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第四章 白き竜
101話
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実際、ディルはこの島に到着してからずっと悩んでいた。
確かにこれまで共に旅をしてきて、フォルはリフィに心を配り、大切に守ろうとしてきてくれているのが手に取るように伝わってはきていた。あの時のキャベル王とは違うとも理解している。悪意も裏もなく、リフィが本当は女であると、そして愛し子かどうかは明確でないと思っていたとしても精霊に好かれていることを最初から知っていてもフォルはそれを態度にも現わさず、リフィを何かに区別することなく接していた。
……リフィを見る目が、本人はまだ自覚がないようだが徐々に変わっていっているとしか思えんが、な。
それについては心の中で鼻を鳴らしつつ、ディルは改めて考える。
この男を信用していいのだろうか、と。
それほどに深い怒りや恨みといった負の感情をキャベル王に、そしてその血筋にディルは抱き続けていた。それほどにとても大切で愛しい存在だったのだ。かけがえのない、大切な愛し子だったのだ。今はリフィルナとして生きている、ルナという存在を本当にディルは心から大事に思っていた。
だから自分もルナと同じように死ぬ前に、なんとかキャベルの王族に呪いをかけた。もちろん怒りを覚えていたのはディルだけではない。全ての精霊、幻獣の怒りをキャベル王は買ったことになる。
本来キャベルの王族たちは幻獣たちと縁のある血筋で、ほとんどの王たちは眷属を得ていた。あの未だに忌々しい当時のキャベル王も獅子の幻獣と契約を交わしていた。だがその獅子の眷属も、契約故に何もできなかったとはいえルナのことは最初から大いに反対したようだし相当の怒りを覚えていたようだ。眷属の契約は基本的に死をもって解除される。獅子の幻獣は自ら生まれ変わることのないよう魔法をかけた上でその後命を絶った。その後その王がどうなったかはディルも死んでしまったため見届けられていない。
また、ディルが呪いをかけた時点で全ての精霊や幻獣たちはキャベルの王族に近寄ることすらなくなった。ディルも末裔に至るまで、ルナというかけがえのない愛し子を無理やりどうにかしようとした挙句殺したことを許すつもりはないと心に誓った。
酒場に情報を求めに行った時、リフィに過去の竜について話していた時にディルは三百年前の出来事を改めてつい昨日のことのように鮮明に思い出していた。それもあり、やはりどうしてもフォルを信用しきれない。血族とはいえ、人間の皆が皆全く同じだとはディルも思ってはいない。それでも可能性として全く同じような言動を取らないとも断言できない。
岩山に登るようになっても悩みは消えなかった。このままフォルたちをリフィと共に行動させていいものか。あの当時、フォルスに似た者も王族の中で見かけていたからかもしれない。血族であれば当然似る者はそれぞれの時代にいるものだろうが、フォルスだってその生まれ変わりでないとも言えない。当時の王族も、あの王以外はまともだったのかもしれないが、それでもやはり忌々しさしかないのもあり、余計に引っかかってしまうのだろうか。リフィと川のそばで過去の竜について話していた時も頭の片隅でそのことを考えていた。実際、竜が姿を隠すようになったのも正確には三百年前にルナが死んで以降のことだった。
洞窟に入り、最奥に辿り着いた時もまだ、悩みは解決していなかった。
しかしグルルが襲いかかってきた時はさすがに迷っている場合ではないと、ディルはリフィによってできた窪みのある壁に向かって目を閉じて祈るように念じた。リフィであろうがディルであろうが、この窪みの紋様の資格がある者の魔力を通せばそれが鍵となって封じられた扉は開く。
まだ幼竜であるとはいえ神幻獣のディルが元の姿でまともに戦えばグルルとも渡り合えたかもしれない。成竜でなくとも、倒すことすら不可能ではなかっただろう。だが自分が迷っていたせいだとディルは後で後悔した。迷っていたせいで戦う余地すらなくなった。リフィが危険な状態となったからだ。
何とかグルルから逃れたのはよかったが、意識のないリフィと眷属契約をしているディルも危険な状態となった。遠のく意識の中、ディルは必死の様子でリフィを助けようと光魔法を使うフォルの様子が目に入ってきた。意識を失いかけながらディルは改めて、自分こそまた守れなかったのかと悔やんだ。過去の記憶が戻っていなかった頃ならまだしも、こうして記憶を有した今でもこれでは意味がない。
