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序章
1話 『百田』改め
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~『百田』、家庭裁判所にて~
私は、警官と児相に連れられて、家庭裁判所に来た。
当時の私は、何が何だか理解できていなかった。
ただ朧気に、私が悪いことをしたと、実の両親を殺したことになっているということで、物騒なところに連れて来られた、ということだけは分かった。
つまり、私は事件の犯人にされている。
おまけに、私が子どもだから、発言権は無いということに、証言は出来たとしても一切証拠にならないということを、自分は知っている。
これは、お父さんに、小さい時にニュースを見ながら教えてもらった。
「もしもお前が、悪いことをしていなくても、悪い友達や悪い大人に、良くないことに巻き込まれたら、どんなにお前が一生懸命言い訳しても、誰も信じてくれないんだよ。」
「どうして?」
「それはね……保育園の先生と、お父さん、お母さんは、お前やお友達のことを、子どものことを、よく知っているから、どんなに言い間違えても、お話を一生懸命に聞いて、一生懸命に考えて……悪いところがあれば、叱ったりして、注意したり、直すのを手伝ってあげられる。」
「うん……他のみんなは出来ないの?」
「そうだね……だから、誰かを庇って、一生懸命にお前が話しても、誰も信じれないし、話すらも分からないから、聞いてくれないんだ。」
「ふーん……大人って、ダメダメだね!」
「そうだなー……だから、お父さんは、悪い大人を退治したり、反省するのを手伝ったりするために、お仕事を頑張ってるんだよ?」
「へ~…パパ、カッコいいね‼」
「ハハハ……ありがとう、もこ奈!」
頭が、こんなときに限ってはっきりと、光が当たったように色を付けて、目の前のことと、状況を判断するために、急激に動き始めた。
そう……私の名前は、『犬宮もこ奈』だ。
警察官の『犬宮兼弘』の一人娘で、叔父の『猿渡嘉助』に、殴られて、両親も殺された被害者遺族で、絶対に屈してはならなかったのだ。
だけれど、生きていくために、個々での判決と今後を鵜呑みにして、今現在だけは諦める必要があるのだ。
話が流れた。
好き勝手なことを、大人が次々と発言して、私の判決は、あっさりと出た。
私は、有罪であるが、まだ子でもであることと、情状酌量で、憎き叔父夫婦の所で監視下に置かれて生活することになったのだ。
叔父の口元が、周りにバレない程度に、一瞬だけニヤリと上がったのが見えた。
私は、絶対に復讐すると決めた。
だけど、それを決行するためには準備が必要だ。
私が十八歳の、責任能力が認められる大人になる必要性がある。
しかし、それを待っていると、証拠も消失して逃げ切られてしまう可能性もある。
つまり、残されている時間は、中学生までということになる。
私は、それまでの期間に、悪目立つことで、世間にアクションを起こし続けることに決めた。
事件を、例え風化しようと、少しでも長く、人々に忘れられないために。
私は、警官と児相に連れられて、家庭裁判所に来た。
当時の私は、何が何だか理解できていなかった。
ただ朧気に、私が悪いことをしたと、実の両親を殺したことになっているということで、物騒なところに連れて来られた、ということだけは分かった。
つまり、私は事件の犯人にされている。
おまけに、私が子どもだから、発言権は無いということに、証言は出来たとしても一切証拠にならないということを、自分は知っている。
これは、お父さんに、小さい時にニュースを見ながら教えてもらった。
「もしもお前が、悪いことをしていなくても、悪い友達や悪い大人に、良くないことに巻き込まれたら、どんなにお前が一生懸命言い訳しても、誰も信じてくれないんだよ。」
「どうして?」
「それはね……保育園の先生と、お父さん、お母さんは、お前やお友達のことを、子どものことを、よく知っているから、どんなに言い間違えても、お話を一生懸命に聞いて、一生懸命に考えて……悪いところがあれば、叱ったりして、注意したり、直すのを手伝ってあげられる。」
「うん……他のみんなは出来ないの?」
「そうだね……だから、誰かを庇って、一生懸命にお前が話しても、誰も信じれないし、話すらも分からないから、聞いてくれないんだ。」
「ふーん……大人って、ダメダメだね!」
「そうだなー……だから、お父さんは、悪い大人を退治したり、反省するのを手伝ったりするために、お仕事を頑張ってるんだよ?」
「へ~…パパ、カッコいいね‼」
「ハハハ……ありがとう、もこ奈!」
頭が、こんなときに限ってはっきりと、光が当たったように色を付けて、目の前のことと、状況を判断するために、急激に動き始めた。
そう……私の名前は、『犬宮もこ奈』だ。
警察官の『犬宮兼弘』の一人娘で、叔父の『猿渡嘉助』に、殴られて、両親も殺された被害者遺族で、絶対に屈してはならなかったのだ。
だけれど、生きていくために、個々での判決と今後を鵜呑みにして、今現在だけは諦める必要があるのだ。
話が流れた。
好き勝手なことを、大人が次々と発言して、私の判決は、あっさりと出た。
私は、有罪であるが、まだ子でもであることと、情状酌量で、憎き叔父夫婦の所で監視下に置かれて生活することになったのだ。
叔父の口元が、周りにバレない程度に、一瞬だけニヤリと上がったのが見えた。
私は、絶対に復讐すると決めた。
だけど、それを決行するためには準備が必要だ。
私が十八歳の、責任能力が認められる大人になる必要性がある。
しかし、それを待っていると、証拠も消失して逃げ切られてしまう可能性もある。
つまり、残されている時間は、中学生までということになる。
私は、それまでの期間に、悪目立つことで、世間にアクションを起こし続けることに決めた。
事件を、例え風化しようと、少しでも長く、人々に忘れられないために。
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