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187話 ※
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「イきそうならもう、俺の中でイってくれないか?」
もはや懇願に近いし、通常なら絶対言えそうにないだろうにエルヴィンはニルスに向かってそんなことを言っていた。
「だが……」
「ほんっとお願い……! お前の指で俺の尻、溶けちゃうか壊れる」
「そ、うなのか……」
そうなのかという声に本気に取ったような響きを感じる。通常なら「いやいや、そうなりそうってだけで本当に溶けるわけないし」と苦笑しそうなものだが、エルヴィンは「そうなの! だからほんとお願いだから」とコクコク頷き、顔を上げてニルスに抱きついた。
「頼むから……それに俺が欲しいんだ」
すると耳元でニルスの深そうなため息が聞こえる。
これは……もしかして俺、積極的過ぎた? 呆れられた?
男同士だ。羞恥心は男女関係なくどうしても抱いてしまうものの、さすがに「貞淑でいなくちゃ」「おしとやかでいなくちゃ」などといった気持ちは抱かない。どうしたって欲にはあまり抗えないし、ニルスに対して体は受け身になるとしても気持ち自体では相手を抱くという感覚が拭えない。もしかしたら同性との行為でも、受け身に慣れてくるとそういう感覚も変わってくるのかもしれない。だがまだ一切貫通してもいない今のところ、気持ちとしてはどうしても男側になってしまう。
でも……受け身だとそういうの、もしかして性に奔放な感じに思われる、とか? そういうの、あるのか?
大好きだから当然、呆れられたくないし引かれたくないし嫌われたくない。エルヴィンが戸惑っていると、無言のままニルスが押し倒してきた。咄嗟のことだったが、エルヴィンの後頭部を支えてくれていたため、布団に体を打ちつけるような勢いではなかった。それでも思わずわっと声が出た。
「す、まない。痛かったか?」
「え、あ、いや。大丈夫。布団の上だし、ニルスが支えてくれてたし。じゃなくていきなりでびっくりした」
「そうか。……いきなりですまない」
「いいよ。ぜんっぜんいい。ニルスはちょっと俺に気遣いすぎ。俺のこと、おじいちゃんか何かだと思ってんのか?」
「……まさか」
「だよな? だったらわかるだろ。俺、結構頑丈な男だから。多少の無茶くらいどうってことないし、あとニルスは謝るよりそうだな、礼を言ってくれたほうが俺は嬉しい」
「礼……」
「いや、押し倒されたことに礼はおかしいけどさ……。基本そっちのがいいってこと」
「ああ、わかった」
頷きながら囁くと、ニルスはエルヴィンにキスしてきた。また延々と体中キスされ、尻の穴を解されるのだろうかと思っていると、顔はすぐに離れる。
どうしたんだろう?
怪訝に思ったが、すぐにニルスが何しようとしているのかわかった。
エルヴィンの足が大きく開かれる。その間に入ってきたニルスがまたエルヴィンにキスしてから「お前の中に入る」と囁いてきた。
「あ、ぅ、ぅん」
思わずごくりと唾を飲みそうになるくらい、今の声に性的魅力を感じた。あと、いつの間にそんなに興奮してくれていたのだろうかと思うほど、ニルスのものがかなり硬く大きくなっている。もちろんエルヴィンが口淫していたせいもあるが、先ほどよりさらに進化しているようにしか見えない。
待て待て待て。余裕ぶっこいてたし十分すぎるくらい解されたけど、え、でもこれ、今さらだけど俺の尻に入るの? 大丈夫? 凶悪過ぎない?
内心青ざめながら引いていたが、顔に出やすいらしいエルヴィンは必死になって表に出ないようがんばった。表情もニルスに見えないよう、腕で隠す。
だってビビってるって気づかれたらまた……また入れてくれないかもだろ……っていうか絶対入れない。
確かに少々怖くはなったし、まださらに大きくなるのかと引きもしたが、それ以上に今度こそ最後までしたかった。大好きなニルスであっても、これ以上中断するのは許さない。
「入れて」
顔を隠したまま言えば、またニルスからため息が聞こえた気がしたが、それどころではなくなった。
「っは、ぅ……!」
決してニルスはいきなり思いきり挿入してきたわけではない。ゆっくりと少しずつ進めてくれているのがエルヴィンにもわかる。だがそれでもニルスの先が中に入ってきた時、おもわず衝撃による声が漏れた。
え、これ……入るの、か……? い、いや、大丈夫だ。カリの部分が一番きついだけだろし、それさえ入ったらきっと後は問題ない、はず……!
不安がってそれに気づかれるのだけは避けたい。エルヴィンは「もっと早く入ってきていい、から」と何とか口にした。いきなり全部が奥にまで入ってくるのはさすがに無理だが、ニルスの先くらいはむしろ勢いよく入れてもらったほうがいいかもしれないと思った。あと、ここまでゆっくりだと何よりニルスがつらいだろう。エルヴィンも遡る前も含めていいなら挿入の経験はあるため、はやる気持ちを抑えてゆっくり進めることが結構きついのはわかる。
「エルヴィン……煽らないで……くれ……」
でも煽ってないよ……っ?
