詩集『刺繡』

新帯 繭

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カクテル

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宝石のような色をした
ジュースのような味わいの
『お酒』
最近はノンアルコールがあって
殆どジュースと同じだ
ただ成人以外が頼むと
白い目で見られるだけだ

『お酒』は英語で
『liquor』『booze』『sake』
『alcohol』ともいうが
これは『エチルアルコール』
可燃性の有機物のことだ
正確には『お酒』ではない

酔わなけりゃ酒じゃないとは
誰が言い出したのだろう
『お酒』はアルコールも
味わいに一役買っている
しかし結果的な副産物に過ぎない
何れも高い鼻を抜ける香と
苦みや渋みを含んだ独特のフレーバー
これらを混然一体として
相応の作法を用いて
口と鼻で戴くものだ

ノンアルコールカクテルも
立派な『お酒』である
ただ味覚からの印象で
ジュースの扱いを受けているだけだ
我々が勝手に
一人前の職人を
ジャンルや作風を見ただけで
半人前と評価しているのと同じ

カクテルは大変だ
作る側も作法と技術が不可欠だ
その為の修行が一生続く
お酒の言葉や意味の知識も要る
人間は『お酒』に命を懸けてきた
彼のジャックダニエルも
ウイスキーに生涯を掛け
酔っぱらって金庫を蹴ったのが
亡くなる原因となったのだ

『食』の文化も酒ありきだ
大人は酒が無けりゃ生きられない
情けない弱弱しい生き物だ
そんな大人が嫌ならば
若人子どもたちよ
『食文化』を大事にしていってくれ
酒が無くても楽しい食文化を
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