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序章
1話 告白
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「でも……結局、グレていないんだよ。」
「どういうこと?」
続け様に出た言葉は、前言撤回という言葉を添えても違和感がない程、矛盾した言葉だった。
言葉の真意を図りかねる。
「……確かに、乱闘騒ぎも、不良との絡みも、補導歴もある。」
「……。」
「だけど、ちゃんとした理由があるの。」
「……聞かせて?」
親友は、意を決した割には、重そうにしている口を、躊躇いがちに開いた。
「うん……実は、そのことで巴直への虐めというか……犯罪行為が激化しそうだったの。」
「車木君に犯罪?」
「そう…カツアゲグループのボスが、当時は中学二年生だった巴直が私と別れて、小学六年生と交際していることを知って、それを使った脅しと清世への誘拐・拉致・売春を計画していて、それを当時の年内に行うために、SNSで繋がった成人の半グレ連中や不良大学生を募って、実行のために集会を頻繁に行っていたの。」
どうやって情報を得たのか、解せないことも多いが、敢えて気に留めないようにした。
とにかく、それ故にまごまごしていられなかったことは判った。
「……それを止めようとしたの?」
「だけど…その為には、自分もそこに、ある程度入り込む必要があったの。」
他に止める人はいなかったのだろうか?
流石に自分の身内が狙われてるとなれば、体が勝手に動くものだろうが、それでもやり方というものは無かったのだろうか。
もっと言えば、そのような反社会的なグループに近付く、絶対的な必要は皆無に思う。
「もっと、他に方法があったんじゃないの?」
「あの時は必死で……余裕なんてなかった。」
「で、結局?」
「その所為で、何度か補導された……でも、結果的には計画を阻止することができた。」
身を削る覚悟はあったわけだ。
怪我の功名の様に感じている親友に、その愚行を責めるのは無粋だと思い、そのことについて言及するのは止めにした。
「乱闘騒ぎの件は?」
「それに腹を立てた、カツアゲグループのボスに殴り掛かられて、抵抗していたら、見ていた先生が事勿れ主義で、私までやったことにして喧嘩両成敗で収めようとした結果、私までが殴ったことになってただけ。」
大人は、知っても動く気は無かったということだ。
何とも情けない大人が学校の先生になったのかと、漠然と思う一方で、私はある一点が気になった。
「じゃあ、真実は?」
「私の一人芝居だったってこと。」
それは分かっている。
そうじゃない。
訊きたいのは、その一言ではなく、もっと一言では片付かないものだ。
「そうじゃなくて……。」
「…どういうこと?」
「私の予想では、そのカツアゲグループと関係者が、一枚噛んでいる気がする。」
「あ……後、きよちゃんから、お母さんには言うなと、言われていたんだけど……。」
「何?」
「実はね……きよちゃんはストーカーに遭ってたの。」
「え……。」
後ろで談話していた担任と警官、親友の横で俯いて聞いていた母親が目を見開いて、こちらを見た。
男子は、険しい顔で聞き返そうとして、声を上げた。
私は、予想通りと思いながら、今回の顛末を予測した。
恐らく、この事件は、『桃太郎元服姿』に似た顛末である。
「どういうこと?」
続け様に出た言葉は、前言撤回という言葉を添えても違和感がない程、矛盾した言葉だった。
言葉の真意を図りかねる。
「……確かに、乱闘騒ぎも、不良との絡みも、補導歴もある。」
「……。」
「だけど、ちゃんとした理由があるの。」
「……聞かせて?」
親友は、意を決した割には、重そうにしている口を、躊躇いがちに開いた。
「うん……実は、そのことで巴直への虐めというか……犯罪行為が激化しそうだったの。」
「車木君に犯罪?」
「そう…カツアゲグループのボスが、当時は中学二年生だった巴直が私と別れて、小学六年生と交際していることを知って、それを使った脅しと清世への誘拐・拉致・売春を計画していて、それを当時の年内に行うために、SNSで繋がった成人の半グレ連中や不良大学生を募って、実行のために集会を頻繁に行っていたの。」
どうやって情報を得たのか、解せないことも多いが、敢えて気に留めないようにした。
とにかく、それ故にまごまごしていられなかったことは判った。
「……それを止めようとしたの?」
「だけど…その為には、自分もそこに、ある程度入り込む必要があったの。」
他に止める人はいなかったのだろうか?
流石に自分の身内が狙われてるとなれば、体が勝手に動くものだろうが、それでもやり方というものは無かったのだろうか。
もっと言えば、そのような反社会的なグループに近付く、絶対的な必要は皆無に思う。
「もっと、他に方法があったんじゃないの?」
「あの時は必死で……余裕なんてなかった。」
「で、結局?」
「その所為で、何度か補導された……でも、結果的には計画を阻止することができた。」
身を削る覚悟はあったわけだ。
怪我の功名の様に感じている親友に、その愚行を責めるのは無粋だと思い、そのことについて言及するのは止めにした。
「乱闘騒ぎの件は?」
「それに腹を立てた、カツアゲグループのボスに殴り掛かられて、抵抗していたら、見ていた先生が事勿れ主義で、私までやったことにして喧嘩両成敗で収めようとした結果、私までが殴ったことになってただけ。」
大人は、知っても動く気は無かったということだ。
何とも情けない大人が学校の先生になったのかと、漠然と思う一方で、私はある一点が気になった。
「じゃあ、真実は?」
「私の一人芝居だったってこと。」
それは分かっている。
そうじゃない。
訊きたいのは、その一言ではなく、もっと一言では片付かないものだ。
「そうじゃなくて……。」
「…どういうこと?」
「私の予想では、そのカツアゲグループと関係者が、一枚噛んでいる気がする。」
「あ……後、きよちゃんから、お母さんには言うなと、言われていたんだけど……。」
「何?」
「実はね……きよちゃんはストーカーに遭ってたの。」
「え……。」
後ろで談話していた担任と警官、親友の横で俯いて聞いていた母親が目を見開いて、こちらを見た。
男子は、険しい顔で聞き返そうとして、声を上げた。
私は、予想通りと思いながら、今回の顛末を予測した。
恐らく、この事件は、『桃太郎元服姿』に似た顛末である。
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