ホンモノの恋

Guidepost

文字の大きさ
上 下
33 / 45

33話 ※

しおりを挟む
 キスで蕩けているエロさに恵は自分で気づいていないのだろうかと、聖恒は興奮しながら思っていた。無理やりだけはしたくないと思いながらも、どうしようもない。
 真面目すぎる恵に呆れてもいる。言っていることは間違っていないのだろうし、正当な考えではあるのだろうとは思う。だがお互い恋人なのにそんなの、と納得することもできない。
 いっそ強引にとさえ考えてしまうが、それだけは嫌だった。かといって本当に聖恒自身が十八歳になるまで待つなんて拷問過ぎる。恵のことだから聖恒が誕生日を迎えても「高校生だし、卒業するまで待とう」くらい言ってきそうなものだ。その考えに至ると、あまりにも恵がそう思いそう過ぎて聖恒は戦慄を覚える。大袈裟かもしれないが、性少年にとっては深刻だった。

 こうなったら揚げ足でも何でも取る。

 恵の下を乱すと、予想通りだが恵が焦りながら抵抗してきた。

「何で嫌がるの?」
「当たり前だろ……! ここ、学校なんだぞ、それも誰でも入って来られる教室っ」
「オッケーわかった。鍵かけたらいいんだよね」
「そ、そういう問題じゃ……」
「このままするのと鍵かけてくるの、どっちがいい?」
「鍵かけるほうに決まってる!」

 恵の切羽詰まった様子に聖恒はニッコリする。

「了解」

 そして意気揚々と鍵を閉めに行った。ホッとしているようだった恵は、だが壁に沿うようにその場にへたりこんだ後に少し呆然としてから「……待て」と呟いてきた。今の流れにようやく気づいたというか、我に返ったようだ。

 でももう遅いけどね。

 聖恒は一つしかない出入口のドアを改めて施錠確認してからすぐに恵の元へ戻った。そしてへたりこんでいるのをいいことに覆い被さる勢いで恵を抱き寄せる。

「っちょ、ま、待て待てっ」
「めぐちゃんが選んだよね、鍵かける方って」
「いや、だからといっ」
「それにめぐちゃんから言ったんだよね、抜いてくれるくらいはしてくれるって」
「でも……っ、ん」

 それ以上何も言わせないという勢いで、聖恒は恵にキスした。とてつもなく揚げ足取っているのは自覚している。無理やりしたくないと思いつつ、結構無理やりかもしれない。それさえも「めぐちゃんの確認は取っている」と自分を誤魔化している。卑怯かもしれないがどうしようもなかった。

「っ、は……」

 恵は本当に気づいていないのだろうか。唾液のやり取りをすればするほど蕩けてくる自分の表情や様子に。

「駄目だって言いながら煽ってくるのはずるい」
「……は……?」

 普段はクールといってもいい表情を恵はしているだけに、温度差が激しすぎると聖恒は喉を鳴らした。恵はといえば、蕩けそうな顔をしながらも怪訝そうで、それがまたかわいくて煽られる。
 ミルクティーみたいな子が好みだったのに、いつの間にかハーブティーのような人がとてつもなく好みになっている。

「あ、っちょ、ほんとに……」

 乱したままの下肢に手をやると、恵はハッとした様子でそれを遮ろうとしてきた。だが構わず聖恒はズボンと下着を脱がし、キスを続けながらそれに触れた。
 ペニスはまだ股間にぶらんと垂れ下がった状態であり、それすら聖恒にとってはかわいくて堪らなかった。手のひらにすっぽりと収まる柔らかいものを愛おしげに触っていると、だんだんとそれが大きく硬くしっかりした形を成してくる。

「ほん、と……駄目、だ……」

 駄目だと言いながらも恵の顔は相変わらず蕩けたままで、聖恒が止めるには鋼の意志が必要そうだった。

「ごめんね、めぐちゃん……俺、あまり志強くなくて」
「何の、話だよ……」
「……ね、結構硬くなったよ? 凄いね。俺、自分の以外の男のやつ触ったの初めて。自分の以外のが勃ってんの見たのも初めて」
「そ、んなの聞きたくない」