せめてこの、グルルから逃れた場所が外であれば、もしくはこの先の竜の住みかであればと思った。ここはまだ扉の先とはいえ、洞窟内だ。魔法で守られているだけでなく結界を張った空間だ。精霊はいない。リフィ同様意識を失いかけている自分ではどうにもならなくとも精霊の力があればリフィは間違いなく助かるというのに。
ディルは何とか起き上がり、リフィを背中に乗せようとした。だがもう限界だったようだ。意識を失った。
『過去のキャベル王の犯した過ちは決して許せるものではないし、許すつもりは一切ない。だがフォル。いや、フォルス。お前は信頼してもよい』
フォルは魔力が例え枯渇しようともリフィを助けようとしてくれた。フォルの必死な様子はディルがリフィ同様瀕死の状態の時にも伝わってきていた。
それは旅の間だってわかっていたことだ。フォル、もとい、フォルスは過去のキャベル王のように利己的な者ではないと。リフィルナに対して酷いことをするはずもない者だと。
だが頭でわかってはいても、過去のことを思うとどうしても気持ちがついていかなかった。結果、ディルの迷いがリフィルナをまた危険な目に遭わせることとなった。これでは自分のほうがよほど信用ならない。
そもそも自分の命をかけてでも助けようとしてくれたあの必死なフォルスを見てしまっては、もはや信頼するしかなかった。それにフォルスがいなければ精霊の力を借りる前にリフィルナは命を散らしていただろう。助けてもらった恩を返さないなど、神幻獣として許し難いし自分の流儀に反する。
この先も決して呪いから解放させるつもりなど本当はなかった。だが。
信頼してもよい、と告げたディルにフォルスは目を見開いてきた。ディルは目を細めてそんなフォルスを見返す。
『過去にキャベル王は愛し子を殺すことにより、すべての精霊、幻獣の逆鱗に触れた。なによりも私のな。末裔に至るまで呪いから解放するつもりはなかった。だが私はフォルス、お前のことは信頼する』
まだ目を見開いたままだったフォルスは今の言葉をゆっくりと咀嚼するように理解したのだろう。今や完全に魔法が解けているため宝石のような青い色に戻ったその瞳から涙が溢れてきた。そしてホッとしたのだろう、フォルスはその場に崩れ落ちた。どのみち魔力は命に関わるほど使っただろうし限界だったと思われる。
ディルの声は聞こえていないコルジアだが、それでもずっとフォルスを気にしていたようで倒れる前に支えてきた。その際フォルスから何かが転がり落ちたようだが、誰もそれどころではなかった。フォルスはコルジアによって急きょ張られたテントに連れていかれた。それを見た後にディルは休ませているリフィルナの元へ向かった。
確かにこれまで共に旅をしてきて、フォルはリフィに心を配り、大切に守ろうとしてきてくれているのが手に取るように伝わってはきていた。あの時のキャベル王とは違うとも理解している。悪意も裏もなく、リフィが本当は女であると、そして愛し子かどうかは明確でないと思っていたとしても精霊に好かれていることを最初から知っていてもフォルはそれを態度にも現わさず、リフィを何かに区別することなく接していた。
……リフィを見る目が、本人はまだ自覚がないようだが徐々に変わっていっているとしか思えんが、な。
それについては心の中で鼻を鳴らしつつ、ディルは改めて考える。
この男を信用していいのだろうか、と。
それほどに深い怒りや恨みといった負の感情をキャベル王に、そしてその血筋にディルは抱き続けていた。それほどにとても大切で愛しい存在だったのだ。かけがえのない、大切な愛し子だったのだ。今はリフィルナとして生きている、ルナという存在を本当にディルは心から大事に思っていた。
だから自分もルナと同じように死ぬ前に、なんとかキャベルの王族に呪いをかけた。もちろん怒りを覚えていたのはディルだけではない。全ての精霊、幻獣の怒りをキャベル王は買ったことになる。
本来キャベルの王族たちは幻獣たちと縁のある血筋で、ほとんどの王たちは眷属を得ていた。あの未だに忌々しい当時のキャベル王も獅子の幻獣と契約を交わしていた。だがその獅子の眷属も、契約故に何もできなかったとはいえルナのことは最初から大いに反対したようだし相当の怒りを覚えていたようだ。眷属の契約は基本的に死をもって解除される。獅子の幻獣は自ら生まれ変わることのないよう魔法をかけた上でその後命を絶った。その後その王がどうなったかはディルも死んでしまったため見届けられていない。
また、ディルが呪いをかけた時点で全ての精霊や幻獣たちはキャベルの王族に近寄ることすらなくなった。ディルも末裔に至るまで、ルナというかけがえのない愛し子を無理やりどうにかしようとした挙句殺したことを許すつもりはないと心に誓った。
酒場に情報を求めに行った時、リフィに過去の竜について話していた時にディルは三百年前の出来事を改めてつい昨日のことのように鮮明に思い出していた。それもあり、やはりどうしてもフォルを信用しきれない。血族とはいえ、人間の皆が皆全く同じだとはディルも思ってはいない。それでも可能性として全く同じような言動を取らないとも断言できない。
