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第一章
新たなる召喚師
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――召喚士!?
「じゃあ…。ローレンス王子と同じ…」
「うん。まさかあの子にも召喚士のスキルがあったとは知らなかったよ。顕現した時はちょっとだけ驚いたけど、都合が良いから放置していたんだ」
きっと重大な秘密だろうに、実にあっけらかんと自分のスキルを認めた上、「都合が良かった」と言い切る王子にユキヤは呆気に取られてしまう。
「物心つく頃から、私と比較され続けていじけていたから……反動かな?あんな風に斜め45度に成長しちゃってね。挙句君や弟君に迷惑かけてしまった。でも、今回の騒動であの子は取り返しのつかない代償を払ってしまった……可哀想だけれど、自業自得だし仕方がないかな?」
そう言ってほろ苦く笑ったランスロットには侮蔑も傲慢さもなく、弟への確かな気遣いが伺えた。
ふと思ってしまった。
俺や他の者達に対して尊大に振る舞い、兄であるランスロット王子に不遜な言動を取っていたローレンス王子。
周囲に優秀な兄と比較され続け、更に異母兄弟という複雑な事情のせいで歪んでしまっただけで、もしかしたら……昔は割りかし仲の良い兄弟だったのかもしれない。
でもそれは、俺の願望が多分に含まれた想像でしかない。本当の所は、本人達にしか分からない領域なのだ。
その後、彼は自分の事を色々話してくれた。
曰く、レリエルは妊婦の守護天使として、ランスロット王子が母親の腹の中にいる時から見守っていたのだそうだ。
そうして彼は、幼児だったランスロットが自分を認識している事。そして魅了の力が備わっている事を知り、既に情が移っていた彼を守る為に守護天使となったのだそうだ。
「私は元々、王位だの権力闘争などに興味無かったから、幼い頃から魔力無しを装っていたんだ。レリエルはそんな私の願いを聞き、魔力を封じ込めてくれていたんだよ。お陰で誰もが私の魔力無しを信じて疑わなかった」
「そうそう!そこのベリアルみたいに従魔なんて下僕になった訳じゃないのよ~?昼夜問わず、ランちゃんを守護してあげている、ありがたーい大天使様なの。ユキちゃん、そこら辺間違えないでね?」
「んだとテメェ!」と牙を剥くベルに構わず、オカマ天使がバチンとウィンクしてくる。ってか、誰がユキちゃんだ!誰が!
う~ん…それにしても。これが本物の女性だったら、凄く嬉しかったんだけどなぁ……。ローレンス王子にしろレリエルって天使にしろ、俺ってとことん女運ないんだな……悲しい。
「誰が従魔だ!俺はこいつと契約してやってるだけだ!」
「え?!そうなの?」
何故か驚いているランスロット王子に、俺はコクリと頷いた。
「本当です。しかも仮契約だから、死なない程度にしか守ってくれません」
「やっだー!ベリアルのケチ!サイテー!ねぇ君、やっぱ私に乗り換えた方が良いわよ?今ならキスし放題でランちゃん並みの守護をお約束しちゃう?」
「いえ、遠慮します」
バッサリ切り捨てた俺に、レリエルは身体をめっちゃ捩って(身体柔らかいなー)身悶えた。
「えぇ~!超破格なのにぃ~!」
オカマ天使が何やらあれこれ自分お得ですよアピールを始めたが、そもそも俺、別に召喚士になりたかった訳じゃないし、ベルだって好きで召喚した訳では無い。
決闘が終わった今、出来れば仮契約も解除して、とっとと魔界に帰って欲しいぐらいだ。
なのに、なんで見た目美女に見えるオカマ天使と契約した挙句、キスされ放題なんて罰ゲームに等しい犠牲を払わなければならないんだよ!?
「おいユキヤ、てめぇ何考えてやがる?!」
俺の考えを見通してか、超不機嫌顔のベルがまた俺の頬を左右思いっ切り引っ張りやがった。いててて!!離せ!この暴君!!