 ムッとしたように言いつつも恵が少し顔を逸らしてくる。

「頼む、こんなとこでと、か……止めよ、う」
「めぐちゃん……ごめんね……好きなんだ。そんで好きだからしたい。さっきも言ったけど、抜いて欲しいんじゃないんだ。好きの延長で、いちゃいちゃの延長でこういうこと、したい」

 つい気持ちが昂って、声が掠れる。

「ホテルも行ってくれないし、俺、もうね、そろそろ限界で。ごめんなさい。好き」

 好きだと何度も繰り返しながらキスする。してはいけないことをこれで許してもらいたいとばかりに、免罪符かのように好きだとキスを繰り返す。
 聖恒の手にある恵のものが質量を増し、先が濡れてきた。それに気づくと、とてもたまらなくなる。壁に恵の体を押しつけ、聖恒は恵の片方の足の膝裏に空いている方の手をかけ、ぐっと持ち上げる。恵にとっては少々キツい体勢らしく、苦しそうな顔をしてきた。それすらも聖恒を煽ってくる。

「めぐちゃん、エロい」
「きよ……っ、ほんと……、止めろ……」
「もうこんなに大きくして濡らしてんのに? ねえ、音聞こえる」
「っくそっ」

 先ほどからひたすら聖恒を遮ろうと邪魔だった手は、今聖恒が言ったせいか恵自身の顔を覆うのに使ってきた。

「お願い……嫌がらないで……。無理やりはしたくない……勝手なこと言ってんのはわかってる、けど……お願い、めぐちゃん……俺とイきたいって思って?」
「馬鹿! 俺だってきよが好きなんだ、したいに決まってるだろ……でもきよは未成年なのに……くそ……もう……っ」

 手で顔を覆いながら言う恵の様子に、ますます申し訳なさを覚えつつも愛しさが湧く。

「好きだよ……好き……」

 足を持っていた手を一旦離すと自分のを取り出した。聖恒は恵のと一緒にして持つ。とても熱かった。もちろん、部屋にも熱気が籠っている。このままだと熱中症か恵への思いが高まり過ぎてか、どちらかで倒れてしまうかもしれない。

「ぅ、あ……」
「熱いね……めぐちゃんのが俺のと一緒になってるの、めぐちゃんも感じる……? ごめんね、凄い気持ちいい……っ、めぐちゃんも気持ち、いい……? は……、めぐちゃん……、好き……かわいい……」
「くそ、俺だってきよが好きだよ……! もう……、くそ……っ、気持ち、いいよ……っ」

 恵が聖恒を抱き寄せてくる。心臓が止まるかと思った。人工呼吸をしてもらうかのように聖恒は恵の唇へ吸いついた。

「っは、ぁ……、好き……、好き、めぐちゃん……これ、ヤバい、ね……めぐちゃんのと一緒に擦れ合って……、ヤバ過ぎて俺、も……イきそ……」

 汗の匂いと恵自身の匂いにクラクラする。卑猥な水音が時折聞こえた。恵と聖恒のものを一緒に持っていると亀頭同士が擦れ合い、熱が伝わりあってたまらなかった。

「俺、も……、も……、無理……っ、ぁ、は……っ、くっ」

 先ほどまで聞かされていた「無理」と違う今の「無理」はとても嬉しく聞こえた。

「俺も、俺も、もう、イっちゃい、そうだよ……、めぐちゃ、っ、あっ、あ……っ」

 恵がビクリと体を震わせると同時にそこもふるりと震えた後、達してきた。それにつられるかのように、聖恒も激しい絶頂感を覚え、白濁をほとばしらせた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

青少年病棟

BL
性に関する診察・治療を行う病院。 小学生から高校生まで、性に関する悩みを抱えた様々な青少年に対して、外来での診察・治療及び、入院での治療を行なっています。 ※性的描写あり。 ※患者・医師ともに全員男性です。 ※主人公の患者は中学一年生設定。 ※結末未定。できるだけリクエスト等には対応してい期待と考えているため、ぜひコメントお願いします。

