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道すがら……想い知る
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次の瞬間には、本など無かった。
ただ単に、涙の跡を見たときに、見えた幻想。
わたしは、そんなものの為に振り回されるのか?
いや、違う……きっと、生き返るためのヒントが、何かあるはずだ!
そう奮起して、わたしは学校へ歩き始めた。
悲しいかな、学校から5㎞を歩かなくてはならないが、どうにかなるだろう。
朝日が眩しくて、手をかざすと、心なしか透けて見えた。
歩いている、最中は面白いものばかりだ。
平気で大口を開けて、ライオンか情けない犬のような欠伸をするサラリーマン。
歩道のど真ん中で、酔い潰れたように寝転んでいる、ギャル風の若い女性。
ネイルしてる小指で鼻を穿る、クールビューティーな OL。
食パン加えるどころか、コンビニの唐揚げに人目も憚らずにがっつくJK。
ランニング途中なのか、土手で半裸になって何かを開放している、爽やか系の男性。
怒鳴り声による怒号が飛び交って、一瞬で爽やかな送り出しを見せている一家。
見てると、人の目って、みんな少なからず感じて、お互いに行動を抑制しつつ、それによってイメージや美学というものが維持されてるんだな、と感じた。
そりゃあ、同性カップルとか、トランスジェンダーの方とかが、日頃の生活で悩みが絶えないわけだ。
まあ、わたしも他人事ではないのだけれど……。
歩き続けると、イツメンの男子組が歩いていた。
よくカラオケにいくような、あの例の男子たちも含んでいる。
一人、自転車を押しているのが、『万道 星』だ。
その後ろの背が少し低いのが、『市道 和巳』だ。
その前でテンションが高いのが、『高瀨 愛夫』だ。
お茶を飲みながら歩いている一番背が高いのが、『小森 亨』だ。
ボールで遊びながら喋ってるのが、『丹田 公』だ。
全員バスケ部つながりである。
「そういえば聞いたか?」
万道が急に切り出した。
「なに?」
小森が反応する。
「昨日の地震があったじゃん……。」
「おう、どうした……そんな暗い顔して?」
「あの時、図書館で事故があったって……。」
「ああ、あれ噂だろ?」
「実はさ……巻き込まれたのって、渡真利と島谷だって……。」
すると、急に小森の顔色が変わり、さっきまでの明るい雰囲気が一転、万道の胸倉につかみかかった。
「冗談言ってんじゃねーっ‼」
「又聞きではあったんだけど……実は、運ばれてるところ見ちゃったんだよ。」
小森が力なくへたり込んだ。
やや涙目で、歩幅小さく歩き出した。
「おい……言ってることはマジか?」
「ああ…俺も見たよ。」
高瀨の問いに、市道が答える。
「特に、渡真利は顔を隠されていたから、怪我が一番ひどいと思う。」
「マジかよ……渡真利はさ…顔がめちゃくちゃ良いじゃん?」
「うん……。」
「俺、あいつのことを女として見てたんだよね……。」
「おい、お前、部活中に『キモイ』って言ってたじゃんさ?」
高瀨の発言を、丹田が茶化す。
「……俺、気付かれるのが怖かったんだよ!」
「え、何?…お前って、ゲテモノ食いだったの?」
丹田の言葉に対して、高瀨が本気でキレて、胸倉に掴みかかった。
「前言撤回しろ……あいつの何が悪いってんだよ⁉……今は大怪我で下手すりゃ……。」
「ちょっと待てって……何、急にキレてんの?」
「お前ら、いい加減にしろ!丹田、お前が全面的に悪い……高瀨、気持ちは分かるが、暴力は流石にマズい!」
万道が自転車を体に凭れさせて、仲裁に入った。
「ああ……ごめん。」
高瀨が冷静になって、丹田に謝罪した。
「……わかった、俺こそデリカシーなかった……本当にごめん。」
5人はトボトボと学校へと歩みを進めた。
ただ単に、涙の跡を見たときに、見えた幻想。
わたしは、そんなものの為に振り回されるのか?
