詩集『刺繡』

新帯 繭

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『男』って何だろう
そういった疑問は誰が抱くか
きっと本人達だろうか
それとも
それ以外の人たちだろうか
疑問に思わず
漠然と受け入れているのだろうか
私は受け入れてはいない
受け入れられないのだ
誰かが私を
『男だ』と指をさしたところで
どういった根拠で言っているのか
それさえはっきりさせないのでは
到底納得する気はない

『男』の文字は
『田』に『力』だ
元々中国で
田畑の担い手として
力仕事を任せられたのが
源流と言われている

私は『田畑』で一時期力仕事もしたが
それは学生時代の話であって
そんなことは今の世の中では
『女』もやっていることである
よって
私が『男』である絶対的な要素は
この部分では全否定される

『生まれ持った身体がものをいう』
そう言われればそうだ
しかし現代では
『男』で生まれて
『女』で生きているひとは
凡そ星の数ほどいる
私はその限りではないが
自分のことを
『男』だとは思ってもいない

『男』であるか
『女』であるか
そういった考えは古すぎる
もう化石どころか
絶滅する一歩手前だ
もう限界を迎えている
世の中には当てはまらず
プリズムのように
性別がなだらかに
色分けされてきている

『男』を青として
『女』を赤とするならば
その間にある紫もあれば
黄色も橙も緑も
黒や白さえあるのだ
一体誰が決めたのだろうか

『男』とは
『男たるもの~』というように
きっと自分の心が決めるもの
例えLGBTQでなくたって
自分を違う性別と思っているならば
それは本当の自分なのだ

『男たるもの
他人に押し付けるよりも
素直に受け入れて
自分に問いかけるべし」
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