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第一章
魅了の真の力
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「ベリアル。ランスロットには手を出させないわよ」
「…一緒にくたばりたくなけりゃ、そこを退け。四大天使でもない大天使の貴様が、魔王の右腕たる俺に勝てるとでも思ってんのか?」
睨みつける豪炎の双眼を凪いだそれらで受け止めながら、レリエルは口端を釣り上げた。
「確かに、普通だったらそうでしょうね。でもね、私はランスロットの守護天使。この世界に生きる者の守護者として、世界に許容された存在。しかもランスロットと魂の繋がりがある。対してあんたは守護者でも従魔でもない。魂の繋がりも当然ない、ただの契約者。しかも仮初めのね。だからそのボーヤからの魔力供給もほぼないし、この世界における干渉にも制限が発生する。よって、私と今のあんたとの力はほぼ互角って事よ」
「………」
レリアルの言葉を受け、ベルの顔が忌々しげに歪んだ。勢いが僅かに揺らいだ悪魔に、天使は尚も言葉を続ける。
「私とあんたが互角って事は、ランスロットとボーヤとの力の差が、勝敗を決める。……どう?試してみる?」
試す……って、まさか俺とランスロット王子が戦うって事か!?
「う~ん。今のユキヤは弱っているからねぇ。ま、弱ってなくても負ける気はしないかな。そうだね、私の提案を飲まないと言うのなら、気は進まないけど、ユキヤには物理的に消えてもらっちゃおうかな?」
レリエルの背後で、ランスロット王子は飄々としながらまた物騒な台詞を口にした。
ギョッとなるユキヤに、咄嗟に視線を動かせたベルの隙を突くように、ランスロットの碧眼が突如金色に輝いた。
「『縛!』」
途端、無数の光がベルの身体に巻き付くようにして動きを封じる。驚愕に大きく目を見開いたユキヤを楽しそうに見つめ、ランスロットは金に染まったそれらを細めた。
「驚いた?魅了のスキルは、ただ持っているだけでは宝の持ち腐れ。磨けばこうして相手を縛ったり封じ込めたりする事も可能なんだよ。……でも、今の君には無理だねぇ?」
ランスロットは静かに笑っていた。が、その目はまるで笑っておらず、底の見えない冷たい光を浮かべ、ユキヤを見ている。
「貴様……!」
怒るベルの形相は、まさに大悪魔と言わしめるに相応しい程に恐ろしいものだった。が、ランスロットの魅了の力に縛られ、動きがぎこちない。
しかもベルは、先程のレリエルの言葉を否定しようとしなかった。つまり、彼の言ったことは真実だということだ。
それにしても、世界に許容された存在って……?しかもそうじゃないと、魔力供給が無いって、一体どういう事なんだろうか。
――……待てよ。
それじゃあひょっとして、俺がベルと本契約を結べば……って、ちょっと待て!契約の条件って、俺の身体と魂だよな。……駄目だ。無理無理、絶対嫌だ。
「――ッ……!」
だったらもう、これしか選択の余地はない。
「…一緒にくたばりたくなけりゃ、そこを退け。四大天使でもない大天使の貴様が、魔王の右腕たる俺に勝てるとでも思ってんのか?」
睨みつける豪炎の双眼を凪いだそれらで受け止めながら、レリエルは口端を釣り上げた。
「確かに、普通だったらそうでしょうね。でもね、私はランスロットの守護天使。この世界に生きる者の守護者として、世界に許容された存在。しかもランスロットと魂の繋がりがある。対してあんたは守護者でも従魔でもない。魂の繋がりも当然ない、ただの契約者。しかも仮初めのね。だからそのボーヤからの魔力供給もほぼないし、この世界における干渉にも制限が発生する。よって、私と今のあんたとの力はほぼ互角って事よ」
「………」
レリアルの言葉を受け、ベルの顔が忌々しげに歪んだ。勢いが僅かに揺らいだ悪魔に、天使は尚も言葉を続ける。
「私とあんたが互角って事は、ランスロットとボーヤとの力の差が、勝敗を決める。……どう?試してみる?」
試す……って、まさか俺とランスロット王子が戦うって事か!?
「う~ん。今のユキヤは弱っているからねぇ。ま、弱ってなくても負ける気はしないかな。そうだね、私の提案を飲まないと言うのなら、気は進まないけど、ユキヤには物理的に消えてもらっちゃおうかな?」
レリエルの背後で、ランスロット王子は飄々としながらまた物騒な台詞を口にした。
ギョッとなるユキヤに、咄嗟に視線を動かせたベルの隙を突くように、ランスロットの碧眼が突如金色に輝いた。
「『縛!』」
途端、無数の光がベルの身体に巻き付くようにして動きを封じる。驚愕に大きく目を見開いたユキヤを楽しそうに見つめ、ランスロットは金に染まったそれらを細めた。
「驚いた?魅了のスキルは、ただ持っているだけでは宝の持ち腐れ。磨けばこうして相手を縛ったり封じ込めたりする事も可能なんだよ。……でも、今の君には無理だねぇ?」
ランスロットは静かに笑っていた。が、その目はまるで笑っておらず、底の見えない冷たい光を浮かべ、ユキヤを見ている。
「貴様……!」
怒るベルの形相は、まさに大悪魔と言わしめるに相応しい程に恐ろしいものだった。が、ランスロットの魅了の力に縛られ、動きがぎこちない。
しかもベルは、先程のレリエルの言葉を否定しようとしなかった。つまり、彼の言ったことは真実だということだ。
それにしても、世界に許容された存在って……?しかもそうじゃないと、魔力供給が無いって、一体どういう事なんだろうか。
――……待てよ。
それじゃあひょっとして、俺がベルと本契約を結べば……って、ちょっと待て!契約の条件って、俺の身体と魂だよな。……駄目だ。無理無理、絶対嫌だ。
「――ッ……!」
だったらもう、これしか選択の余地はない。
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