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178話
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一度達したのもあり、指を抜こうとしたニルスにまた「やめないで」とねだったものの、先ほどからエルヴィンには気になっていることがあった。
こういう、もの……?
最初に入ってきたのはどうやら人差し指だったようだ。その後結局一旦中断して洗浄など済ませたあと次に中指が入れられ、今ではすでに二本入っているのではないだろうか。ゆっくり慎重にするためか、今は前を扱かれることもなく尻の穴を弄られることに専念されているわけだが、気になっているのはもちろんそこではない。
先ほど思わず自分で自分に素質ありすぎかと突っ込んでしまったが、今は「思わず」ではなく自分にドン引きするレベルで素質ありすぎかと内心ひたすら突っ込んでいる。
こういうものじゃ、ない、だろ……俺の尻どうなってんの? まさか本当に突っ込まれるための尻的な素質でもあるの?
指くらいなら案外するりと受け入れられる可能性もないとは言わない。出すところではあるので、出せるならある程度入れられるような気もする。
でも……出すのとは違うだろうし、もう少し抵抗あってもよさそうなものじゃない?
元々指は日常から入れてます、と見なされそうなほどではないと思うが、あまりに違和感が少なすぎる。ニルスがゆっくり解してくれているからでもあるだろうが、痛みがないどころか気持ち悪さもない。異物感はさすがにあるが、むしろそれすらないほうがいっそ「俺のそこの感覚は相当鈍いんだろうな」と割り切りやすかったかもしれない。
それどころか、もうだんだん気持ちよくなってきた気がする……。素質あるどころか……まさか俺の尻は淫乱なのか?
ソファーでニルスの上に乗った状態のままではなく、今はベッドで横を向いて背後から入れられているのと、誤魔化すつもりでぎゅっと抱きしめている枕のおかげで表情などの反応はニルスにばれていないとは思う。どうやらエルヴィンの表情や態度は自分が思っている以上にわかりやすいらしいため、隠さないとニルスに「こいつ初めてだろうに尻に指入れられて即受け入れてる上にもう気持ちよくなりつつある」とばれてしまう。
いや……俺のニルスはそういう考え方なんてしない、けど……でもほんの少しでもそう思われたく、ないし。
どちらが入れるのかといったこだわりはないものの、最初から指くらい余裕だしむしろ大歓迎だ、というような尻では何となくあって欲しくないという複雑な男心をどうやら持ち合わせているようだ。エルヴィンはさらに顔を枕に押しつけた。
「……痛い、か?」
ニルスは幸いそんなエルヴィンに気づいていないのか、最初から今に至るまでとても丁寧にゆっくり対応してくれている。エルヴィンはニルスにわかるよう、枕に顔を押しつけたまま首を振った。
むしろすでに気持ちよくなっていてそのままもう一本くらい増やしても大丈夫、だとは言えない。
ほんと、何で?
もちろん、最初から解す必要もないくらいゆるゆるしていたわけでは幸いだが、ない。これでも最初は少しずつ指を入れていかれてはそっと出して、そのたびにローションを付け足してといった風だったと思う。だから最初からまるで女性のように受け入れられる状況であったわけではない。ただ、なじむのはとても早かった。いくらひたすら主張し続けているエルヴィンのものも最初は擦られていたからとはいえ、早すぎた。
エルヴィンが調べた情報では、初めては小指からゆっくり慣らしていくものだとあった気がする。最初から人差し指で痛みもなく、あっという間になじんでいくほど簡単ではなかったような気がする。
まるで指入れたことあるみたいじゃないか……。
違う、ないからな? ニルスが初めてだから!
弱々しかった快楽の兆しが、じわじわとエルヴィンをあざ笑うかのようにわかりやすくなってきている。それに気づかれないよう堪えつつ、普通に尻を弄られることに対しての羞恥にも抗いつつ、エルヴィンは表情がわかりにくいよう枕からほんの少しだけ顔を上げて背後で体を起こしたままエルヴィンの尻を解しているニルスを見た。
「……から、な」
聞こえなかったのか、ニルスがゆるゆると動かしていた指の動きを止めてエルヴィンを見てきた。なのでもう少しだけまた顔を枕のほうへ向けつつ、エルヴィンは快楽と羞恥に抗っているせいで上ずりがちの声が震えないよう心がけながら繰り返した。
「俺、誰ともしたこと、ないからな!」
「え?」
「経験なんて、ないから……お前が初めて、だから……」
男ならばここは誤魔化してでも経験がある素振りを見せたいところかもしれないが、尻の経験だけにその欲はさすがにない。何とか言い切るとエルヴィンはまた枕に顔を埋めた。馬鹿なことをあえて口にしたせいで耳まで熱い。だが慣れた尻だと思われるよりマシな気がする。とはいえ、様々な感情やら感覚やらで頭が混乱してちゃんとした判断ができなくなっている可能性もある。今はあまり自ら言動するのはやめたほうがいいかもしれない。
「……あまり……煽るな」
ニルスの声が掠れている気がする。
っていうか煽ってないからな……!
