詩集『刺繡』

新帯 繭

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春の風は病みを運ぶ

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いつの歴史もヒトは病との戦争だ
何かに付けては風邪や怪我に悩まされる
春は病が大袈裟に暴れる
冬に弱るヒトに対して病は活力が溢れる
ヒトと病が丁度いい時期に
まるで株価のチャートの様に
春の季節に重なって病が勝つのだ

ヒトはまた冬に向けて武装を始める
科学で戦闘態勢に入るのだ
それは失敗の連続である
それは必然なのだが
他人任せで市民は怠惰に非難をする
そんなことだから病との戦は終わらない

聖戦として拳を掲げようが
和平交渉に切り替えようが
結局病に勝てないのだ
他力本願で病との戦いに臨むなら
自分を律して深く考えること
その上で責任をきちんと負うことで
自由を謳歌するべきだ
春の風は病みを運ぶ
そこで表れるのは人の怠惰だ
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