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序章「邂逅」

眠れない夜明けを迎えた

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私は、七川摩天:23才。
一応は、性別は『男性』なのだが、私自身、性別がない。
性格には、自覚している性別は、男性でも女性でもないし、逆に言えば、両方でもある。
私は、『Xジェンダー』なのだ。
つまり、所謂『中性』や『無性』、『両性』と言われることが多い、性別違和の人間である。

私は、基本的にレディースの服を着ることが多い。
その上で、あまり女性らしくなり過ぎず、男性でも違和感が無いような、服装をしている。
髪も長めではあるが、女性としては少し短め。
ショートボブに近い髪形で、普段からメイクをして出かけている。
顔も、元から中性的と言われるが、男性と過ごすことが多いからか、頻繁に「女の子だよね」と言われる。
だけど、周囲は、『都合よく触れる女性』というような扱いと認識をしているようで、頻繁に体の至る所を触ろうとしてくる。
当然、いい歳をして、それをするということはセクハラである。
しかし、私が相手に訴えても、イマイチ響かないし、理解もできていないようだ。
反対に女性の方に行くと、男性ということもあってか、話しかけても敬遠されてしまう。
正直なところ、どうすればいいのか分からない。
友達がいない訳ではない。
2~3人程度と、少なくはあるが、親しい仲ではある。
他の人と少し違うのは、それが男女混合で集まって、遊びに行くときは、どちらかで集まるというもの。
つまり、女子会と男子会が、別々で行われるというのだ。

そんな私に、人生の転機が訪れたのだ。
それが、昨夜の告白だ。
長身で、ややイケメンの同僚……。
私が見ても、別に悪くない話なのかもしれない。
私自身、パンセクシャルだ。
でも、だからこそ、どちらにも興味がない。
恋愛は、お互いのフィーリングでも合わない限り、自分から行く必要がある。
告白されるのが、一番困る。
彼が、そういう素振りを、見せたことはあった。
入社して、2週間目に変な男性同期に、執拗に絡まれてセクハラを受けていた。
それを、同期との間に入って、庇ってくれたのだ。
彼の少しガテン系な雰囲気に圧倒されて、その同期は去っていった。
それでも、彼のことは同僚という以外は、見れないし、それ以上には好きに離れない。
一晩悩んだが、やはり無理だ。
気まずいが、フッてしまおうと思う。
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