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第二章
混ざり者
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「ところでさぁ、君」
「え…えっ!?」
いつの間にか彼がすぐ目の前に来ていたのに、全然気が付かなかった。
ウォレンは絶句する俺の顎を掴むとクイッと上向かせ、顔を覗き込んでくる。
「…うん。これは凄い。魅了のスキルが有るとは聞いていたけど、想像以上だ。やはり、混ざりものだからかな?」
「ま…混ざりもの…?」
「魂がね。この世界の波動とは明らかに違う。界を渡って来たんだろう?そりゃあ、これ程のスキルを宿せるほど魂が強くなる訳だ。ベハティ、君ってばとんでもないもの孕んだねぇ」
――この人…。俺が転生者だって…見抜いた?!
「…ウォレン。貴様、もうちょっと言葉を選べ!」
『おい貴様。ユキヤが界渡り者だと?』
俺の正体を見抜かれ動揺していると、ベルが口を出してきた。
腕に巻き付いている黒蛇を映したウォレンの目が、僅かに驚きをもって見開かれる。
「あれ?なにこの蛇。おっかしいなぁ?魔物避けしていたのに、何でここにいるの?」
「あ、こ、この蛇は、俺と契約している精霊で…」
「ふぅん…精霊…。見たところ、黒の精霊…。悪魔かな?下位…に見えるけど、ちょっと違うな。もし下位なら、ここにはそもそも辿り着けないだろう。契約者と言う割に、君との繋がりが妙に希薄だし...。ねぇ君。コレの正体、説明してくれないかな?」
ベルが悪魔だと瞬時に見破ったウォレンは、ニッコリ笑いながら圧をかけてくる。それに気圧されるように、俺はもう何度目かになるベルとの出会から今に至るまでを口早に説明した。
「…うわぁ…。君、見た目はレアものだけど、中身は間抜けだねぇ。召喚術習ってもいないのに『全能召喚』やる馬鹿初めて見た。天然ボケっていうか…親の教育が悪いのかなぁ?」
「………」
うう…。この反応も「馬鹿」呼ばわりも、一体何度目なんだろう。
確かにそう思うけどさ!何もそんなズケズケ言わなくてもいいじゃないか!しかも嫌味とかじゃなくて、本心からそう思って言っているのが分かるだけに、胸に突き刺さるというか…。
「それにさぁ、そんな術者未満にノコノコ呼び出された挙句、そんなちんけな蛇にならなきゃ存在保ってられない契約しちゃった君も君だよね。僕、悪魔公って、もっと頭良いと思っていたから、ちょっとショックだなぁ」
あ、ベルの身体から暗黒オーラが噴き出している。なんか尻尾からコブラが発するような威嚇音も聞こえるし、こりゃ不味い。相当怒っているな。
その時、はぁ…と、疲れたような溜息が聞こえてくる。
「ウォレン。お前、そこまでにしろ。相変わらず空気も建前も何もかも読まない奴だな!」
「はぁ?空気なんて読んで何になるのさ?それに建前なんて面倒くさいもん、クソくらえだね。なにせ僕のモットーは『自分らしく、楽しく、正直に生きる』だし!」
「…だからお前とは一緒にいたくないんだ…。一回同棲した時に懲りた」
お…お母さん。この人のラブコール無視してたって聞いたけど、一回この人とお付き合いした事あるんだ!
