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第六章
新たなる眷属
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「え!?コリン…コリンって、王太子の?」
蚊の鳴くような囁きが紡いだ言葉。
まさかオンタリオの王子の名を聞くなんて思ってなかった俺は、驚き掌の光の球に問いかけた。
『……….』
だが、土妖精だという光はどんどん弱く、小さくなっていく。「風前の灯」を体現するかのような掌の命に、俺は大いに焦った。
「お、おいお前、大丈夫...じゃないけど大丈夫か?しっかりしろ!」
更に声をかけたが返事は返ってこない。あと少ししたら消えてしまうのは明白な中、ハラハラと見守っていたフゥが悲鳴を上げて俺の仮面に縋りついた。
『マスター!お願いっ、コイツを助けてやって!このままじゃ消えちゃうっ!!』
必死になって仲間を助けて欲しいと懇願する風精霊の焦りが伝染して、俺は出来るだけ沢山の魔力譲渡を試みる。が、いくら流しても光の減退が止まらない。
『何でだ!?フゥは勝手に俺の魔力喰えるってのに…!』
『マスター!コイツ、もう核のカケラしか残ってないのっ!だから魔力を吸い取る力もなくって…』
つまり、死にかけてる重病人にステーキ肉提供しても食えないってアレか!?
そ、そうだよな!そんなん食べたら消化不良で、かえって寿命が縮むよな。……じゃなくて!
ど、どうしよう!こういった場合、俺はどうすればいいんだ!?と、内心狼狽まくってる俺の頬を、いつの間にか首に巻きついていたベルの尾っぽがペチンと叩いた。
『慌ててんじゃねぇバカユキヤ!こういう場合は、そこの羽虫と同じく、『名付け』すんだよ。そうすりゃお前と繋がる事が出来て、勝手に核も修復するだろうが』
「……あ!」
呆れの混じった声にハッとなる。
そうだった。眷属として名付けすれば、例え瀕死な状態でも繋がった主の魔力によって蘇生する事が出来る。
『マスター早くっ!なんでもいいからお願いっ!!』
もはや涙声のフゥに、俺はちょっと回ってなかった頭を叩き起こし、必死に土妖精の名前を考えまくった。
なんでも良いって言っても…。土妖精だから、この世界の言葉で土関係で、何か良いのあったっけ?英語だったら、ソイル?コンポスト?アース?いやいや!ここはやっぱり前世の生まれ故郷、日本ので行こう!えーっと…。
「よしっ、名付けるぞっ!お前の名前は『コノハ』だ!」
『…!!』
与えられた名前が言霊となり、もはや消える寸前だった光の球に吹き込まれる。
「あ……」
俺と「繋がった」と感覚で分かったと同時に、魔力が激しい勢いで光の球に流れ込んでいくのを感じた。
「ぉお…!なんと、これは…!?」
フゥは俺の手の上に浮かんで真剣に成り行きを見守っている。そして状況が見えていなかったザビア将軍も、可視できる様になった掌の光に目を見開いていた。
豆粒だった光球がどんどん大きくなっていき、やがてダチョウの卵位にまで膨らんだ。
それと同時に、魔力の奔流が止まったのを感じ、俺は固唾を飲んでそれを見つめた。
すると、ピシリと亀裂が入る音がして、続いてパァンと光が輝き弾ける。
『ありがと…!ありがとう、キレイなヒト。いえ、マスター!』
フゥよりも低く、落ち着いた声が脳内に響く。
掌の光が消え、代わりに乗っていた小さなモノ。ムーア人みたいに黒くて光沢のある肌と新緑色の髪、そして琥珀色の目を持つ土妖精…いや、コノハだった。
『わーいっ!元に戻ったー!よかったー』
『ちっ、気にくわねぇが成功したか』
はしゃいでコノハの周りを飛ぶフゥと同様、俺も土妖精を救えてホッとする。
ベルの面白くなさそうな声は聞かなかった事にして、嬉しそうに俺を見上げるコノハに「元気になって良かったな」と声をかけてやった。
それにしても。魔獣であれ人であれ、俺に属するのを忌み嫌っていた此奴が、土妖精の眷属を許す...もとい手助けするなんて、一体どういう風の吹き回しなんだ?
『そんなの決まってんだろ。コレが言ってた「コリン」の情報を聴取する為だ』
悪魔公様の「当然だろうが」とばかりの答えにハッとする。
確かにコノハはコリンが友人で、彼を助けて欲しいってつぶやいていた。復活できて喜んでいたコノハも、ベルの言葉を聞いて途端に焦燥を浮かべる。
『マスター…!』
「コノハ。元気になって早々だけど、さっき言っていた王太子の事を…」
『ユキヤ。言っとくが、この羽虫二号を眷属にするのは暫定措置だからな。今夜ケリをつけたら一号共々解除しろよ!』
「ベル…。頼むから口も尻尾も黙っててくれ」
真剣モードになった所にブレない横槍入れるな!そして『分かったか?』とばかりに尻尾でペシペシ頬を叩くな!この狭量大悪魔めが!
