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第四章
とっかかりは掴めたか
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だけど、俺を襲える直前で強制終了だったもんだからよっぽど悔しかったのだろう。ベル蛇はシャーシャーギャーギャーと喧しく怒鳴り、尻尾をブンブン高速で唸らせ今にも俺を張り倒す勢いだ。
『てめぇユキヤ、さっさとクソエルフの術を解け!そんで続きするぞ!』
「やだよ!誰がするか絶対お断りっ!」
『ふん、よく言うぜ。お前だってノリノリだったくせに』
「う、嘘つくなっ!あれはっ、お前がそー持っていったんだろ?!」
あれだけ淫靡な雰囲気も四散して、ついさっきまでのやり取りが嘘のように消え、ほんの半時間前に戻ってしまった。言い合ってる内に、何だか気が抜けて口が緩んでしまう。
当然そんな俺の態度を気にいるはずもなく、ベルは『笑ってんじゃねぇ!』と牙をシャーッと剥いた。が、悲しいかな。蛇では手も足もないから、噛み付くか威嚇か尻尾打ちしか出来ず。セクハラ行為は不可能と。
結局、どうやって一時的でも術を破れたのか分からないのだから、戻せ解けと喚かれても無理っぽいし。かと言って怒らせたまんまだと、後々不味いよな…。フゥもいるけど、ベルの助力が無くなるのは正直キツイ。
打算計算で「むむむ」と考えて、俺は上半身を起こすとシャーシャー鳴いてるベルを両手で掬い上げる。そして顔を近づけ、唇をコツンとくっつけた。
直ぐに離さず、そのままキスを継続する事15秒ほど。ベルは驚いたように赤い目を見開いたが、噛みつかれもせず動きを止めてじっとしてた。まあ、蛇にとはいえ俺からキスをするのは二回目で、所謂ディープキスだからな。
嗚呼…蛇だけどめっちゃ和む。人型ベルとのディープキスとは全く違って、動悸も息切れもない。
あんだけ俺にセクハラしまくったし、魔力も満タンだろうからこれ以上は要らないだろうけど。これで機嫌直せよって意味も込めたけど、伝わったかな?
『…足りねぇ。元に戻ったら、さっきの続きするからな』
唇を離しても不満たらたらだったが、勢いがトーンダウンしてる。
よし、ベルの機嫌は多少上向いたみたいだ。
「いやだからそれは無理。全力で拒絶するし」
『ふ~ん』
ベルは俺の腕を伝って首に巻きつくと、首筋を鎌首で撫であげるように擦り付ける。さっき手でされたのと同じ動きで。
うっかり声が漏れそうになり、咄嗟に口を噤んだ俺を見上げてベルはふんっと鼻先で笑った。
『よく言う。お前、俺を受け入れかけてたじゃねぇか』
「あ、あれは不可抗力だから!二度目はない!」
考えるに、予想不可な事態に動揺して精神バランスが崩れて誓約が効かなかったんだろう。次から気を引き締めれば…。
あれ?そもそも俺、どうしてベルの顔見たいって思っちゃったんだっけ….?
『この無自覚め…。まぁ、とっかかりは掴めたか….』
考え事をしていると注意散漫になる俺は、ベルが小さく呟いたのに気づかなかった。
兎に角、長い一日だった。濃すぎて疲労を自覚した矢先に今さっきの件だ。流石に疲れたから横にならせろと主張する俺に、ベルは渋々ながら同意した。
『仕方ねぇ、明日ちゃっちゃと解けよ!』と首元で五月蝿いベルをまるっと無視して、俺達は隣部屋の寝室へと移動する。そしてベッドへ到着する直前、不意に聞きたかった事を思い出した。
『てめぇユキヤ、さっさとクソエルフの術を解け!そんで続きするぞ!』
「やだよ!誰がするか絶対お断りっ!」
『ふん、よく言うぜ。お前だってノリノリだったくせに』
「う、嘘つくなっ!あれはっ、お前がそー持っていったんだろ?!」
あれだけ淫靡な雰囲気も四散して、ついさっきまでのやり取りが嘘のように消え、ほんの半時間前に戻ってしまった。言い合ってる内に、何だか気が抜けて口が緩んでしまう。
当然そんな俺の態度を気にいるはずもなく、ベルは『笑ってんじゃねぇ!』と牙をシャーッと剥いた。が、悲しいかな。蛇では手も足もないから、噛み付くか威嚇か尻尾打ちしか出来ず。セクハラ行為は不可能と。
結局、どうやって一時的でも術を破れたのか分からないのだから、戻せ解けと喚かれても無理っぽいし。かと言って怒らせたまんまだと、後々不味いよな…。フゥもいるけど、ベルの助力が無くなるのは正直キツイ。
打算計算で「むむむ」と考えて、俺は上半身を起こすとシャーシャー鳴いてるベルを両手で掬い上げる。そして顔を近づけ、唇をコツンとくっつけた。
直ぐに離さず、そのままキスを継続する事15秒ほど。ベルは驚いたように赤い目を見開いたが、噛みつかれもせず動きを止めてじっとしてた。まあ、蛇にとはいえ俺からキスをするのは二回目で、所謂ディープキスだからな。
嗚呼…蛇だけどめっちゃ和む。人型ベルとのディープキスとは全く違って、動悸も息切れもない。
あんだけ俺にセクハラしまくったし、魔力も満タンだろうからこれ以上は要らないだろうけど。これで機嫌直せよって意味も込めたけど、伝わったかな?
『…足りねぇ。元に戻ったら、さっきの続きするからな』
唇を離しても不満たらたらだったが、勢いがトーンダウンしてる。
よし、ベルの機嫌は多少上向いたみたいだ。
「いやだからそれは無理。全力で拒絶するし」
『ふ~ん』
ベルは俺の腕を伝って首に巻きつくと、首筋を鎌首で撫であげるように擦り付ける。さっき手でされたのと同じ動きで。
うっかり声が漏れそうになり、咄嗟に口を噤んだ俺を見上げてベルはふんっと鼻先で笑った。
『よく言う。お前、俺を受け入れかけてたじゃねぇか』
「あ、あれは不可抗力だから!二度目はない!」
考えるに、予想不可な事態に動揺して精神バランスが崩れて誓約が効かなかったんだろう。次から気を引き締めれば…。
あれ?そもそも俺、どうしてベルの顔見たいって思っちゃったんだっけ….?
『この無自覚め…。まぁ、とっかかりは掴めたか….』
考え事をしていると注意散漫になる俺は、ベルが小さく呟いたのに気づかなかった。
兎に角、長い一日だった。濃すぎて疲労を自覚した矢先に今さっきの件だ。流石に疲れたから横にならせろと主張する俺に、ベルは渋々ながら同意した。
『仕方ねぇ、明日ちゃっちゃと解けよ!』と首元で五月蝿いベルをまるっと無視して、俺達は隣部屋の寝室へと移動する。そしてベッドへ到着する直前、不意に聞きたかった事を思い出した。
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