それで「こいつ、マジ無理」ってなって別れて、より戻したいこの人がラブコール送ってたって事か。…うん、そうだよね。こんだけ容赦なく正直全開で接せられたら、きっと誰でも心が折れる。俺も折れる自信がある。
「で?ベハティ。その会いたくない僕の所に息子を連れて来たって事は、彼を僕に預けたいって事で合ってるのかな?」
「察しが早くて助かる。まさにその通りだ。ウォレン…いや、『黒の魅了師』よ。私の息子をお前の弟子にしてやって欲しい」
――『魅了師』?何だそれは。
母が口にした言葉に戸惑う俺を見て、ウォレンは面白そうに黒と金の目を細めた。
「え…えっ!?」
いつの間にか彼がすぐ目の前に来ていたのに、全然気が付かなかった。
ウォレンは絶句する俺の顎を掴むとクイッと上向かせ、顔を覗き込んでくる。
「…うん。これは凄い。魅了のスキルが有るとは聞いていたけど、想像以上だ。やはり、混ざりものだからかな?」
「ま…混ざりもの…?」
「魂がね。この世界の波動とは明らかに違う。界を渡って来たんだろう?そりゃあ、これ程のスキルを宿せるほど魂が強くなる訳だ。ベハティ、君ってばとんでもないもの孕んだねぇ」
――この人…。俺が転生者だって…見抜いた?!
「…ウォレン。貴様、もうちょっと言葉を選べ!」
『おい貴様。ユキヤが界渡り者だと?』
俺の正体を見抜かれ動揺していると、ベルが口を出してきた。
腕に巻き付いている黒蛇を映したウォレンの目が、僅かに驚きをもって見開かれる。
「あれ?なにこの蛇。おっかしいなぁ?魔物避けしていたのに、何でここにいるの?」
「あ、こ、この蛇は、俺と契約している精霊で…」
「ふぅん…精霊…。見たところ、黒の精霊…。悪魔かな?下位…に見えるけど、ちょっと違うな。もし下位なら、ここにはそもそも辿り着けないだろう。契約者と言う割に、君との繋がりが妙に希薄だし...。ねぇ君。コレの正体、説明してくれないかな?」
ベルが悪魔だと瞬時に見破ったウォレンは、ニッコリ笑いながら圧をかけてくる。それに気圧されるように、俺はもう何度目かになるベルとの出会から今に至るまでを口早に説明した。
「…うわぁ…。君、見た目はレアものだけど、中身は間抜けだねぇ。召喚術習ってもいないのに『全能召喚』やる馬鹿初めて見た。天然ボケっていうか…親の教育が悪いのかなぁ?」
「………」
うう…。この反応も「馬鹿」呼ばわりも、一体何度目なんだろう。
確かにそう思うけどさ!何もそんなズケズケ言わなくてもいいじゃないか!しかも嫌味とかじゃなくて、本心からそう思って言っているのが分かるだけに、胸に突き刺さるというか…。
「それにさぁ、そんな術者未満にノコノコ呼び出された挙句、そんなちんけな蛇にならなきゃ存在保ってられない契約しちゃった君も君だよね。僕、悪魔公って、もっと頭良いと思っていたから、ちょっとショックだなぁ」
あ、ベルの身体から暗黒オーラが噴き出している。なんか尻尾からコブラが発するような威嚇音も聞こえるし、こりゃ不味い。相当怒っているな。
その時、はぁ…と、疲れたような溜息が聞こえてくる。
「ウォレン。お前、そこまでにしろ。相変わらず空気も建前も何もかも読まない奴だな!」
「はぁ?空気なんて読んで何になるのさ?それに建前なんて面倒くさいもん、クソくらえだね。なにせ僕のモットーは『自分らしく、楽しく、正直に生きる』だし!」
「…だからお前とは一緒にいたくないんだ…。一回同棲した時に懲りた」
お…お母さん。この人のラブコール無視してたって聞いたけど、一回この人とお付き合いした事あるんだ!
それで「こいつ、マジ無理」ってなって別れて、より戻したいこの人がラブコール送ってたって事か。…うん、そうだよね。こんだけ容赦なく正直全開で接せられたら、きっと誰でも心が折れる。俺も折れる自信がある。
「で?ベハティ。その会いたくない僕の所に息子を連れて来たって事は、彼を僕に預けたいって事で合ってるのかな?」
「察しが早くて助かる。まさにその通りだ。ウォレン…いや、『黒の魅了師』よ。私の息子をお前の弟子にしてやって欲しい」
――『魅了師』?何だそれは。
母が口にした言葉に戸惑う俺を見て、ウォレンは面白そうに黒と金の目を細めた。
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