蚊の鳴くような囁きが紡いだ言葉。
まさかオンタリオの王子の名を聞くなんて思ってなかった俺は、驚き掌の光の球に問いかけた。
『……….』
だが、土妖精だという光はどんどん弱く、小さくなっていく。「風前の灯」を体現するかのような掌の命に、俺は大いに焦った。
「お、おいお前、大丈夫...じゃないけど大丈夫か?しっかりしろ!」
更に声をかけたが返事は返ってこない。あと少ししたら消えてしまうのは明白な中、ハラハラと見守っていたフゥが悲鳴を上げて俺の仮面に縋りついた。
『マスター!お願いっ、コイツを助けてやって!このままじゃ消えちゃうっ!!』
必死になって仲間を助けて欲しいと懇願する風精霊の焦りが伝染して、俺は出来るだけ沢山の魔力譲渡を試みる。が、いくら流しても光の減退が止まらない。
『何でだ!?フゥは勝手に俺の魔力喰えるってのに…!』
『マスター!コイツ、もう核のカケラしか残ってないのっ!だから魔力を吸い取る力もなくって…』
つまり、死にかけてる重病人にステーキ肉提供しても食えないってアレか!?
そ、そうだよな!そんなん食べたら消化不良で、かえって寿命が縮むよな。……じゃなくて!
ど、どうしよう!こういった場合、俺はどうすればいいんだ!?と、内心狼狽まくってる俺の頬を、いつの間にか首に巻きついていたベルの尾っぽがペチンと叩いた。
『慌ててんじゃねぇバカユキヤ!こういう場合は、そこの羽虫と同じく、『名付け』すんだよ。そうすりゃお前と繋がる事が出来て、勝手に核も修復するだろうが』
「……あ!」
呆れの混じった声にハッとなる。
そうだった。眷属として名付けすれば、例え瀕死な状態でも繋がった主の魔力によって蘇生する事が出来る。
『マスター早くっ!なんでもいいからお願いっ!!』
もはや涙声のフゥに、俺はちょっと回ってなかった頭を叩き起こし、必死に土妖精の名前を考えまくった。
なんでも良いって言っても…。土妖精だから、この世界の言葉で土関係で、何か良いのあったっけ?英語だったら、ソイル?コンポスト?アース?いやいや!ここはやっぱり前世の生まれ故郷、日本ので行こう!えーっと…。
「よしっ、名付けるぞっ!お前の名前は『コノハ』だ!」
『…!!』
与えられた名前が言霊となり、もはや消える寸前だった光の球に吹き込まれる。
「あ……」
俺と「繋がった」と感覚で分かったと同時に、魔力が激しい勢いで光の球に流れ込んでいくのを感じた。
「ぉお…!なんと、これは…!?」
フゥは俺の手の上に浮かんで真剣に成り行きを見守っている。そして状況が見えていなかったザビア将軍も、可視できる様になった掌の光に目を見開いていた。
豆粒だった光球がどんどん大きくなっていき、やがてダチョウの卵位にまで膨らんだ。
それと同時に、魔力の奔流が止まったのを感じ、俺は固唾を飲んでそれを見つめた。
すると、ピシリと亀裂が入る音がして、続いてパァンと光が輝き弾ける。
『ありがと…!ありがとう、キレイなヒト。いえ、マスター!』
フゥよりも低く、落ち着いた声が脳内に響く。
掌の光が消え、代わりに乗っていた小さなモノ。ムーア人みたいに黒くて光沢のある肌と新緑色の髪、そして琥珀色の目を持つ土妖精…いや、コノハだった。
『わーいっ!元に戻ったー!よかったー』
『ちっ、気にくわねぇが成功したか』
はしゃいでコノハの周りを飛ぶフゥと同様、俺も土妖精を救えてホッとする。
ベルの面白くなさそうな声は聞かなかった事にして、嬉しそうに俺を見上げるコノハに「元気になって良かったな」と声をかけてやった。
それにしても。魔獣であれ人であれ、俺に属するのを忌み嫌っていた此奴が、土妖精の眷属を許す...もとい手助けするなんて、一体どういう風の吹き回しなんだ?
『そんなの決まってんだろ。コレが言ってた「コリン」の情報を聴取する為だ』
悪魔公様の「当然だろうが」とばかりの答えにハッとする。
確かにコノハはコリンが友人で、彼を助けて欲しいってつぶやいていた。復活できて喜んでいたコノハも、ベルの言葉を聞いて途端に焦燥を浮かべる。
『マスター…!』
「コノハ。元気になって早々だけど、さっき言っていた王太子の事を…」
『ユキヤ。言っとくが、この羽虫二号を眷属にするのは暫定措置だからな。今夜ケリをつけたら一号共々解除しろよ!』
「ベル…。頼むから口も尻尾も黙っててくれ」
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