし今まで通りじゃないなら付き合うのやめるとまで言い出したんだ。2人で付き合う時に決めたことらしい。
そんなことを決めるなんて僕は呆れた。
2人はどんだけ友達思いなんだ、と。


僕はそんなに思ってもらう資格ないのに。
だって、僕は本気で応援できなくなっていたんだから。

あの日2人が幸せそうに戻ってきたのを見た時僕の失恋が確定した。
僕は晴翔みたいに当たって砕ける勇気がなかったんだ。

そんな勇気のない僕はこれからもこの気持ちを隠すから友達としてそばにいさせてくれ。