詩集『刺繡』

新帯 繭

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『ぼく』
『オレ』
『わたし』
『私』
どれも同じ一人称
強いて違いを言うならば
性別によって使う頻度に差があるだけ

『私』という一人称は
何故か一人だけ丁寧に聞こえる
これで乱暴なことを言うのが想像できない
『殺す』という物騒な言葉に
主語でくっつけても
一人だけしっくり来ない

自分は一人称が『私』
若しくは『わたし』
コロコロ変わるけれど
結局のところ
『私』の方が落ち着くのだ
そんな私は『私』のように
いつも一人だけ浮いている
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