月と太陽

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17話 ※

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 休みの度に必ず那月と会う約束をしているわけではない。日陽は基本的に先約優先するタイプだ。なので先週は智充たちとの約束を優先させた。ただ那月も友人だしと思い「一緒に」と誘うと断られた。

「うーん、やめとく。じゃあね、代わりに来週は俺と約束して欲しいな」
「うん」
「俺の家に来てね」
「うん」

 そんな風なやりとりで終わっていたのだが、軽い感じのやりとりだったはずが、いざ家へ遊びに行けば全然、体的に軽くなかった。

「ぅ、う……っ、んっ」
「ずっとお尻弄ってたらこんなに解れちゃうんだね。日陽のここ、今もうお尻の穴とは思えないくらいエロくなってる」

 声を堪えていたら耳元で囁かれ、日陽は思わず顔を枕に埋める。

「こんなにとろとろで真っ赤になって。ほんとにお尻の穴かなこれ」
「おま……、っも、うやめ……」
「イヤ。ずっと弄ってるとどうなるか試してみたいなあって思ってたんだ」
「どう、もなら、ない」

 嘘だ。今でもすでに頭の芯まで溶かされるようでおかしくなりそうだった。だというのにやめるどころか指を増やされ、さんざん弄られた。

「俺の指、ふやけて皺になってる。そんで日陽のここは指抜いたらひくついててさ。たまに力入るんでしょ? その時ね、小さいけど縦にぽっかり開いてる感じ」

 いちいち言うな、と強く言い返したい。だが声を出そうにも変な声になりそうで出し難い。
 実際そこは那月の、いくつか知らないが入っていた指を全部抜かれると、少しすーすーする感じさえした。それでも指が抜かれたことにホッとしていると「何かそういうおもちゃ入れたくなる気持ち、わかる気する」と那月が呟いてきた。

「……は?」
「あるだろ、大人のおもちゃってやつ。あーいうのさ、使って何が楽しいんだろって思ってたんだけどね」

 那月が怪訝そうな顔をしながら言う。正直な話、日陽は逆にそういう系のAVも大いに自己活動に活用させていただいていたので何とも言えない。ただ、それはあくまでも男女ものであって、その上そういう目的目線で見ていただけなので、実際つき合ってきた彼女相手にしたいと確かに思ったことないし、ましてや自分に使いたいと思ったこともない。

「今の日陽の穴見てたらわかる気がさ、したなぁって」
「い、嫌だからな!」

 冗談じゃないとばかりに即否定すれば、那月がさらにきょとんとした顔で日陽を見てきた。そして笑いだす。

「何となくわかるなぁって思っただけだよ。俺だって日陽に変な道具入れるくらいなら、俺の入れたい」
「……っな、に言って」

 馬鹿なことを言うなと言いたかったが「俺のを入れたい」と言われただけで体の芯が熱くなり、日陽は顔を逸らした。

「ほんとのことだよ。そこでだけど。ね、日陽。もっともっとお尻、沢山弄って欲しい? それとも俺のが欲しい? どっち?」

 ニコニコ優しい笑顔のまま、優しい口調でろくでもないことを那月は聞いてきた。気持ちよくなるのは好きだし、男同士だというのもあってある程度なら積極的にもなれるし堂々としていられる。だがある程度までだ。
 こちらが犯してやろうかとさえ少し思う。それくらい、される側というのは心許無いというか、恥ずかしさが嫌というくらい湧いてくる。おまけに何て言うのだろうか、まるで自分が雌扱いされているような感じがして屈辱感も少し湧く。
 もちろん好きな相手とセックスをすること自体はとても嬉しいし気持ちいいだけでなく幸せでもある。ただ、そんな風に聞かれると羞恥心と屈辱感のような何かが湧いてきて、まるで馬鹿みたいに顔が熱くなって俯かざるを得なくなくなる。そのくせ体の芯はますます疼いてくる。

「言って?」

 気持ちいいところを聞かれて答えるくらいは言える。だが那月の質問はどちらであってもまるで日陽が自ら女扱いを望んでいるかのようで言いたくない。好きだからこそ、本来なら受け入れるものでなかったものを受け入れられるのであって、女扱いされたいわけではない。

 ……でもほんとはして欲しい。

 ただ、日陽の理性ではなく本能が体の疼きを通してそんなことを言ってくる。女扱いされたいわけじゃないが、今すぐ入れて欲しいと体が訴えてくる。

「ああもう……!」

 思わず日陽はまた枕に顔を突っ伏した。

「何? 照れて突っ伏したの? そのわりに頭隠して尻隠さずになってるけど」

 確かに突っ伏したせいで尻を突き上げるような状態になっていた。日陽はムッとした顔を少し那月へ向けると、また枕に顔を埋める。

「……お前の」
「え?」

 今は意地悪とかではなく、本当にわからないといった感じで那月が聞き返してきた。

 聞いておきながら、ちゃんと耳澄ましておけよな!

 ますます顔が熱くなるのを感じながら、日陽は顔を埋めたまま繰り返した。

「お前の、が……いい」
「……」

 返事が返ってこない、と思ったら突然尻を抱え上げられた。

「なっ」

 次の瞬間にはぐぐっ、と中が押し広げられる感覚がした。
一番太い部分が入ってきた瞬間、衝撃で思わず大きな声が出て、日陽は慌てて枕に顔をさらに押しつける。

「っ、はる、ひ。そんなに顔、押しつけたら変な跡、ついちゃうよ……」

 声が出るのも嫌だが、顔に変な跡を残したままなのも間抜けで嫌だと、日陽は横を向いた。そして自分の腕を敷いて肩に噛みつく。

「何でそんな声出るの嫌がるの? 俺の家、いつも誰もいないでしょ? 沢山出しても大丈夫だよ」

 そういう問題じゃないとばかりに横顔で那月を睨み上げると、少し笑われた。那月は体を伸ばすと背後から頬にキスをしてくる。

「肩に歯形残るのはいいの?」

 コクリと頷くと「じゃあ後で俺の体にも日陽の跡、残して欲しいな」などとわけのわからないことを言いながら、それをますます深く押し込んできた。自分の肩に噛みつきながらも、その肩で息をするように呼吸が荒くなっていく。だんだんと涙も滲んできた。ぞくぞくと背中が反り返る。
 那月の熱くて硬くて大きくて、そして太いものが日陽の腹の中全部を占めてくる感じがする。苦しくて堪らないのに、その存在感が気持ちよくもあり、日陽はぶるりと体を震わせる。

「苦しい?」

 聞いてくる那月の声もどこか苦しそうに聞こえる。なので日陽も「イきたい?」と聞いてやった。

「すごく。でも堪えてる」
「な、んで」
「日陽に沢山気持ちよくなって欲しいから」

 後ろを掘られると、変な母性のような、男とは違うホルモンでも湧いて出てくるのだろうかと日陽は思った。普段なら決してそんな言葉で気持ちよくなどならない。物質的な快楽が全てのはずだというのに、今は那月のそんな言葉ですら日陽の奥が切ないほどじんじんと熱く疼いてくる。

「俺も気持ち、いいから。……だからいっぱい動いていいよ」

 囁いた途端、日陽の中で那月のものが大きくなった。
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