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23話 ※
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「那月……っ」
日陽は小さな声で何とか那月の名を呼んだ。気を抜くと変な声とともに名前を大きな声で呼んでしまいそうだった。だが那月はやめようともせず、シャツの中に手を入れ弄ってくる。
「ぁ、っ」
胸の尖りに指を這わされ、日陽はどうしようもなく唇を噛む。自分の中に埋め込まれている熱に、何もかも持っていかれそうな気がした。
何でこんなことに……。
必死になって声を堪えながらも思った。
昼休みになった途端、日陽は那月に連れ出されていた。智充とは必ず毎日一緒に食べているというわけではないし、女子のように約束しているわけでもない。ただ一緒に食べることが多いのもあって日陽が連れ出される時も少しポカンとしていた。
「何だよ、どうしたんだよ」
引っ張られるがままとはいえ日陽が聞くも「一緒に食べようと思って」と言われる。
「いや、別に一緒に食べるけどさ、何かこう、強引じゃないか。つかどこ行くんだよ」
「こっち」
こっちってどっちだよ……!
思いつつも日陽は仕方なしにつき合うと、校舎奥にある普段使われていない教室へ連れ込まれた。もしかして二人きりで昼食とりたかったのかなと日陽は思い、何となく少しきゅんとなる。
だが、食べ終えた途端那月は日陽に触れてきた。待て、無理だと言っても聞かない。
「こんなとこでとか嫌だって……!」
「大丈夫、鍵、かけてる」
「そういう問題じゃ……、っぁ、く」
抵抗しても無駄だった。大丈夫だと言いながら、那月は日陽に触れるのをやめない。キスされ、なぞられ、服を乱され、流されていく。いや、流されたいのではないのだが、抵抗する力もだんだん入らなくなっていく。
こういうことをしたくないのではない。日陽も男なので好きな相手とするのは嫌ではない。だがここは学校だ。周りには普通に人もいる。
それに食後、普通に那月と馬鹿な話をして笑うだけで楽しいのだ。というかそういう時間がとても嬉しいとさえ思う。
那月はそうではないのだろうか。何気ない時間を那月も幸せに感じてくれていると思っていたが、そうではないのだろうか。
それとも日陽がやはり乙女みたいな考えなだけなのだろうか。
「日陽の中……凄……」
「っぁ……っ」
椅子の上に座っている那月の上に座らされ、そのまま先ほどからひたすら突き上げられていた。日陽の中だけでなく、背中全体に那月の熱を感じる。まるで背後から思い切り抱きしめられるかのようにきつく腕を回され、そして時折体を弄られる。
乱れた制服だけではなく、自分の表情だけでも万が一誰かに見られたら一発でバレてしまうだろう。それくらい、今自分がどれほど情けない顔をしているか日陽も把握している。
「あ、っぅ……っ」
那月の家でする時はいつもつけないくせに、教室だからだろうか、那月はコンドームをつけている。飛び散らないようにするためか日陽もつけられている。そのせいか、日陽のものに触れられても中を刺激されても気持ちがいいのだがつい思わずもっと何か求めたくなるような気になる。
「腰、動いてるよ……」
那月にも気づかれたのか耳元で囁かれ、日陽は唇を噛みしめた。
こんなところでは嫌だ。
落ち着かないし、そもそも学校なのだ。だというのについ那月を突き放すどころかさらに何か求めてしまう自分もいる。
「は、……っく」
