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序章
1話 告知
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担任が、朝礼のチャイムを待たずに、教室に入るなり、昨日のことを説明するために、クラス全員を問答無用で着席させた。
「えー…今日は、赤塚さんは、とある事情で欠席します……つきましては、それについて、詳しい説明を玉ノ井さんにしてもらいたいと思います。」
「え……一花ッチが何かしたの?」
「良いから、静かに聞いてください……では、玉ノ井さん…どうぞ。」
教室が少しざわめいている。
仕方ない……クラスメイトが欠席する事態を、クラスメイトが説明するのだ。
やんごとなき、由々しき事態なのは想像できるのだろう。
私は、空気に蠢いている嫌疑を晴らすためにも、口を開いた。
「……赤塚さんの妹が、昨日に何者かに襲われて、現在重症で警察でも殺人未遂並びに未成年婦女暴行事件で、捜査が始まっています……妹さんは、本日が山場ということで、車木君も、本日は特別に早退するということになっています。」
「…質問。」
「はい……。」
「何故車木君が関係あるんですか?」
「赤塚さんの元カレで、妹さんの今カレという関係というのが大きな理由です。」
「はい…!」
「どうぞ。」
「何処で起こったのですか?」
「場所は、先生の家の真ん前だったということで、住所で言うと、城ヶ根町です。」
「え……家の近くじゃん!」
「近隣の人もいると思いますので、赤塚さんの妹を狙ったわけではなく、無差別だった可能性もありますので、充分に注意してください。」
「……他に、質問はないか?」
「はい。」
「はい……。」
「何で、玉ノ井さんが、赤塚さんの友人とはいっても、詳しく知っているんですか?」
「……実は、父親が警察上層部にいるので、それで今回の事件を担当するから、何か気になる事でもあったら、何でも言ってほしいということを、クラスに伝えるように頼まれたからです。」
「……え?……マジ?」
「本当です。」
「へえ……意外!」
教室中が、一気に騒めいた。
私は、話終えたので、担任に目で合図をして、席に着いた。
もう、この後は個人的に質問を受け付けるつもりなので、騒々しいのについては、どうでもいいと思う。
寧ろ当然だろう。
何故なら、同級生の妹が、自分たちの近隣の地域で殺人未遂暴行事件に巻き込まれて、それを翌日に説明したクラスメイトが、父親が警察官で捜査協力を求めているというのだから。
しかし、それを直接的に捜査実行するのは、そのクラスメイトで、おまけにこれが違法捜査なのは、絶対的に秘密で、事実を知っているのは当人たちと担任のみである。
絶対に、この事実はバレてはいけない。
キーンコーンカーンコーン
「玉ノ井さん、ちょっといい?」
「ん……どうしたの?」
「さっきの話で、思い当たることがあって……というか、ちょっと情報を。」
「あ…ありがとう!」
「今から少し、屋上で良いかな?」
朝礼が終わった途端に、クラスメイトの一人が、情報提供を申し出てきた。
雰囲気と声色から、少し話が長引きそうなことが、察することができた。
私は、担任に声を掛けて、授業に少し遅れることを、了解を貰い、その生徒と屋上に向かった。
「えー…今日は、赤塚さんは、とある事情で欠席します……つきましては、それについて、詳しい説明を玉ノ井さんにしてもらいたいと思います。」
「え……一花ッチが何かしたの?」
「良いから、静かに聞いてください……では、玉ノ井さん…どうぞ。」
教室が少しざわめいている。
仕方ない……クラスメイトが欠席する事態を、クラスメイトが説明するのだ。
やんごとなき、由々しき事態なのは想像できるのだろう。
私は、空気に蠢いている嫌疑を晴らすためにも、口を開いた。
「……赤塚さんの妹が、昨日に何者かに襲われて、現在重症で警察でも殺人未遂並びに未成年婦女暴行事件で、捜査が始まっています……妹さんは、本日が山場ということで、車木君も、本日は特別に早退するということになっています。」
「…質問。」
「はい……。」
「何故車木君が関係あるんですか?」
「赤塚さんの元カレで、妹さんの今カレという関係というのが大きな理由です。」
「はい…!」
「どうぞ。」
「何処で起こったのですか?」
「場所は、先生の家の真ん前だったということで、住所で言うと、城ヶ根町です。」
「え……家の近くじゃん!」
「近隣の人もいると思いますので、赤塚さんの妹を狙ったわけではなく、無差別だった可能性もありますので、充分に注意してください。」
「……他に、質問はないか?」
「はい。」
「はい……。」
「何で、玉ノ井さんが、赤塚さんの友人とはいっても、詳しく知っているんですか?」
「……実は、父親が警察上層部にいるので、それで今回の事件を担当するから、何か気になる事でもあったら、何でも言ってほしいということを、クラスに伝えるように頼まれたからです。」
「……え?……マジ?」
「本当です。」
「へえ……意外!」
教室中が、一気に騒めいた。
私は、話終えたので、担任に目で合図をして、席に着いた。
もう、この後は個人的に質問を受け付けるつもりなので、騒々しいのについては、どうでもいいと思う。
寧ろ当然だろう。
何故なら、同級生の妹が、自分たちの近隣の地域で殺人未遂暴行事件に巻き込まれて、それを翌日に説明したクラスメイトが、父親が警察官で捜査協力を求めているというのだから。
しかし、それを直接的に捜査実行するのは、そのクラスメイトで、おまけにこれが違法捜査なのは、絶対的に秘密で、事実を知っているのは当人たちと担任のみである。
絶対に、この事実はバレてはいけない。
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「さっきの話で、思い当たることがあって……というか、ちょっと情報を。」
「あ…ありがとう!」
「今から少し、屋上で良いかな?」
朝礼が終わった途端に、クラスメイトの一人が、情報提供を申し出てきた。
雰囲気と声色から、少し話が長引きそうなことが、察することができた。
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