不良兄と秀才弟

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11話

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 総司は本当に扱いやすい。ただし扱いやすいからこそ、心配でもある。
 幾斗は弟に色々されても抵抗をしない兄を見ながら思っていた。決して流されやすいわけではない。疑問に思ったことは自分なりに考えたりするし、嫌なものは嫌だとも言う。だが上手いことを言われると「そうなのか」と思ってしまう少々足りない頭が気が気ではない。夏夫や仁史に「総番長ともなれば気軽に触らせるな」と言われたというのも、多分そうとでも言っておかないと本人が気にしないからだろうと幾斗はこの間思った。

「っぁ、ん……っ」

 最初からどうやら感じやすかった総司の乳首は、弄れば弄るほど反応がよくなっている。そういった本人にぴったりなくらい馬鹿正直な体の反応も、幾斗としては楽しい反面心配ではある。他の誰にされてもこんな反応を見せる可能性があるのだと思うと、できるのなら一日中見張っていたいくらいだ。

「お、男って、胸感じんの?」

 そして初めて触れた時に総司が言ってきた言葉を思い出して幾斗は総司にわからないようそっと笑った。

 心配ながらに、本当に馬鹿でかわいいやつ。

 体をもぞもぞとさせていた総司に、当然だという勢いで同意すると直ぐに安心していた。

「だから安心して感じてろ」
「わかった……!  ……いや待て、安心できねえだろっ。気持ちよけりゃ勃つんだよ男だったら!」
「……。……じゃあまた数式でも考えてろ」

 総司の反応を楽しみつつもわざと呆れたように言っていた幾斗だが、多分そう言っても結局考えられてないんだろうなと毎回思っている。今のところは違うことを話したり途中で触れるのを止めたりして総司の熱を逸らそうとしていたが、そろそろそんなつもりもなくなってきた。

「なあ、総司」

 充血したように赤くなっている乳首にもう一度だけキスをした後で幾斗はとりあえずいつもと変わらず気をそらすかのように話しかけた。

「な、に」
「わかってると思うけど、お前は俺に教えてもらってるだけなんだから、他のやつとはするなよ」
「……他って誰だよ」
「誰でもに決まってんだろが」
「え、じゃあリカちゃんにも?」
「その前に付き合ってもねえだろが……。そういうん別としても例えばお前のこと慕ってるらしい後輩とかいるだろ」

 一応後輩の存在も幾斗は把握している。何人かいる上で特に誰が注意対象だ、とも。

「ぁ? らしいじゃねえ、俺のことマジで慕ってんだよっ」
「うるさい。今はんなこと言ってんじゃねえ。そいつらが例えば『俺が教えます』って言ってきたらお前どうすんだ?」
「ぁあ? じょ、じょーだんじゃねえ! 何が悲しくて後輩に教えてもらわなきゃなんだよっ」

 総司はムッとしたように言い返してくる。そういうことを言いたいわけじゃないと思いつつも、総司だからなと幾斗はそっとため息をつく。

「じゃあな、後輩とかがお前にすげぇ気持ちのいい思いをさせるって言ってきたら、お前どうする?」
「き、気持ちのいい……?」

 幾斗の言葉を聞いて総司は少し赤くなってそわそわしている。

 ほんっと、こいつ、馬鹿だな。

 幾斗が少しイラッとして口を開こうとしたらその前に総司がハッとしたように続けてきた。

「つか気持ちのいいってなんだよ。肩もみとかか。だいたい俺、総番長なんだから簡単に触らせたら駄目なんだっつってんだろ」

 それを聞いて幾斗は一瞬真顔になった後にそっと笑った。

「ああ、そうだな。悪い、忘れてたわ」
「忘れてんじゃねえよ。てめえいくら双子の弟で委員長だからってそいや今日も学校で総番長の俺に説教してきただろが」
「あれはお前が真面目に当番の日直仕事をしないからだろうが」
「総番長なんだからんなことやってらんねえんだよ」
「わかってないな。今時のリーダーはそういったことをちゃんとやんのがカッコいいってのにな?」
「……マジでか……!」

 総司はまた真に受けてポカンとしている。本当に扱いやすい。学校で皆がいるところではだからこそ、幾斗はこういった言い方をしない。他の生徒にはあまりこういう総司を見せたくないからだ。

「ああ。ほんっと、お前わかってないわ。俺がこうして教えてることも何度やってもちゃんと覚えてないんだろ……?」

 囁くように言いながら、幾斗は既に何度もしている総司の唇にまたキスをする。キスに対してはかなり慣れてきたようで、最近は総司も拙いながらも舌を自ら恐る恐る絡めてくるようになってはきた。だがそれくらいだ。
 覚える気がないんだろと言いながらも、幾斗自身がそもそもちゃんと教える気もない。快楽だけならいくらでも教えるけれども、と幾斗はキスを続けたままぷくりとまだ腫れている乳首に指を這わせた。

「ん、ん」

 いつもは一旦やめて話したりした後は続けないからか、総司は少し怪訝そうだ。幾斗は構わず唇へのキスをやめた後に乳首に舌を這わせつつその手をゆっくりと下に這わせていった。

「な、にすんだよっ?」

 一旦は収まっていたらしい総司のものは、今の軽い刺激だけでまた擡げつつあるのが服の上から触れてみてわかった。

「なんでも知りたいんだろ?」
「で、でも、おま……っ、ちょ、待て、そこは」

 戸惑う総司を無視して幾斗は制服のベルトのバックルを外し、ボタンとチャックを下ろす。そしてそのまま下着ごとずらした。

「なにしやがんだよっ」
「上ばっか弄られると下、きついんだろ? 今日はちゃんと下も弄ってやる」
「え。え、いやでも、なんか待て、なんかだって、へ、変だろ?」

 下もというと総司がしどろもどろになりながら困ったような顔をしてきた。

「変ってなにが。お前のこれがか?」

 これ、と言いながら既に少々硬くなっている総司のものを起こすように触るとビクリと体を震わせてきた。

「って、ちげぇ! え? お、俺の、変なの?」

 ムッとした後に心配そうに聞いてくる総司がおもしろいので「そうだ」と答えそうになったが、そうするとせっかく硬くなっているものが縮むどころか半永久的に縮んでも困ると思い、幾斗は「違う」と答える。

「お前のは普通」
「……ふ、普通……。ビッグマグナムとか」
「それは無い。とりあえずあれだ、なにが変なんだ?」

 呆れたようにため息をついてから総司を見た。

「え? だ、だって男同士で、つか双子同士でちんこ……コスったりとかするってことだろ?」
「その言いかたやめろよ……。それを言うならキスとか今までのだって今さらだろ。同じことだからな」
「同じなんか?」
「同じ。つかお前さ」
「なんだよ」
「女相手でもそんな風に最中に馬鹿なこと言うつもりか?」
「……い、言わねえよっ! お前相手だからだろがっ! お、教えてもらってる訳だし」

 顔を真っ赤にして憤慨してくる総司が面白いと思いつつ「だったら俺のすることに疑問感じてんじゃねえよ」ともう一度キスをした。キスをしながらそれにゆっくり触れるとまたビクリと体を震わせてきた。だが怖いから震えているのではないと、総司のものが証明している。

「大人しく教わってろよ……」

 一旦唇を離して囁くと、総司は目の下を赤らめながら少しコクリと頷いてきた。

 ほんと、馬鹿だけどこういうところ、かわいいんだからな。

 幾斗は内心にっこり微笑むと今度は耳元にキスをしながら手の動きをゆっくりと速めていった。
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