岩山に登るようになっても悩みは消えなかった。このままフォルたちをリフィと共に行動させていいものか。あの当時、フォルスに似た者も王族の中で見かけていたからかもしれない。血族であれば当然似る者はそれぞれの時代にいるものだろうが、フォルスだってその生まれ変わりでないとも言えない。当時の王族も、あの王以外はまともだったのかもしれないが、それでもやはり忌々しさしかないのもあり、余計に引っかかってしまうのだろうか。リフィと川のそばで過去の竜について話していた時も頭の片隅でそのことを考えていた。実際、竜が姿を隠すようになったのも正確には三百年前にルナが死んで以降のことだった。
洞窟に入り、最奥に辿り着いた時もまだ、悩みは解決していなかった。
しかしグルルが襲いかかってきた時はさすがに迷っている場合ではないと、ディルはリフィによってできた窪みのある壁に向かって目を閉じて祈るように念じた。リフィであろうがディルであろうが、この窪みの紋様の資格がある者の魔力を通せばそれが鍵となって封じられた扉は開く。
まだ幼竜であるとはいえ神幻獣のディルが元の姿でまともに戦えばグルルとも渡り合えたかもしれない。成竜でなくとも、倒すことすら不可能ではなかっただろう。だが自分が迷っていたせいだとディルは後で後悔した。迷っていたせいで戦う余地すらなくなった。リフィが危険な状態となったからだ。
何とかグルルから逃れたのはよかったが、意識のないリフィと眷属契約をしているディルも危険な状態となった。遠のく意識の中、ディルは必死の様子でリフィを助けようと光魔法を使うフォルの様子が目に入ってきた。意識を失いかけながらディルは改めて、自分こそまた守れなかったのかと悔やんだ。過去の記憶が戻っていなかった頃ならまだしも、こうして記憶を有した今でもこれでは意味がない。
せめてこの、グルルから逃れた場所が外であれば、もしくはこの先の竜の住みかであればと思った。ここはまだ扉の先とはいえ、洞窟内だ。魔法で守られているだけでなく結界を張った空間だ。精霊はいない。リフィ同様意識を失いかけている自分ではどうにもならなくとも精霊の力があればリフィは間違いなく助かるというのに。
ディルは何とか起き上がり、リフィを背中に乗せようとした。だがもう限界だったようだ。意識を失った。
『過去のキャベル王の犯した過ちは決して許せるものではないし、許すつもりは一切ない。だがフォル。いや、フォルス。お前は信頼してもよい』
フォルは魔力が例え枯渇しようともリフィを助けようとしてくれた。フォルの必死な様子はディルがリフィ同様瀕死の状態の時にも伝わってきていた。
それは旅の間だってわかっていたことだ。フォル、もとい、フォルスは過去のキャベル王のように利己的な者ではないと。リフィルナに対して酷いことをするはずもない者だと。
だが頭でわかってはいても、過去のことを思うとどうしても気持ちがついていかなかった。結果、ディルの迷いがリフィルナをまた危険な目に遭わせることとなった。これでは自分のほうがよほど信用ならない。
そもそも自分の命をかけてでも助けようとしてくれたあの必死なフォルスを見てしまっては、もはや信頼するしかなかった。それにフォルスがいなければ精霊の力を借りる前にリフィルナは命を散らしていただろう。助けてもらった恩を返さないなど、神幻獣として許し難いし自分の流儀に反する。
この先も決して呪いから解放させるつもりなど本当はなかった。だが。
信頼してもよい、と告げたディルにフォルスは目を見開いてきた。ディルは目を細めてそんなフォルスを見返す。
『過去にキャベル王は愛し子を殺すことにより、すべての精霊、幻獣の逆鱗に触れた。なによりも私のな。末裔に至るまで呪いから解放するつもりはなかった。だが私はフォルス、お前のことは信頼する』
まだ目を見開いたままだったフォルスは今の言葉をゆっくりと咀嚼するように理解したのだろう。今や完全に魔法が解けているため宝石のような青い色に戻ったその瞳から涙が溢れてきた。そしてホッとしたのだろう、フォルスはその場に崩れ落ちた。どのみち魔力は命に関わるほど使っただろうし限界だったと思われる。
ディルの声は聞こえていないコルジアだが、それでもずっとフォルスを気にしていたようで倒れる前に支えてきた。その際フォルスから何かが転がり落ちたようだが、誰もそれどころではなかった。フォルスはコルジアによって急きょ張られたテントに連れていかれた。それを見た後にディルは休ませているリフィルナの元へ向かった。
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