詩集『刺繡』

新帯 繭

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私の憧れ
なりたいとは思わないが
そうありたいと思う存在
男に生まれた故にとても遠く
喉から手が出るほどに欲しい要素
私に足りない全てを持っている

『女』というだけで
服装も遊びも行事も
何もかもが充実して見える
私は元々どちらでもない
男でも無ければ
況してや女でもない

それでも女の子の遊びが好きだ
服も女の子のように充実したい
メイクして綺麗な顔を作りたい
喫茶店でワチャワチャ燥ぎたい
自由でゲームみたいな恋愛も……
男は皆一度ぐらい憧れるらしい

私は女の子と遊んでいるときが
本当に素でいられて楽しい
しかし女の子でいる気はない
女の子と間違えられることは
そう吝かではないが不本意
かと言って男でいることは嫌
もっと自由でいたいのだ

しかし結局落ち着く先は
『女の子っぽい』止まり
逆に言えばそういうことは
『女』というだけで
世間は寛容になるのだろう

女に乱暴する奴は
きっと碌でもないのだ
そう教わってきたが
世間は言うだけ言って
そう思ってはいないのだ

私は母を始めとして
全ての女性に優しくありたい
自分も女の一面を借りて
日常を楽しく生きているのだから

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