詩集『刺繡』

詩

音楽

無いと寂しいもの
嫌いな人もいるだろう
苦手な人も多い

だけど生まれ付き
機能としては
みんな持っているものなんだって
音痴だって
本当は『先天性音楽機能障害』というらしい

音楽が苦手で
習わされそうになると逃げ惑い
学校の授業では過度な期待
私は音痴で生まれて
家は音楽一家だった
その所為で
歌の音が合わないと
小学校ではずっと居残りだった
私は音楽が嫌いになった

だけど好きな歌手はいた
聴いて落ち着く曲もあった
ロックやフォークやラップのような
ファンキーで尖った曲が好きだった
小さい頃から
クイーンやイーグルス
アバやカーペンターズ
ビリージョエルやa-ha
マイケル・ジャクソンの曲を
車の中で聴いて寝ていた

初めて買ってもらったCDは
ゾーンと平井堅
ゾーンは解散まで
ずっとドハマりして聴いていた
私にとっての音楽は
少しいいものになっていた

大きくなってからも
プリンスやジミヘン
エアロスミスやワム
アヴリル・ラヴィーンなんかを
楽しく聴いていた
高校になると授業でも
ステージに立って
コーラスで歌ったりもした
この頃は自分でも
ガールズロックバンドのCDを
買っては聴く毎日だった

私にとっての音楽は
切っても切り離せない
くっ付いてきて離れもせずに
静かに大音量で存在を訴える
私が目を叛けても
耳で存在を認めるから
例え馴れ合いだとしても
安心して生きていられる。