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第五章
怪しげな仮面男に?
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「こ、ここからは火竜での移動となります」
「火竜!?」
――最高じゃん!!
一気にファンタジー世界キターって感じだ!
フウの力で浮いたりベルの翼で運ばれたりしたけど。ドラゴンに乗るっていうのは、ゲームやってた奴にとって譲れない憧れナンバーワンなんだよ!
そう、たとえそれが『竜』と名のついたデカいトカゲであったとしても。
だが、俺が血相を変えたのを怒りからと捉えたゲイルガは真っ青になった。
「ヒッ!ご、ご安心を!我が国は古くから火竜を飼いならしております!ですから絶対に危険などはありません!どうかご安心ください!!」
…ベルが無意味に脅しまくってくれたお陰か、俺、こいつに滅茶苦茶怯えられているよな。ま、お陰で将軍や姫に無礼な態度取らないし、貴賓扱いされてるしで実害ないから良いんだけど。
「そうですか。分かりました」
俺の納得した様子にホッとしたのか、ゲイルガはそそくさとこの場を離れた後、うっぷん晴らしか兵士達に無意味な檄を飛ばしまくり始めた。
特に亜人の兵士達に対しては、言葉だけじゃなく足や手も出ている。見てて不愉快なので、分かり易くベルに殺気を飛ばしてもらう。すると再び身体を跳ねさせ、脱兎のごとく逃げ去ってしまった。
『全く…。あれが国の顔である勅使とはね』
まあ、実際どこの国の中枢にもああいった手合いはいるもんだよな。
諸事情で外出すらままならない生活だったけど、魑魅魍魎が跋扈している(と勝手に思っている。そしてそれは当たっていると思っている)社交界に出なくて済んで本当に良かった。きっとああいった手合いに輪をかけた腹黒貴族連中がうようよいる筈だからな。
『それにしても、今度は火竜での移動か…』
うう…ワクワクが止まらない!それに険しい山脈を越えるのに馬車は使えず、山中はもっぱらオーガ逹が担ぐ籠での移動だったから、猶更嬉しい。
あれってかなり揺れるわ、不安定で狭い籠の中だわで地味にキツかったんだよな。俺はともかくシェンナ姫がかなり体力を消耗してしまって可哀想だった。
なので、お付きのメイドさん2人と共に休憩のたびに治癒魔法を掛けてあげてたのだ。「ありがとうございます…」と力無く御礼を言う姿が弱々しくて、何とかならないかと凄くもどかしかった。
俺自身も揺れに辟易してしまい、途中から自分で歩こうとしたのだが。オーガやオーク逹亜人の兵士達が「ならば私(俺)の背に!」と申し出てきてくれた上、誰がその役目を負うかで争奪戦になりかかってしまったから、仕方なくそのまま籠に揺られる羽目になってしまったのだ。
亜人達、見た目に反して気の良い連中が多いな。
ちなみにザビア将軍は俺達を護衛する為と称し、最初から自分で歩いていた。峰を越えた後も疲労の影は見えなかったし、健脚というか体力あるよなと感心してしまう。
そんな山越えの途中、亜人兵士とのやり取りで俺が自分で歩くのを断念したのを見た将軍に、「流石は魅了師殿。敵国の兵士すら容易く懐柔するとは」と感心されてしまった。けれど、当然ながら俺は魅了の力を使ったわけではない。
多分だが、休憩や野営している時に怪我をしていたり、疲弊していたりしている兵士逹を 人間、亜人問わずに治してやっていたから、感謝のお返しなんじゃないかな。
それを言ったら、ザビア将軍が俺をマジマジと見た後で苦笑した。
「いや…、人間の兵士達はそうかも知れませんが。亜人兵達は、純粋に魅了師殿に惹かれているのだと思いますよ?」
「へ?」
この見た目100%怪しげな仮面男に?
「火竜!?」
――最高じゃん!!
一気にファンタジー世界キターって感じだ!
フウの力で浮いたりベルの翼で運ばれたりしたけど。ドラゴンに乗るっていうのは、ゲームやってた奴にとって譲れない憧れナンバーワンなんだよ!
そう、たとえそれが『竜』と名のついたデカいトカゲであったとしても。
だが、俺が血相を変えたのを怒りからと捉えたゲイルガは真っ青になった。
「ヒッ!ご、ご安心を!我が国は古くから火竜を飼いならしております!ですから絶対に危険などはありません!どうかご安心ください!!」
…ベルが無意味に脅しまくってくれたお陰か、俺、こいつに滅茶苦茶怯えられているよな。ま、お陰で将軍や姫に無礼な態度取らないし、貴賓扱いされてるしで実害ないから良いんだけど。
「そうですか。分かりました」
俺の納得した様子にホッとしたのか、ゲイルガはそそくさとこの場を離れた後、うっぷん晴らしか兵士達に無意味な檄を飛ばしまくり始めた。
特に亜人の兵士達に対しては、言葉だけじゃなく足や手も出ている。見てて不愉快なので、分かり易くベルに殺気を飛ばしてもらう。すると再び身体を跳ねさせ、脱兎のごとく逃げ去ってしまった。
『全く…。あれが国の顔である勅使とはね』
まあ、実際どこの国の中枢にもああいった手合いはいるもんだよな。
諸事情で外出すらままならない生活だったけど、魑魅魍魎が跋扈している(と勝手に思っている。そしてそれは当たっていると思っている)社交界に出なくて済んで本当に良かった。きっとああいった手合いに輪をかけた腹黒貴族連中がうようよいる筈だからな。
『それにしても、今度は火竜での移動か…』
うう…ワクワクが止まらない!それに険しい山脈を越えるのに馬車は使えず、山中はもっぱらオーガ逹が担ぐ籠での移動だったから、猶更嬉しい。
あれってかなり揺れるわ、不安定で狭い籠の中だわで地味にキツかったんだよな。俺はともかくシェンナ姫がかなり体力を消耗してしまって可哀想だった。
なので、お付きのメイドさん2人と共に休憩のたびに治癒魔法を掛けてあげてたのだ。「ありがとうございます…」と力無く御礼を言う姿が弱々しくて、何とかならないかと凄くもどかしかった。
俺自身も揺れに辟易してしまい、途中から自分で歩こうとしたのだが。オーガやオーク逹亜人の兵士達が「ならば私(俺)の背に!」と申し出てきてくれた上、誰がその役目を負うかで争奪戦になりかかってしまったから、仕方なくそのまま籠に揺られる羽目になってしまったのだ。
亜人達、見た目に反して気の良い連中が多いな。
ちなみにザビア将軍は俺達を護衛する為と称し、最初から自分で歩いていた。峰を越えた後も疲労の影は見えなかったし、健脚というか体力あるよなと感心してしまう。
そんな山越えの途中、亜人兵士とのやり取りで俺が自分で歩くのを断念したのを見た将軍に、「流石は魅了師殿。敵国の兵士すら容易く懐柔するとは」と感心されてしまった。けれど、当然ながら俺は魅了の力を使ったわけではない。
多分だが、休憩や野営している時に怪我をしていたり、疲弊していたりしている兵士逹を 人間、亜人問わずに治してやっていたから、感謝のお返しなんじゃないかな。
それを言ったら、ザビア将軍が俺をマジマジと見た後で苦笑した。
「いや…、人間の兵士達はそうかも知れませんが。亜人兵達は、純粋に魅了師殿に惹かれているのだと思いますよ?」
「へ?」
この見た目100%怪しげな仮面男に?
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