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第一章
アンデッド系出ちゃった
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『…土属性の弱点は風属性だ』
防御結界でロックベアーの攻撃を防ぎながらテンパっていた俺の脳裏に、面倒くさそうなベルの声が響いた。あ、そうか。そういや砂漠とかって、元々岩とか山とかが風化して出来たんだっけ。
ならば炎魔法と氷魔法を使い、人工的に急激な日射風化を起こせれば…。
俺はロックベアーが爪を振り上げるタイミングで防御結界を解き、上空へと跳躍する。
そしてロックベアーの振り下ろした爪が石畳を破壊して床にめり込んだ瞬間、ロックベアーに向けて火炎魔法を浴びせさせた。
炎魔法は最も扱いやすいものの一つだったから、コントロールが可能になった現在、炎を出すだけなら詠唱無しでも出来る。
最大出力で放った炎は、ロックベアーの全身を炎で包み込んだ。
「ユキヤ!ロックベアーの毛皮は炎を通さないぞ!」
誰かの助言が聞こえてくるが、そんな事は分かっている。
地面に着地した俺は炎を受け、身体を溶岩のように真っ赤に染め上げて怒りの咆哮を上げているロックベアーに向き直った。
『冬を統べし白銀の女王。漏れたる吐息を氷と化し、青き大地を白き凍土へと変えよ!“絶対零度”』
詠唱と共に、ロックベアーに氷魔法を叩き付ける。
すると、マグマのように赤く燃えていた毛皮が一瞬で薄い氷の膜に覆われた。
急激な加熱膨張と放射冷却により、ロックベアーの身体に無数の亀裂が入る小さな音が聞こえてきた。
『よし、今だ!』
一か八か。
俺は両手の双剣を構えると、風魔法を纏わせる。そして自身への度重なる攻撃呪文に身動き出来ずにいたロックベアーへと渾身の力でもって切りつけた。
――グォォオオアー!!
断末魔の咆哮を上げながら、俺の一撃を受けた場所からロックベアーの身体がボロボロと崩れ落ちていき、先程のアイシングウルフ同様、霧散し消滅した。
「ふぅ…。悪い、ベル。助かった」
先程よりも大きな歓声が上がる中、流石に肩で息をしながら俺は服の中にいるであろうベルへと感謝の言葉をかけた。
『気が向いただけだ。…それにしてもお前、実戦経験がないにもかかわらず、よくもまあ咄嗟に、ああいったえげつない攻撃方法を思いつくもんだな』
ええっ?!あれ、そんなにえげつなかったかな?で、でも命がかかってれば、あれぐらいやるだろ普通。それにしても俺、たまたま理系が得意で助かった。
「ア…アイシングウルフだけでなく、ロックベアーまで…!そんな…」
ローレンス王子が呆然といった風に呟く。明らかにショックを受けている様子だ。それじゃあもしかして、これで従魔打ち止めかな?!
「クッ…!ならば、これならどうだ!『奈落に沈みし朽ちたる英雄。黄泉の眠りより目覚め、我の元に集え!死霊騎士!』」
再び王子の足元が発光し、その中から五体の死霊騎士達が出て来た。
肉体の無い骨格に鎧をまとい、ボロボロの剣と盾を装備した死霊騎士達は、物言わぬ口をカタカタと鳴らしながらこちらをぽっかりと空いた黒い空洞の目で見つめている。
…ハッキリ言って滅茶苦茶不気味だ。周囲にいる観客達も口々に恐怖の悲鳴を上げている。
う~ん。幻獣系の次に出て欲しくなかった死霊系が出てしまったか…。
『あいつらごとき雑魚、臆する事は無い。そもそもあいつらが厄介なのは、聖魔法以外完全消滅が難しいというだけで、攻撃力で言えば先程の魔獣どもの方が余程手ごわいぞ』
「あのなぁ!そもそも俺は聖魔法が使えないんだよ!それに物理的にもあの数相手は流石にキツイ!」
『だったら、元を叩け。あの召喚者である王子とやらを殺せば従魔も消える』
「それが出来ないから、こうしてせっせと戦ってるんだろうが!」
ベルと言い争っている間にも、死霊騎士達は次々と襲い掛かってくる。俺は慌てて防御結界を張りながら、まずは最初に襲い掛かってきた一体を倒した。
骸骨の骨がバラバラになって地面に落ちる。だが次の瞬間、骨は自動的に元の姿へと組み上がり、再び襲い掛かってきた。
そう、これが死霊系の厄介な所だ。
こいつらは一度死んでいるから、再び死ぬ事は無い。こうして壊しても、浄化しない限り再び元の姿に戻って襲い掛かってくるのだ。いわゆるゾンビゲームのゾンビと同じ。
確かに力で言えば魔獣には劣るが、この不滅性が最高に厄介な相手なのだ。
『…確かにこんなモンちまちま相手にしてるの見ててもつまらんな。おい、お前の両親から貰ったエメラルドがあるだろう。それを千切り持て』
