ケーキと幼馴染

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19話 ※

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 確かに何本かの指で解されてた筈だし、何度も弄られていたからまさかこんなに痛いとは思っていなかった。
 稀斗は何とかちゃんと息を整えようとする。今は一旦ある程度挿ったのか、祐真のものは同じところに留まったままだった。挿ってきた時あたりが一番きつかったかもしれない。自分にもあるものだから何となくわかるが、多分カリの部分が苦しかったのじゃないだろうかなどと、どうでもいいことを考える。そうして気をそらそうとするのだが、やはり苦しい。

「……きぃ……やっぱり、痛い? 苦しい? ご、ごめんね、俺、抜いたほうが、いいよ、ね……」

ある程度挿れて多分慣れるまでジッとしてようと思ったのだろうが、祐真は祐真で苦しそうだった。もちろん稀斗の苦痛とは違う意味で苦しいのだろうが、それでも堪えてる感じが伝わって来る。

「……いい。ここまでしといて、何、それ。最後まで、やれば」

 力のない声しか出なかったが囁くように言うと祐真が後ろから「っきぃ!」と抱きついてきた。その際に祐真のものが中で動き、稀斗はまた歯を食いしばった。

「あ、ご、ごめ……」
「い、いから……動、け」
「……っ」

 ここまでくればもういっそ最後まで、それもなるべく早めにしてくれたほうがありがたいという気持ちが伝わったのか、祐真が動き出す。

「きぃ、きぃ……、好き」
「っふ、っく……、ぅう、んっ」

 祐真のものが貫くように挿ってきてはずるりと音が聞こえそうな程抜けていくのがわかる。熱されすぎて感覚がおかしくなっているのかというほどに、痛みが今もなお感じるのに祐真のものがどう動いているのかが物凄く伝わってきた。
 キスされて体に触れられて、と流されていたのは祐真に弱いからという他に快楽に流されているせいだと思っていたが、今これほどに苦痛だというのに、稀斗はやはりひたすらされるがままだ。

「ぁ、っく……」

 次第に自分の後ろがどうなっているのかもだんだん麻痺してきた。もちろん痛みは残っているのだが何がどうなっているのかわからなくなってきている。祐真のものも、ただそこにあるという圧倒的な質量しかもうわからない。
 とはいえ、ただひたすら苦痛というわけでもなかった。言い様のない感覚が微かにある。
 稀斗はそのか細い糸のような感覚になんとかすがりつこうとしていた。

「っん、ぅ、うっ」
「きぃ……」

 祐真が少し動きを緩やかにしながら囁いてきた。そして稀斗のものに手が伸びてくる。

「……ぁ」

 思わず吐息が漏れた。

「好き。どうしようもなく好き」

 絞り出すように囁きながら、祐真の手が後ろから稀斗のものを扱いてくる。
 先程変な風に何度も達したものの、まだ一度も射精していなかった稀斗のそれは一旦小さくなっていたが瞬く間にまた大きく、硬くなった。後ろは相変わらず辛いはずなのに、と稀斗は違う意味で涙目になりそうだった。

「あ、あっ、ああ」
「きぃ、楽? ちょっとは気持ちよくなれる? きぃ……好きだよ、きぃ」

 祐真は前を扱きながら少し動きを早めてきた。

「ひ、ぁ……っ」

 やはりきついことはきついのだが、先程必死になってすがりつこうとしていたか細い糸が少し明確になった気がする。

「あ……ぁ、ぁ」

 苦痛なほどの祐真のものなのに、もっとちゃんと捉えたくて仕方がなくなってくる。何かまた表現しがたいものが腹の辺りに渦巻いてる気がした。だがそれが何かわかる前にぬるりとしていた亀頭を何度も扱かれ、そちらに気が行った。

「ん、ぁ……あっ」

 弱い部分を完全に知られており、苦痛しかなかったはずの稀斗だが呆気なく熱を放出した。

「っき、ぃ……っ」

 その途端、祐真が切なげな声をあげて思い切り稀斗の中を突き上げてきた。

「……ぁ」

 一瞬、稀斗の意識が飛びそうになった。だが何とか手を握りしめる。ずるりと祐真のものが抜けたのを、どこか遠い意識が感じとっていた。
 放心状態でしばらくぼんやりしていると祐真が色々と世話を焼いてきていた。

「きぃ、大丈夫……?」

 いつの間に持ってきていたのかわざわざ濡れタオルで稀斗の体を拭きながら、祐真はおずおずといった様子で聞いてきた。

「あちこち痛い」
「そ、そうだよね、ごめんね……」

 ぼそりと答えると目を潤ませている。稀斗はため息をついた。

「……頭出せ」

 呟くと祐真は恐る恐るといった風に横になっている稀斗に差し出してきた。

 殴られると思ったんだな。

 稀斗は手を伸ばし祐真の頭を思い切りつかんだ後、撫でた。

「き、ぃ……?」
「んな謝んな。何か俺が無理やりされたみたいだろ……」
「だ、だって」

 祐真がぎゅっと抱きしめてくる。

「重い」

 のしかかってくる祐真をずいっと力なく押し込もうとしながらも、稀斗はぶっきらぼうに呟きつつ考えていた。
 祐真と本当に最後までしてしまった。もう後戻りが完全にできなくなった気がする。それに快楽に流されているのかもと思っていたが、そうではないともわかった。あんなに苦痛でさえあったというのに、やはり自分はどこか「まあいいか」と思っている。これが「そういうこと」でなければ何だというのだ。

「ゆう」

 名前を呼びかけると祐真が心配そうに稀斗を見てきた。稀斗は相変わらず力ないまま呟いた。

「俺、もしかしたらお前のこと……好きかもしれない」

 祐真は目を見開いたまま固まる。

「悪い。かもしれない、としか言えねえ。でも多分そうじゃないだろうか……」

 言いかけている途中でだが、稀斗は続けられなくなった。

「きぃ……、きぃー……好き、好き……ありがと……嬉し……」

 固まっていたはずの、自分よりもずっと大きくて恰好もいいはずの祐真が思いきり泣きじゃくりながら稀斗を抱きしめてきたからだ。

「……ばかやろ……。でっかい図体して相変わらず、すぐ泣いてんじゃねえ……」

 突き離すように言いながらも、稀斗はひたすらぎゅっと抱きしめところどころで嗚咽をあげてくる祐真の背中にそっと手を回した。

「ほんと、お前は……」

 ぽんぽん、とゆるく背中を叩くと祐真が「かもしれなくても、いい。きぃ、好きだよ、俺がきぃの分まで大好きだから」とくぐもった声で切なげに漏らす。

 ああ、俺、やっぱこいつのこと、どうしようもねえわ。

 稀斗はそっとため息をつきながら、回した腕の力を少し強めた。
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