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序章

1話 半グレ

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私は、入室の際の発言と職員室での行動の不釣り合いと不可解を、男子に問いただした。

「ねえ……私はてっきり、車木君は芽衣のことが好きだったんだと思っていたけど、本当は元カレで今回の被害者である芽衣の妹の清世さんの今カレだったんだね?」
「ああ……そうだ。」
「なら、何で芽衣が呼ばれたときに、私が袖を引っ張るまで来ようとしなかったの?」

そう、おまけに付いて来ないだけなら未だしも、連れて来て文句まで垂れていたのだ。
しかも、躊躇なく顔を急接近させられる関係性が残っているのだ。
そこまでの間柄で、心配の一つもないのは不自然である。

「それは、芽衣が生徒指導で呼ばれたか、何か重大な規則違反でもして呼び出し喰らったんじゃないかって……怖くて……。」
「芽衣が、校則を破るような不良じゃない……本当に真面目で、ただ天真爛漫なだけの女の子なのも、勿論知ってるよね?」
「……実は、芽衣は中学の頃に半グレ一歩手前だったんだよ。」
「だから?」
「実は、それで何度か校則違反や成績の低下で呼び出されて、一度は非行で補導されてるんだ。」
「成程……事情を知っている人からすれば、今みたいな大事のようには聞こえない訳ね。」

所謂、経験上の推測で、また遣らかしたと考えたのだろう。
ただ、入室直前に先生が眼前に立っていて、事情が大体わかって、違和感が無いように努めたということまでは理解できた。

「それに、原因は俺なんだ。」
「どういうこと?」
「俺と別れたのを機に、家でも相当荒れたらしい……翌月には、学校で乱闘騒ぎも起こしているし、校内でも有名なカツアゲグループにも、しょっちゅう絡んでいた。」
「別れた理由は?」
「今カノの清世……芽衣の妹とも遊んでいるうちに、向こうの方から好意を寄せられていて、芽衣から自暴自棄でくっ付けられる形で、付き合って別れたんだ。」

親友は、男ウケしやすい、言ってしまえば清楚系の明るいイマドキの女の子だ。
容姿も真面目と活発の中間を体現したような雰囲気で、正確も明るくて正義感が強い。
正しく、『不良』という言葉が、一番似合いそうにないというのが第一印象だ。
実際のところは、本人に聞かねばわかるまい。
私は静かに、顔色の悪い親友に向き直った。
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