いや、違う……きっと、生き返るためのヒントが、何かあるはずだ!
そう奮起して、わたしは学校へ歩き始めた。
悲しいかな、学校から5㎞を歩かなくてはならないが、どうにかなるだろう。
朝日が眩しくて、手をかざすと、心なしか透けて見えた。
歩いている、最中は面白いものばかりだ。
平気で大口を開けて、ライオンか情けない犬のような欠伸をするサラリーマン。
歩道のど真ん中で、酔い潰れたように寝転んでいる、ギャル風の若い女性。
ネイルしてる小指で鼻を穿る、クールビューティーな OL。
食パン加えるどころか、コンビニの唐揚げに人目も憚らずにがっつくJK。
ランニング途中なのか、土手で半裸になって何かを開放している、爽やか系の男性。
怒鳴り声による怒号が飛び交って、一瞬で爽やかな送り出しを見せている一家。
見てると、人の目って、みんな少なからず感じて、お互いに行動を抑制しつつ、それによってイメージや美学というものが維持されてるんだな、と感じた。
そりゃあ、同性カップルとか、トランスジェンダーの方とかが、日頃の生活で悩みが絶えないわけだ。
まあ、わたしも他人事ではないのだけれど……。
歩き続けると、イツメンの男子組が歩いていた。
よくカラオケにいくような、あの例の男子たちも含んでいる。
一人、自転車を押しているのが、『万道 星』だ。
その後ろの背が少し低いのが、『市道 和巳』だ。
その前でテンションが高いのが、『高瀨 愛夫』だ。
お茶を飲みながら歩いている一番背が高いのが、『小森 亨』だ。
ボールで遊びながら喋ってるのが、『丹田 公』だ。
全員バスケ部つながりである。
「そういえば聞いたか?」
万道が急に切り出した。
「なに?」
小森が反応する。
「昨日の地震があったじゃん……。」
「おう、どうした……そんな暗い顔して?」
「あの時、図書館で事故があったって……。」
「ああ、あれ噂だろ?」
「実はさ……巻き込まれたのって、渡真利と島谷だって……。」
すると、急に小森の顔色が変わり、さっきまでの明るい雰囲気が一転、万道の胸倉につかみかかった。
「冗談言ってんじゃねーっ‼」
「又聞きではあったんだけど……実は、運ばれてるところ見ちゃったんだよ。」
小森が力なくへたり込んだ。
やや涙目で、歩幅小さく歩き出した。
「おい……言ってることはマジか?」
「ああ…俺も見たよ。」
高瀨の問いに、市道が答える。
「特に、渡真利は顔を隠されていたから、怪我が一番ひどいと思う。」
「マジかよ……渡真利はさ…顔がめちゃくちゃ良いじゃん?」
「うん……。」
「俺、あいつのことを女として見てたんだよね……。」
「おい、お前、部活中に『キモイ』って言ってたじゃんさ?」
高瀨の発言を、丹田が茶化す。
「……俺、気付かれるのが怖かったんだよ!」
「え、何?…お前って、ゲテモノ食いだったの?」
丹田の言葉に対して、高瀨が本気でキレて、胸倉に掴みかかった。
「前言撤回しろ……あいつの何が悪いってんだよ⁉……今は大怪我で下手すりゃ……。」
「ちょっと待てって……何、急にキレてんの?」
「お前ら、いい加減にしろ!丹田、お前が全面的に悪い……高瀨、気持ちは分かるが、暴力は流石にマズい!」
万道が自転車を体に凭れさせて、仲裁に入った。
「ああ……ごめん。」
高瀨が冷静になって、丹田に謝罪した。
「……わかった、俺こそデリカシーなかった……本当にごめん。」
5人はトボトボと学校へと歩みを進めた。
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