銀の髪を持つ愛し子は外の世界に憧れる

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第五章 帰還

143話

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泉崎村いずみざきむら――

夕方、琉球建築の人家が並ぶ住宅街は、人通りの少ないのどかな雰囲気に包まれている。

そんな中、守優と守善、世璋、守央の4人は、道を歩きながら話をしていた。

「兄上、さっきはシソウチンの応用技がうまく決まりましたね!」

「うん。あの時は無意識に体が動いちゃって、自分でも少し驚いてるよ。けど、世璋さん。あの壺のこと、無事に解決できるか心配ですね」

「一応示談条件はまとまったが、示談金が支払われるまではどうなるかわかんねぇし、あとは弁護士に任せるしかねぇな。それにしても、今日はお前ら二人のおかげで仕事が捗ったぜ。ありがとよ。お前らも元服して一段と頼もしくなったし、守央から教わってるティーの腕も上がったみてぇだな」

「今年で守善は17歳、守優は15歳になるが、幼い頃から兄弟揃って修業してるおかげで随分と上達したな」

守央は世璋と話を続ける。

「お前の娘もティーの修業は順調か?」

「ああ。俺が教えた型も技もすぐ覚えるし、いい感じだぜ。うちの美嘉みかも守優と同い年だが、物心ついた頃から修業してるおかげでだいぶ技がうまくなったな。今頃はあいつも自主稽古してるだろうが、せっかくだし今からお前らもうち来いよ」

「いいのか? なら、少し寄らせてもらうぞ」

守央たちが道を歩いている頃、世璋とその家族が住む家の庭では、若い男と少し小柄な少女が組手をしていた。

男は恰幅が良く、短い黒髪と純朴な目、薄く整えた髭が印象的で、黄土色の上衣と同色の細帯、白い長ズボン状の琉球袴を身に着けている。

少女は長い暗褐色の髪を後頭部で一つにまとめて垂らし、左斜め分けの前髪と大きな目が快活な雰囲気を感じさせ、桜色の上衣と同色の細帯、白い長ズボン状の琉球袴を身に着けていた。

男は左足を1歩前に踏み込み、少女の顔面目掛けて右正拳上段逆突きを繰り出す。

少女は左腕で男の右拳を右下へ受け流すと、右上段肘打ちを男の顔面に食らわせた。

男が頭を仰け反らせると、さらに少女は両手で男の右上半身を掴み、右中段膝蹴りを男の腹に食らわせる。

男の体がくの字に曲がると、少女は左腕を男の右脇の下に通し、両手で男の体を引き込んだ。

男が仰向けに投げ倒されると、少女はすかさず右正拳下段突きを男の顔面に寸止めで放ち、すぐに右拳を引いて残心する。

男が顔をしかめると、少女は自然な立ち方に戻った。

「よし! 今の技、結構動きよかったかも! 英典えいてん、最後にもう一回いくわよ。そしたら、次はあんたの番ね」
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