「日陽、かわいい……かわいい」
囁くと、那月は日陽の首筋へ舌を這わせてきた。そして今まではゆっくりだったのに激しく動かしてくる。
「っあ、あ……っ、あっ」
抵抗していたはずだというのに、流されるどころか思い切り受け入れてしまっている。ただもう何も考えられないとばかりに日陽は快楽に身を委ねた。
「あーっ、あー……」
恐ろしい程の波が自分の中に湧き上がってくる。もう無理だと思った瞬間、頭の中が真っ白になった。勝手に体が震え、日陽は思い切りコンドームの中へ射精した。
「っ、き、つ……っ」
耳元で低いのに甘い声が聞こえる。と同時に那月が思い切り中へ突き上げてきて小さく体を震わせた。
その後、那月が体をティッシュで拭ったり、乱れた制服を整えてくれている間も日陽は少しボーっとしていた。だがじわじわと腹が立ってくる。
「……日陽、怒ってる?」
制服をちゃんと着せてきた那月が微妙な笑顔で聞いてくる。何で、という風に那月を見ると「だって目が怖い」とやはり笑顔のまま言ってくる。
「……笑顔が強張るくらいならするなっての」
「ごめんな、なんかその、我慢できなくて」
笑いながらもどこか切なそうな顔され、日陽はそわそわと座りなおす。そして尻と腰が痛くて顔を少し歪めた。
「……痛い?」
「そりゃ何もしてない状態と同じなわけないだろ」
「だよね」
「お前、何考えてんの? 嫌っつっただろ。そ、そりゃ途中からは俺もその、あれだったけど……」
「あれ?」
「そこあえて聞くな」
「はい……」
えへへ、と笑っていた那月がしゅんとする。そんな顔を見ると強いことを言えなくなる。
「……何だったんだよ。何で学校ですんの」
「それはだって、日陽が欲しいから」
しゅんとしていた那月がじっと見ながら答えてきた。今度は少し困った気持ちになる。思わず少し目を逸らしながら日陽は「欲しかったらお前はどこでも盛んのかよ」と呟くように言う。
「うん」
「おい! そこはうん、じゃないだろ……!」
「だって」
「だってもへったくれもない。ほんと何考えてんだよ……もう昼休み終わるし、ほとんど何もできずに終わっちゃうだろ」
ため息つきながら言うと、那月がポカンとした顔をしてきた。
「何だよ」
「え、何もできずって、したのに?」
「……っお前反省する気ないだろ」
「ごめんね? でも俺は日陽と触れ合えて嬉しかった」
またえへへと笑う那月に、日陽の怒りなど気づけばどこかへ消えていた。
「……ったく。馬鹿那月」
「うん」
馬鹿と言われても、那月は嬉しそうにニコニコ笑ってきた。
日陽は小さな声で何とか那月の名を呼んだ。気を抜くと変な声とともに名前を大きな声で呼んでしまいそうだった。だが那月はやめようともせず、シャツの中に手を入れ弄ってくる。
「ぁ、っ」
胸の尖りに指を這わされ、日陽はどうしようもなく唇を噛む。自分の中に埋め込まれている熱に、何もかも持っていかれそうな気がした。
何でこんなことに……。
必死になって声を堪えながらも思った。
昼休みになった途端、日陽は那月に連れ出されていた。智充とは必ず毎日一緒に食べているというわけではないし、女子のように約束しているわけでもない。ただ一緒に食べることが多いのもあって日陽が連れ出される時も少しポカンとしていた。
「何だよ、どうしたんだよ」
引っ張られるがままとはいえ日陽が聞くも「一緒に食べようと思って」と言われる。
「いや、別に一緒に食べるけどさ、何かこう、強引じゃないか。つかどこ行くんだよ」
「こっち」
こっちってどっちだよ……!
