ニコラシカ

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9話 ※

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 確かに酒でわざと酔わせて少し楽しんでやろうとは思った。わざと缶のままではなくグラスにして、どれだけ飲んでいるかもわからないようにもした。
 だがここまで本当に酒に弱く流されやすいとむしろ心配になってくる、と郭夜は微妙な顔で思う。もしどこかの女が朝哉を狙うなら酔わせて既成事実を作れば簡単な気がする。朝哉はいとも簡単に引っかかるだろう。万が一郭夜のように、男だけれども朝哉が好きだと思う者が居たらそれも最悪だ。やはり今のように流され、訳がわからない内に襲われそうだ。

「お前、ほんと外で酒飲むな」
「なんでだよ……、つかマジあんま触んねーで。やべーから」

 ヤバいのはお前だよ。

 そう思いつつも郭夜は朝哉の耳元で囁く。

「やばい? ならむしろ触るけど」

 朝哉が「ヤバい」と言ったのは適当でもなんでもなく、本当のようでそこは既に硬くなっていた。下半身までチャラいのかよ、と呆れつつも正直、少し嬉しい。自分相手でも勃つのかと思えて嬉しい。
 だが多分結構酔っているし、郭夜相手だとあまり意識していないのかもしれない。いっそこのまま好きにしてやろうかと思ったが、自分だとちゃんと把握していないかもしれない相手としても楽しくない。
 先ほど朝哉が「ヤりたくなるから触んないで」と言ったことを思い出す。実際のところ、郭夜は別にどっちでもよかった。自分がする側だろうが受け入れる側だろうが、気にしない。
 もちろん受け入れたことなどないので安心できるのはする側だけれども、それを言うなら朝哉はもっとそう思いそうだ。
 しかも朝哉は痛みに弱い。チャラそうな外見の通り、アクセサリーも好きなようでよく指輪やネックレスを付けていることはある。下手したら髪留めすらつけている。だがピアスだけはしない。郭夜が「ピアスのが目立つしつけやすいんじゃないのか」と前に聞いた時は「痛ぇのは絶対ヤダ」と返ってきた。
 そんな朝哉が、郭夜のものを受け入れる側になれるとは思い辛い。
 正直、別に突っ込まなくても抜き合うだけでもいい気もするが、もし万が一そういった行為をするとしたら、やはり自分が受け入れる側のほうがことを進めやすそうだなと郭夜は思った。
 そんなことをぼんやり考えていたら朝哉が無意識というか生理的現象に基づいてか、腰をもぞもぞとさせてきた。昂り辺りに手を置いたままだったので思い切り朝哉の感触が伝わってくる。
 改めて、やはり朝哉のことが好きなのだろうなと郭夜は思った。男のそれなんて見たくも触りたくもないはずなのに、朝哉のだと思うとそわそわして胸が苦しくなる。自分と同じものがついているだけなのに、気持ちが高鳴りどうにかしたくなる。

「朝哉?」
「んー、ヤベー……」

 ほんとヤバいのお前な。

 再度郭夜は思う。性的にやばいとかそういう甘く官能的な意味ではなく、こいつ大丈夫だろうかという意味だ。

「……本当に、なんで俺、お前が好きなんだろうな」

 少し苦笑しながら呟くと、郭夜はまた朝哉の唇に自分のを重ねた。そして朝哉の前をくつろげるとゆっくり扱きだす。

「ん、ぁ」

 朝哉はピクリと体を震わせるとむしろキスをし返してきた。そして郭夜に覆いかぶさってくる。

「お前……絶対酒、外で飲ませない」

 さらに呆れたように呟きながらも、郭夜は朝哉の昂りを扱きながらもう片方の手で朝哉を抱きしめる。唇が離れるとゆっくりと朝哉の匂いを嗅ぐかのように深呼吸した。自分のものに触れてもいないのにどんどん腰の奥が疼いてくる。
 郭夜は小さく舌打ちすると自ら前をくつろげ、自分のものを取り出す。それは案の定、少し反応して擡げていた。覆いかぶさってくる朝哉が郭夜の体をまさぐってくる。
それは気持ちがいいし嬉しくもあるが、どこぞの女とまた間違えているのだろうかと思うと少し、いや、かなりイラつきもした。

「お前なんかに遠慮なんてしてやらない」

 呟くと、郭夜は下になったまま朝哉のと自分のを一緒に握る。朝哉のがとても熱くて、郭夜はそれだけでビクリと震えそうだった。だが一緒に扱くと敏感な部分が擦れ合い、堪らない気持ちになる。

「っ、ぁ……く」

 郭夜が思わず思わず声を漏らすと「声、エロぃね」と呆けたような目をしながら息を乱し始めた朝哉がまたキスをしてくる。
 舌打ちをすればいいのか喜べばいいのかわからないまま、郭夜は夢中になって朝哉の唇を貪りながら手を動かした。熱くて硬い朝哉の昂りと、同じく硬くなっている自分の昂りの先から洩れる先走りがお互いのものと郭夜の手を濡らしてくる。そのうち卑猥な音がかなり響いてきた。

「やべ、気持ちいー……」

 手でいいようにされるがまま、朝哉はキスを続けながら空いている手で郭夜の頭を撫でてきたり耳や首筋、肩などを優しく触れてくる。そのうち郭夜の服をめくりあげてきて腹の辺りからそっと撫でてきた。

「ぁ、は……」

 どうしようもない程気持ちも昂り、郭夜は涙目になりながら夢中になって腰を揺らしつつ手を動かした。

「ん、ごめ。も……イく……」

 唇を離した朝哉が耳元で囁いてきた。その声に、かなり高まっていた郭夜の熱が先に我慢できずに爆ぜた。

「は、ぁ……っ」

 びく、びくと体を震わせながらも手をまだ動かしていると朝哉のそれも大きく膨れ上がり、次の瞬間にはどくどくと白濁を吐き出してくる。郭夜と朝哉の精液が混ざり合い、郭夜の手やお互いのものだけでなく、服がめくれあがった郭夜の腹をたっぷり濡らしてきた。そのまま朝哉は体を預けるようにのしかかってきた。
 思い切り息を吐いてから郭夜が「重い、どけ」と言うも、朝哉は身じろぎしない。

「お前、聞いてんのか? 重いからど……」

 どけ、と再度言いかけたところで、朝哉が完全に寝落ちていることに気づいた。

「……この野郎……!」

 思い切りムッとしながら郭夜は遠慮なく朝哉を押して転がした。衝撃で起きるかと思ったがやはり気持ちよさそうに寝ている。

 ……こいつは……。

 気持ちよさそうな寝顔を見ていると怒りや呆れを通り越してどうでもよくなってきた。あと改めて思ったことがある。

 ……絶対こいつ、馬鹿だ。

 好きだな、なんて改めて実感しなくとも腹立たしいことにわかっている。そうではなく、改めて馬鹿だと思ったのである意味気が楽になった。悩んでも無駄なような気にさえなる。

 やっぱり、ひたすら突き進ませてもらう。

 そう思うと立ち上がろうとして、その前に自分の腹がろくでもない状態だったことを思い出す。ため息を吐きながらも、少し嬉しくて口元が綻んだ。軽く拭き取ると、もう一度シャワーを浴びる為に立ち上がる。
 思い切り寝ている朝哉はそのまま転がしておこうかと思ったが、酔わせたのも抜いたのも自分だしなと考え直し、とりあえずむき出しのものをどうにかしようとまたしゃがんだ。
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