その時だった。アハハハ…と、本当に楽しそうなランスロット王子の笑い声が響いた。最初会った時にも思ったが、本当に笑い上戸な人だよねこの王子様。
「あー、本当に君っておかしい!それだけの美貌を持っているのに、ちっとも気取ったとこないし、悪魔も天使も魅了する程の魔力と魂を持っているのに、彼らをどうこうしようと考えもしない程に無欲だし!本当、私の周囲にはいなかったタイプだなぁ……。増々気に入った!」
「はあ……。どうも」
これって、褒められた……んだよな……多分。
「という訳で、やっぱり君には消えて貰わないといけないなぁ」
ニコニコ顔で朗らかに言い放たれた爆弾発言に、俺の脳内は急速冷凍された。
「じゃあ…。ローレンス王子と同じ…」
「うん。まさかあの子にも召喚士のスキルがあったとは知らなかったよ。顕現した時はちょっとだけ驚いたけど、都合が良いから放置していたんだ」
きっと重大な秘密だろうに、実にあっけらかんと自分のスキルを認めた上、「都合が良かった」と言い切る王子にユキヤは呆気に取られてしまう。
「物心つく頃から、私と比較され続けていじけていたから……反動かな?あんな風に斜め45度に成長しちゃってね。挙句君や弟君に迷惑かけてしまった。でも、今回の騒動であの子は取り返しのつかない代償を払ってしまった……可哀想だけれど、自業自得だし仕方がないかな?」
そう言ってほろ苦く笑ったランスロットには侮蔑も傲慢さもなく、弟への確かな気遣いが伺えた。
ふと思ってしまった。
俺や他の者達に対して尊大に振る舞い、兄であるランスロット王子に不遜な言動を取っていたローレンス王子。
周囲に優秀な兄と比較され続け、更に異母兄弟という複雑な事情のせいで歪んでしまっただけで、もしかしたら……昔は割りかし仲の良い兄弟だったのかもしれない。
でもそれは、俺の願望が多分に含まれた想像でしかない。本当の所は、本人達にしか分からない領域なのだ。
その後、彼は自分の事を色々話してくれた。
曰く、レリエルは妊婦の守護天使として、ランスロット王子が母親の腹の中にいる時から見守っていたのだそうだ。
そうして彼は、幼児だったランスロットが自分を認識している事。そして魅了の力が備わっている事を知り、既に情が移っていた彼を守る為に守護天使となったのだそうだ。
「私は元々、王位だの権力闘争などに興味無かったから、幼い頃から魔力無しを装っていたんだ。レリエルはそんな私の願いを聞き、魔力を封じ込めてくれていたんだよ。お陰で誰もが私の魔力無しを信じて疑わなかった」
「そうそう!そこのベリアルみたいに従魔なんて下僕になった訳じゃないのよ~?昼夜問わず、ランちゃんを守護してあげている、ありがたーい大天使様なの。ユキちゃん、そこら辺間違えないでね?」
「んだとテメェ!」と牙を剥くベルに構わず、オカマ天使がバチンとウィンクしてくる。ってか、誰がユキちゃんだ!誰が!
う~ん…それにしても。これが本物の女性だったら、凄く嬉しかったんだけどなぁ……。ローレンス王子にしろレリエルって天使にしろ、俺ってとことん女運ないんだな……悲しい。
「誰が従魔だ!俺はこいつと契約してやってるだけだ!」
「え?!そうなの?」
何故か驚いているランスロット王子に、俺はコクリと頷いた。
「本当です。しかも仮契約だから、死なない程度にしか守ってくれません」
「やっだー!ベリアルのケチ!サイテー!ねぇ君、やっぱ私に乗り換えた方が良いわよ?今ならキスし放題でランちゃん並みの守護をお約束しちゃう?」
「いえ、遠慮します」
バッサリ切り捨てた俺に、レリエルは身体をめっちゃ捩って(身体柔らかいなー)身悶えた。
「えぇ~!超破格なのにぃ~!」
オカマ天使が何やらあれこれ自分お得ですよアピールを始めたが、そもそも俺、別に召喚士になりたかった訳じゃないし、ベルだって好きで召喚した訳では無い。
決闘が終わった今、出来れば仮契約も解除して、とっとと魔界に帰って欲しいぐらいだ。
なのに、なんで見た目美女に見えるオカマ天使と契約した挙句、キスされ放題なんて罰ゲームに等しい犠牲を払わなければならないんだよ!?
「おいユキヤ、てめぇ何考えてやがる?!」
俺の考えを見通してか、超不機嫌顔のベルがまた俺の頬を左右思いっ切り引っ張りやがった。いててて!!離せ!この暴君!!
その時だった。アハハハ…と、本当に楽しそうなランスロット王子の笑い声が響いた。最初会った時にも思ったが、本当に笑い上戸な人だよねこの王子様。
「あー、本当に君っておかしい!それだけの美貌を持っているのに、ちっとも気取ったとこないし、悪魔も天使も魅了する程の魔力と魂を持っているのに、彼らをどうこうしようと考えもしない程に無欲だし!本当、私の周囲にはいなかったタイプだなぁ……。増々気に入った!」
「はあ……。どうも」
これって、褒められた……んだよな……多分。
「という訳で、やっぱり君には消えて貰わないといけないなぁ」
ニコニコ顔で朗らかに言い放たれた爆弾発言に、俺の脳内は急速冷凍された。
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