どこをどう取ったら煽ったことになるのだとエルヴィンは思わず口に出そうになり「だから余計な言動は控えろよ俺」とばかりに顔を枕にますます押しつけた。
こういう、もの……?
最初に入ってきたのはどうやら人差し指だったようだ。その後結局一旦中断して洗浄など済ませたあと次に中指が入れられ、今ではすでに二本入っているのではないだろうか。ゆっくり慎重にするためか、今は前を扱かれることもなく尻の穴を弄られることに専念されているわけだが、気になっているのはもちろんそこではない。
先ほど思わず自分で自分に素質ありすぎかと突っ込んでしまったが、今は「思わず」ではなく自分にドン引きするレベルで素質ありすぎかと内心ひたすら突っ込んでいる。
こういうものじゃ、ない、だろ……俺の尻どうなってんの? まさか本当に突っ込まれるための尻的な素質でもあるの?
指くらいなら案外するりと受け入れられる可能性もないとは言わない。出すところではあるので、出せるならある程度入れられるような気もする。
でも……出すのとは違うだろうし、もう少し抵抗あってもよさそうなものじゃない?
元々指は日常から入れてます、と見なされそうなほどではないと思うが、あまりに違和感が少なすぎる。ニルスがゆっくり解してくれているからでもあるだろうが、痛みがないどころか気持ち悪さもない。異物感はさすがにあるが、むしろそれすらないほうがいっそ「俺のそこの感覚は相当鈍いんだろうな」と割り切りやすかったかもしれない。
それどころか、もうだんだん気持ちよくなってきた気がする……。素質あるどころか……まさか俺の尻は淫乱なのか?
ソファーでニルスの上に乗った状態のままではなく、今はベッドで横を向いて背後から入れられているのと、誤魔化すつもりでぎゅっと抱きしめている枕のおかげで表情などの反応はニルスにばれていないとは思う。どうやらエルヴィンの表情や態度は自分が思っている以上にわかりやすいらしいため、隠さないとニルスに「こいつ初めてだろうに尻に指入れられて即受け入れてる上にもう気持ちよくなりつつある」とばれてしまう。
いや……俺のニルスはそういう考え方なんてしない、けど……でもほんの少しでもそう思われたく、ないし。
どちらが入れるのかといったこだわりはないものの、最初から指くらい余裕だしむしろ大歓迎だ、というような尻では何となくあって欲しくないという複雑な男心をどうやら持ち合わせているようだ。エルヴィンはさらに顔を枕に押しつけた。
「……痛い、か?」
ニルスは幸いそんなエルヴィンに気づいていないのか、最初から今に至るまでとても丁寧にゆっくり対応してくれている。エルヴィンはニルスにわかるよう、枕に顔を押しつけたまま首を振った。
むしろすでに気持ちよくなっていてそのままもう一本くらい増やしても大丈夫、だとは言えない。
ほんと、何で?
もちろん、最初から解す必要もないくらいゆるゆるしていたわけでは幸いだが、ない。これでも最初は少しずつ指を入れていかれてはそっと出して、そのたびにローションを付け足してといった風だったと思う。だから最初からまるで女性のように受け入れられる状況であったわけではない。ただ、なじむのはとても早かった。いくらひたすら主張し続けているエルヴィンのものも最初は擦られていたからとはいえ、早すぎた。
エルヴィンが調べた情報では、初めては小指からゆっくり慣らしていくものだとあった気がする。最初から人差し指で痛みもなく、あっという間になじんでいくほど簡単ではなかったような気がする。
まるで指入れたことあるみたいじゃないか……。
違う、ないからな? ニルスが初めてだから!
弱々しかった快楽の兆しが、じわじわとエルヴィンをあざ笑うかのようにわかりやすくなってきている。それに気づかれないよう堪えつつ、普通に尻を弄られることに対しての羞恥にも抗いつつ、エルヴィンは表情がわかりにくいよう枕からほんの少しだけ顔を上げて背後で体を起こしたままエルヴィンの尻を解しているニルスを見た。
「……から、な」
聞こえなかったのか、ニルスがゆるゆると動かしていた指の動きを止めてエルヴィンを見てきた。なのでもう少しだけまた顔を枕のほうへ向けつつ、エルヴィンは快楽と羞恥に抗っているせいで上ずりがちの声が震えないよう心がけながら繰り返した。
「俺、誰ともしたこと、ないからな!」
「え?」
「経験なんて、ないから……お前が初めて、だから……」
男ならばここは誤魔化してでも経験がある素振りを見せたいところかもしれないが、尻の経験だけにその欲はさすがにない。何とか言い切るとエルヴィンはまた枕に顔を埋めた。馬鹿なことをあえて口にしたせいで耳まで熱い。だが慣れた尻だと思われるよりマシな気がする。とはいえ、様々な感情やら感覚やらで頭が混乱してちゃんとした判断ができなくなっている可能性もある。今はあまり自ら言動するのはやめたほうがいいかもしれない。
「……あまり……煽るな」
ニルスの声が掠れている気がする。
っていうか煽ってないからな……!
どこをどう取ったら煽ったことになるのだとエルヴィンは思わず口に出そうになり「だから余計な言動は控えろよ俺」とばかりに顔を枕にますます押しつけた。
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