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1章

変わらぬ友人

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忙しい昨日を熟して、またのんびりとした朝を迎えた。
朝食はパンケーキと昨夜の残りのミネストローネだ。
ミネストローネには輪切りのシャウエッセンが入っていて、その塩気と旨味が舌を打って病みつきになる。
所謂、お袋の味というものである。
ミルクココアとパンケーキが、メインからデザートに格下げだ。

「相変わらず、よく食べるわねー……。」
呆れたように母が、私を見て笑った。
「だってこれ、私が好きなの知ってるでしょ?」
「知ってるけど、朝から二杯目よ?」
「良いじゃん……今日は課題のために、キャンパスに行くんだから、カロリー摂っとかないと!」
私は言い返しながらも、構わずに食べ続けた。

昨日の課題で、幾つか確めたいことがあった。
方向性は決まった。
昨日でも、結構いい出会いに恵まれて、色んなヒントを得ることができた。
初めにしては、大収穫だろう。
キャンパスへの登校は昼からなので、そのままのんびりと、思いを馳せながら朝食を続けられる。
私はミネストローネを飲み終えると、パンケーキの蜂蜜に口を満足させた。


十一時になり、私は身支度を終えて、バス停に向かった。
偶然にも古い友人を見かけて、声を掛ける。

「あ、眞緒じゃん!」
「ん……あー、美乃じゃん…久しぶり~!」
相手の名前は、寺子眞緒(22)同級生で、お互いに下の名前を呼び捨てにしあう仲だ。
「元気してた?」
「うん…そっちは仕事の方、順調か?」
「えへへ……個展が決まったんだよ。」
「へ~、良いじゃん。」
「今度、チケット渡すね。」
「いつになるのやら……。」
「今度の十二月上旬だから、結構近日だよ?」
「なら暇だし、行くわ。」
お互いに近況を話していると、冷ややかな目で近寄ってくる影が見えた。

「あんたら……私抜きでイチャイチャしてるんじゃないよ。」
「おいおい、カップルじゃないんだから……。」
「そうだよ……みっちゃんは恋人いるでしょ?」
みっちゃんこと、金野充希(21)こちらも同級生で、共通して毎日の様に連絡をしあう、所謂ルーターみたいな存在だ。
「美乃…あんたさ~、私がそいつと喧嘩中なのは知ってるでしょ?」
「えー……いっつもの事じゃん!」
「コラコラ……それ以上言うと、豆腐メンタルのみっちゃんが拗ねるでしょ?」
みっちゃんが怒って、私が弄って、それを便乗しながら眞緒が宥める。
イツメンでの、いつものやり取りだ。
「そういえば、さっきの本当?」
「あー、個展の事?」
「そうそう、私も行ってみたい。」
「なら、一緒に行こうか?」
「お、じゃあ宜しく!」
「イエ~イ!」
みっちゃんも、個展に訪れることが決定し、三人で笑いあった。

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