詩集『刺繡』

新帯 繭

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ハニートラップ

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恋愛とは怖いものだ
人の好意は見えないもの
もし人の好意が見えたのならば
きっと何もかもが退屈になる
好きだと秘かに思うのも
嫌われているかと怯えるのも
人生で少しは楽しみをくれる
大事な刺激を与えてくれる

好きという気持ちが蜂蜜ならば
それはきっと甘すぎる
もっと酸味があって
もっとパンチがある味がするだろう
ただ甘ったるいだけならば
それはきっと恋じゃない

それが蜂蜜だったならば
きっとその恋は罠だろう
罠だと分かっていながらも
その一時に溺れていたい
溺れていっその事溶けてしまいたい

それはまるで蜂蜜のように
エスプレッソのような熱くて濃い
そんな滅多に無い甘美な体験に
私たちは酔い痴れたいのだ
まるで蜂蜜の罠にかかる蜂のように
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