虐げられている魔術師少年、悪魔召喚に成功したところ国家転覆にも成功する

あかのゆりこ
BL
主人公のグレン・クランストンは天才魔術師だ。ある日、失われた魔術の復活に成功し、悪魔を召喚する。その悪魔は愛と性の悪魔「ドーヴィ」と名乗り、グレンに契約の代償としてまさかの「口づけ」を提示してきた。 領民を守るため、王家に囚われた姉を救うため、グレンは致し方なく自分の唇(もちろん未使用)を差し出すことになる。 *** 王家に虐げられて不遇な立場のトラウマ持ち不幸属性主人公がスパダリ系悪魔に溺愛されて幸せになるコメディの皮を被ったそこそこシリアスなお話です。 ・ハピエン ・CP左右固定(リバありません) ・三角関係及び当て馬キャラなし(相手違いありません) です。 べろちゅーすらないキスだけの健全ピュアピュアなお付き合いをお楽しみください。 *** 2024.10.18 第二章開幕にあたり、第一章の2話~3話の間に加筆を行いました。小数点付きの話が追加分ですが、別に読まなくても問題はありません。

イケメン俳優は万年モブ役者の鬼門です

はねビト
BL
演技力には自信があるけれど、地味な役者の羽月眞也は、2年前に共演して以来、大人気イケメン俳優になった東城湊斗に懐かれていた。 自分にはない『華』のある東城に対するコンプレックスを抱えるものの、どうにも東城からのお願いには弱くて……。 ワンコ系年下イケメン俳優×地味顔モブ俳優の芸能人BL。 外伝完結、続編連載中です。

後輩に嫌われたと思った先輩と その先輩から突然ブロックされた後輩との、その後の話し…

まゆゆ
BL
澄 真広 (スミ マヒロ) は、高校三年の卒業式の日から。 5年に渡って拗らせた恋を抱えていた。 相手は、後輩の久元 朱 (クモト シュウ) 5年前の卒業式の日、想いを告げるか迷いながら待って居たが、シュウは現れず。振られたと思い込む。 一方で、シュウは、澄が急に自分をブロックしてきた事にショックを受ける。 唯一自分を、励ましてくれた先輩からのブロックを時折思い出しては、辛くなっていた。 それは、澄も同じであの日、来てくれたら今とは違っていたはずで仮に振られたとしても、ここまで拗らせることもなかったと考えていた。 そんな5年後の今、シュウは住み込み先で失敗して追い出された途方に暮れていた。 そこへ社会人となっていた澄と再会する。 果たして5年越しの恋は、動き出すのか? 表紙のイラストは、Daysさんで作らせていただきました。

ヤンキーDKの献身

ナムラケイ
BL
スパダリ高校生×こじらせ公務員のBLです。 ケンカ上等、金髪ヤンキー高校生の三沢空乃は、築51年のオンボロアパートで一人暮らしを始めることに。隣人の近間行人は、お堅い公務員かと思いきや、夜な夜な違う男と寝ているビッチ系ネコで…。 性描写があるものには、タイトルに★をつけています。 行人の兄が主人公の「戦闘機乗りの劣情」(完結済み)も掲載しています。

消えない思い

樹木緑
BL
オメガバース:僕には忘れられない夏がある。彼が好きだった。ただ、ただ、彼が好きだった。 高校3年生 矢野浩二 α 高校3年生 佐々木裕也 α 高校1年生 赤城要 Ω 赤城要は運命の番である両親に憧れ、両親が出会った高校に入学します。 自分も両親の様に運命の番が欲しいと思っています。 そして高校の入学式で出会った矢野浩二に、淡い感情を抱き始めるようになります。 でもあるきっかけを基に、佐々木裕也と出会います。 彼こそが要の探し続けた運命の番だったのです。 そして3人の運命が絡み合って、それぞれが、それぞれの選択をしていくと言うお話です。

無自覚両片想いの鈍感アイドルが、ラブラブになるまでの話

タタミ
BL
アイドルグループ・ORCAに属する一原優成はある日、リーダーの藤守高嶺から衝撃的な指摘を受ける。 「優成、お前明樹のこと好きだろ」 高嶺曰く、優成は同じグループの中城明樹に恋をしているらしい。 メンバー全員に指摘されても到底受け入れられない優成だったが、ひょんなことから明樹とキスしたことでドキドキが止まらなくなり──!?

処理中です...