詩集『刺繡』

新帯 繭

文字の大きさ
上 下
2 / 92

マクスウェル

しおりを挟む
偉大なる熱力学の探求者
そんな目に見えないものにまで
「粒子」という概念で説いてくれた
その頭脳に本当に畏敬の念すら
抱かずにはいられない

其の畏敬の念のせいで
神として崇められたゆえに
叛くものすら生み出してしまった
「マクスウェルの悪魔」
そう「悪魔」が作られ
多くの後継者を惑わせ
苦しめてきた

人は神を否定する
しかし その神に裏切られ
おまけに自分達は到達しようとしている
到達した時点で
自分達は裏切り者を自ら作り出す
しおりを挟む

処理中です...