つまる、つまらないの問題じゃない!…と文句を言いたかったが、それをグッと堪え、ベルに言われた通り胸元で煌めいている碧の宝石をむしり取った。
防御結界でロックベアーの攻撃を防ぎながらテンパっていた俺の脳裏に、面倒くさそうなベルの声が響いた。あ、そうか。そういや砂漠とかって、元々岩とか山とかが風化して出来たんだっけ。
ならば炎魔法と氷魔法を使い、人工的に急激な日射風化を起こせれば…。
俺はロックベアーが爪を振り上げるタイミングで防御結界を解き、上空へと跳躍する。
そしてロックベアーの振り下ろした爪が石畳を破壊して床にめり込んだ瞬間、ロックベアーに向けて火炎魔法を浴びせさせた。
炎魔法は最も扱いやすいものの一つだったから、コントロールが可能になった現在、炎を出すだけなら詠唱無しでも出来る。
最大出力で放った炎は、ロックベアーの全身を炎で包み込んだ。
「ユキヤ!ロックベアーの毛皮は炎を通さないぞ!」
誰かの助言が聞こえてくるが、そんな事は分かっている。
地面に着地した俺は炎を受け、身体を溶岩のように真っ赤に染め上げて怒りの咆哮を上げているロックベアーに向き直った。
『冬を統べし白銀の女王。漏れたる吐息を氷と化し、青き大地を白き凍土へと変えよ!“絶対零度”』
詠唱と共に、ロックベアーに氷魔法を叩き付ける。
すると、マグマのように赤く燃えていた毛皮が一瞬で薄い氷の膜に覆われた。
急激な加熱膨張と放射冷却により、ロックベアーの身体に無数の亀裂が入る小さな音が聞こえてきた。
『よし、今だ!』
一か八か。
俺は両手の双剣を構えると、風魔法を纏わせる。そして自身への度重なる攻撃呪文に身動き出来ずにいたロックベアーへと渾身の力でもって切りつけた。
――グォォオオアー!!
断末魔の咆哮を上げながら、俺の一撃を受けた場所からロックベアーの身体がボロボロと崩れ落ちていき、先程のアイシングウルフ同様、霧散し消滅した。
「ふぅ…。悪い、ベル。助かった」
先程よりも大きな歓声が上がる中、流石に肩で息をしながら俺は服の中にいるであろうベルへと感謝の言葉をかけた。
『気が向いただけだ。…それにしてもお前、実戦経験がないにもかかわらず、よくもまあ咄嗟に、ああいったえげつない攻撃方法を思いつくもんだな』
ええっ?!あれ、そんなにえげつなかったかな?で、でも命がかかってれば、あれぐらいやるだろ普通。それにしても俺、たまたま理系が得意で助かった。
「ア…アイシングウルフだけでなく、ロックベアーまで…!そんな…」
ローレンス王子が呆然といった風に呟く。明らかにショックを受けている様子だ。それじゃあもしかして、これで従魔打ち止めかな?!
「クッ…!ならば、これならどうだ!『奈落に沈みし朽ちたる英雄。黄泉の眠りより目覚め、我の元に集え!死霊騎士!』」
再び王子の足元が発光し、その中から五体の死霊騎士達が出て来た。
肉体の無い骨格に鎧をまとい、ボロボロの剣と盾を装備した死霊騎士達は、物言わぬ口をカタカタと鳴らしながらこちらをぽっかりと空いた黒い空洞の目で見つめている。
…ハッキリ言って滅茶苦茶不気味だ。周囲にいる観客達も口々に恐怖の悲鳴を上げている。
う~ん。幻獣系の次に出て欲しくなかった死霊系が出てしまったか…。
『あいつらごとき雑魚、臆する事は無い。そもそもあいつらが厄介なのは、聖魔法以外完全消滅が難しいというだけで、攻撃力で言えば先程の魔獣どもの方が余程手ごわいぞ』
「あのなぁ!そもそも俺は聖魔法が使えないんだよ!それに物理的にもあの数相手は流石にキツイ!」
『だったら、元を叩け。あの召喚者である王子とやらを殺せば従魔も消える』
「それが出来ないから、こうしてせっせと戦ってるんだろうが!」
ベルと言い争っている間にも、死霊騎士達は次々と襲い掛かってくる。俺は慌てて防御結界を張りながら、まずは最初に襲い掛かってきた一体を倒した。
骸骨の骨がバラバラになって地面に落ちる。だが次の瞬間、骨は自動的に元の姿へと組み上がり、再び襲い掛かってきた。
そう、これが死霊系の厄介な所だ。
こいつらは一度死んでいるから、再び死ぬ事は無い。こうして壊しても、浄化しない限り再び元の姿に戻って襲い掛かってくるのだ。いわゆるゾンビゲームのゾンビと同じ。
確かに力で言えば魔獣には劣るが、この不滅性が最高に厄介な相手なのだ。
『…確かにこんなモンちまちま相手にしてるの見ててもつまらんな。おい、お前の両親から貰ったエメラルドがあるだろう。それを千切り持て』
つまる、つまらないの問題じゃない!…と文句を言いたかったが、それをグッと堪え、ベルに言われた通り胸元で煌めいている碧の宝石をむしり取った。
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