ニルスのつらさと自分の保身しか考えてない。ずっとして欲しかったし、散々解されたとはいえ、煽る気はさすがにないというか、そんな余裕などあるはずもなかった。
もはや懇願に近いし、通常なら絶対言えそうにないだろうにエルヴィンはニルスに向かってそんなことを言っていた。
「だが……」
「ほんっとお願い……! お前の指で俺の尻、溶けちゃうか壊れる」
「そ、うなのか……」
そうなのかという声に本気に取ったような響きを感じる。通常なら「いやいや、そうなりそうってだけで本当に溶けるわけないし」と苦笑しそうなものだが、エルヴィンは「そうなの! だからほんとお願いだから」とコクコク頷き、顔を上げてニルスに抱きついた。
「頼むから……それに俺が欲しいんだ」
すると耳元でニルスの深そうなため息が聞こえる。
これは……もしかして俺、積極的過ぎた? 呆れられた?
男同士だ。羞恥心は男女関係なくどうしても抱いてしまうものの、さすがに「貞淑でいなくちゃ」「おしとやかでいなくちゃ」などといった気持ちは抱かない。どうしたって欲にはあまり抗えないし、ニルスに対して体は受け身になるとしても気持ち自体では相手を抱くという感覚が拭えない。もしかしたら同性との行為でも、受け身に慣れてくるとそういう感覚も変わってくるのかもしれない。だがまだ一切貫通してもいない今のところ、気持ちとしてはどうしても男側になってしまう。
でも……受け身だとそういうの、もしかして性に奔放な感じに思われる、とか? そういうの、あるのか?
大好きだから当然、呆れられたくないし引かれたくないし嫌われたくない。エルヴィンが戸惑っていると、無言のままニルスが押し倒してきた。咄嗟のことだったが、エルヴィンの後頭部を支えてくれていたため、布団に体を打ちつけるような勢いではなかった。それでも思わずわっと声が出た。
「す、まない。痛かったか?」
「え、あ、いや。大丈夫。布団の上だし、ニルスが支えてくれてたし。じゃなくていきなりでびっくりした」
「そうか。……いきなりですまない」
「いいよ。ぜんっぜんいい。ニルスはちょっと俺に気遣いすぎ。俺のこと、おじいちゃんか何かだと思ってんのか?」
「……まさか」
「だよな? だったらわかるだろ。俺、結構頑丈な男だから。多少の無茶くらいどうってことないし、あとニルスは謝るよりそうだな、礼を言ってくれたほうが俺は嬉しい」
「礼……」
「いや、押し倒されたことに礼はおかしいけどさ……。基本そっちのがいいってこと」
「ああ、わかった」
頷きながら囁くと、ニルスはエルヴィンにキスしてきた。また延々と体中キスされ、尻の穴を解されるのだろうかと思っていると、顔はすぐに離れる。
どうしたんだろう?
怪訝に思ったが、すぐにニルスが何しようとしているのかわかった。
エルヴィンの足が大きく開かれる。その間に入ってきたニルスがまたエルヴィンにキスしてから「お前の中に入る」と囁いてきた。
「あ、ぅ、ぅん」
思わずごくりと唾を飲みそうになるくらい、今の声に性的魅力を感じた。あと、いつの間にそんなに興奮してくれていたのだろうかと思うほど、ニルスのものがかなり硬く大きくなっている。もちろんエルヴィンが口淫していたせいもあるが、先ほどよりさらに進化しているようにしか見えない。
待て待て待て。余裕ぶっこいてたし十分すぎるくらい解されたけど、え、でもこれ、今さらだけど俺の尻に入るの? 大丈夫? 凶悪過ぎない?
内心青ざめながら引いていたが、顔に出やすいらしいエルヴィンは必死になって表に出ないようがんばった。表情もニルスに見えないよう、腕で隠す。
だってビビってるって気づかれたらまた……また入れてくれないかもだろ……っていうか絶対入れない。
確かに少々怖くはなったし、まださらに大きくなるのかと引きもしたが、それ以上に今度こそ最後までしたかった。大好きなニルスであっても、これ以上中断するのは許さない。
「入れて」
顔を隠したまま言えば、またニルスからため息が聞こえた気がしたが、それどころではなくなった。
「っは、ぅ……!」
決してニルスはいきなり思いきり挿入してきたわけではない。ゆっくりと少しずつ進めてくれているのがエルヴィンにもわかる。だがそれでもニルスの先が中に入ってきた時、おもわず衝撃による声が漏れた。
え、これ……入るの、か……? い、いや、大丈夫だ。カリの部分が一番きついだけだろし、それさえ入ったらきっと後は問題ない、はず……!
不安がってそれに気づかれるのだけは避けたい。エルヴィンは「もっと早く入ってきていい、から」と何とか口にした。いきなり全部が奥にまで入ってくるのはさすがに無理だが、ニルスの先くらいはむしろ勢いよく入れてもらったほうがいいかもしれないと思った。あと、ここまでゆっくりだと何よりニルスがつらいだろう。エルヴィンも遡る前も含めていいなら挿入の経験はあるため、はやる気持ちを抑えてゆっくり進めることが結構きついのはわかる。
「エルヴィン……煽らないで……くれ……」
でも煽ってないよ……っ?
ニルスのつらさと自分の保身しか考えてない。ずっとして欲しかったし、散々解されたとはいえ、煽る気はさすがにないというか、そんな余裕などあるはずもなかった。
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