思いつつも日陽は仕方なしにつき合うと、校舎奥にある普段使われていない教室へ連れ込まれた。もしかして二人きりで昼食とりたかったのかなと日陽は思い、何となく少しきゅんとなる。
だが、食べ終えた途端那月は日陽に触れてきた。待て、無理だと言っても聞かない。
「こんなとこでとか嫌だって……!」
「大丈夫、鍵、かけてる」
「そういう問題じゃ……、っぁ、く」
抵抗しても無駄だった。大丈夫だと言いながら、那月は日陽に触れるのをやめない。キスされ、なぞられ、服を乱され、流されていく。いや、流されたいのではないのだが、抵抗する力もだんだん入らなくなっていく。
こういうことをしたくないのではない。日陽も男なので好きな相手とするのは嫌ではない。だがここは学校だ。周りには普通に人もいる。
それに食後、普通に那月と馬鹿な話をして笑うだけで楽しいのだ。というかそういう時間がとても嬉しいとさえ思う。
那月はそうではないのだろうか。何気ない時間を那月も幸せに感じてくれていると思っていたが、そうではないのだろうか。
それとも日陽がやはり乙女みたいな考えなだけなのだろうか。
「日陽の中……凄……」
「っぁ……っ」
椅子の上に座っている那月の上に座らされ、そのまま先ほどからひたすら突き上げられていた。日陽の中だけでなく、背中全体に那月の熱を感じる。まるで背後から思い切り抱きしめられるかのようにきつく腕を回され、そして時折体を弄られる。
乱れた制服だけではなく、自分の表情だけでも万が一誰かに見られたら一発でバレてしまうだろう。それくらい、今自分がどれほど情けない顔をしているか日陽も把握している。
「あ、っぅ……っ」
那月の家でする時はいつもつけないくせに、教室だからだろうか、那月はコンドームをつけている。飛び散らないようにするためか日陽もつけられている。そのせいか、日陽のものに触れられても中を刺激されても気持ちがいいのだがつい思わずもっと何か求めたくなるような気になる。
「腰、動いてるよ……」
那月にも気づかれたのか耳元で囁かれ、日陽は唇を噛みしめた。
こんなところでは嫌だ。
落ち着かないし、そもそも学校なのだ。だというのについ那月を突き放すどころかさらに何か求めてしまう自分もいる。
「は、……っく」
「日陽、かわいい……かわいい」
囁くと、那月は日陽の首筋へ舌を這わせてきた。そして今まではゆっくりだったのに激しく動かしてくる。
「っあ、あ……っ、あっ」
抵抗していたはずだというのに、流されるどころか思い切り受け入れてしまっている。ただもう何も考えられないとばかりに日陽は快楽に身を委ねた。
「あーっ、あー……」
恐ろしい程の波が自分の中に湧き上がってくる。もう無理だと思った瞬間、頭の中が真っ白になった。勝手に体が震え、日陽は思い切りコンドームの中へ射精した。
「っ、き、つ……っ」
耳元で低いのに甘い声が聞こえる。と同時に那月が思い切り中へ突き上げてきて小さく体を震わせた。
その後、那月が体をティッシュで拭ったり、乱れた制服を整えてくれている間も日陽は少しボーっとしていた。だがじわじわと腹が立ってくる。
「……日陽、怒ってる?」
制服をちゃんと着せてきた那月が微妙な笑顔で聞いてくる。何で、という風に那月を見ると「だって目が怖い」とやはり笑顔のまま言ってくる。
「……笑顔が強張るくらいならするなっての」
「ごめんな、なんかその、我慢できなくて」
笑いながらもどこか切なそうな顔され、日陽はそわそわと座りなおす。そして尻と腰が痛くて顔を少し歪めた。
「……痛い?」
「そりゃ何もしてない状態と同じなわけないだろ」
「だよね」
「お前、何考えてんの? 嫌っつっただろ。そ、そりゃ途中からは俺もその、あれだったけど……」
「あれ?」
「そこあえて聞くな」
「はい……」
えへへ、と笑っていた那月がしゅんとする。そんな顔を見ると強いことを言えなくなる。
「……何だったんだよ。何で学校ですんの」
「それはだって、日陽が欲しいから」
しゅんとしていた那月がじっと見ながら答えてきた。今度は少し困った気持ちになる。思わず少し目を逸らしながら日陽は「欲しかったらお前はどこでも盛んのかよ」と呟くように言う。
「うん」
「おい! そこはうん、じゃないだろ……!」
「だって」
「だってもへったくれもない。ほんと何考えてんだよ……もう昼休み終わるし、ほとんど何もできずに終わっちゃうだろ」
ため息つきながら言うと、那月がポカンとした顔をしてきた。
「何だよ」
「え、何もできずって、したのに?」
「……っお前反省する気ないだろ」
「ごめんね? でも俺は日陽と触れ合えて嬉しかった」
またえへへと笑う那月に、日陽の怒りなど気づけばどこかへ消えていた。
「……ったく。馬鹿那月」
「うん」
馬鹿と言われても、那月は嬉しそうにニコニコ笑ってきた。
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