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99話
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「なんていうか、落ち着かないしダルい」
海翔がぼそりと呟くと、月時がよしよしといった風に頭を撫でてきた。いつもなら海翔が撫でることはあれどもあまり月時に撫でられることはないので珍しい。ただ海翔も赤くなったり喜んだりするよりも、はー……っと長いため息を吐いて月時にもたれかかっただけだった。
「長月、どしたんだ?」
同じ部屋割である他の生徒が怪訝そうに聞いてくる。
「車に酔ったんだって! ちょっと疲れ気味だったみたいだから」
あはは、と月時が答えている。さすがに人前で抱きついたりつかれたりは抵抗があるが、その辺は月時も察してくれているのか、もたれかかった海翔にぎゅっと抱きつくのではなくぽんぽん、と頭を撫でるに留めてくれたようだ。
海翔たちは修学旅行に来ていた。沖縄の年もあるのだが、今回は京都だった。どのみちいくら沖縄でもこの時期だと海水浴は満喫出来ないにしても、京都へ来ても遊び倒す場所がある訳ではない。担任は「お前ら修学をなんだと思ってんだ。学問を修める旅行だぞ。遊びじゃねーんだ」と新幹線を降りてのバス内で呆れたように言っていた。
海翔自身は別に京都に対してなんら思うところはないといった態度でぼんやりしていた。悠音からは「相変わらずの無関心ぶりね。最近はちょっと変わってきた感じしてたんだけど」と言われた。変わってきたつもりは全くなかったが、無関心なのはどちらかというとわざとだ。正月に月時から「見ないふり」と教わっていたからそれを実行しようと心掛けているだけだ。
……京都がこんなになんていうか、色々見えるとこだとは思わなかった。いや、不思議な場所やものはあるかもしれないとは思っていたが、自分にこんな影響を与えてくるとは思っていなかった。
一応向かう先々は有名どころではあるので、悪いものがいる訳ではない。それでもなにかは見えるし、移動途中で不意に気持ち悪くなることもあった。
月時を見ていると普段と変わらない。自分も見ないふりをしてるというのにと納得がいかないが、とりあえずはやり過ごした。だが旅館の部屋に入ると実際に疲れたのかどっときたようだ。同じ部屋の他の生徒がよその部屋に遊びに行くと言い出した時も「俺はやめとく……」と既に敷かれてある布団の一つに転がった。
「まー、ダルそーだもんな。水白はどーする?」
「俺もやめとく。いってらっしゃーい!」
皆が出ていった後、海翔はうつ伏せのまま月時をちらりと見た。
「なに?」
「あんたも行けば良かったのに。女子の部屋」
「そんなこと思ってねーくせに」
「……。なあ、あんたは全然平気そうなのに、なんで俺はこんなに落ち着かないしダルいんだ?」
更にじっと月時を見ると「あー」と苦笑しながら海翔に近寄って座り、海翔の頭を伸ばした足に乗せてきた。
「なにこれ、膝枕?」
「うん。あ、首痛い?」
「……ううん」
暫くは誰も帰ってこないのは分かる。落ち着かない気持ちが少しホッとしたので、海翔はむしろ月時の太ももに顔を摺り寄せた。
「……っぅ。……えっと、ちょっと落ち着いた?」
「うん。これからいつもこんなになるなら、俺どこも行けない」
「ちゃんと慣れるよ。ごめんね、しんどい思いさせて」
「……これ絡みで謝るのは無しって言ったけど?」
「んー。ありがと、ひろ」
月時がヘラリと笑いながら自分の太ももに乗っかっている海翔の頭をまた撫でてきた。髪をすっとすくように優しく触れてくる。それが気持ちよくて海翔は目を閉じた。
「俺はね、多分魔物だからなんともないんだと思う」
すると月時が囁くように言ってきた。え、っと海翔はまたすぐに目を開けて横になったまま月時を見上げる。
「隠してるつもりはなかったんだけど、隠してるよーなもんだね、これに関しては謝らせてね。ごめんなさい、ひろ」
「え、あ、そ、そうなの、か」
そうなのか、としか言いようがない。別に責める気持ちはない。言われてようが言われてなかろうが、海翔の状態が変わる訳ではない。仮契約をしたのは見えないものが見える云々とは全く関係のない理由でしているので、騙されたと思うこともない。まあ確かに「魔物なら楽なのか、ずるい」とは少し思ったが。
「ひろが慣れてから言おうかなって思ってた」
なんでと聞こうとしたが、丁度今自分が考えたことですぐにピンときた。
「魔物のが楽ならもういっそ本契約するとかって俺が考えないよーに?」
「ぅ、ん。そこまであからさまじゃないけど、そんな感じに思ってた」
「馬鹿だな、あんたって頭いいのに、ほんといつも馬鹿」
「うん」
馬鹿、と言われても月時はすぐにホッとしたように静かに微笑んできた。
「そうだよね。俺の大好きなひろが、そんな理由であっさり本契約する筈ないのに」
「でもずるい、とは思ったけどね」
「あはは。……ひろは元々そういうの鋭かったから余計今、キツいのかも。それにヒトはとても精神的に影響受けやすい生き物らしいって、俺、聞いたことあるし」
またスッと海翔の髪を撫でながら、月時が静かに言う。
「でも俺、仮契約するまでは霊なんて見たことなかったけど」
「んー。多分今日見たり感じたりしたのも、霊は霊でも魔物に近いものなんだと思う。だからじゃないかな。ただまだ成仏していないっていうの? そんな霊はよほどじゃないとこんなに影響しないと思う」
「……京都ってそんなに魔物めいてんの……? じゃあ沖縄が良かった。あーでもそこも本土決戦だっけ? そーいうのでヤバ、い?」
はぁ、とため息を吐きながら海翔はまた月時の太ももに顔をこすりつける。月時はぴくり、と足を震わせた後に「ど、どーだろね」と苦笑してきた。
「相性とか、ひろの体調も関係あったのかも。ひろ、昨日はあんま寝てないとか言ってなかった?」
その言葉に海翔は「うっ」と詰まった。京都に行くから、と京都の不思議に関する本を読んでいたのだ。相変わらず、他に対しての関心が薄くても、こういう系には興味津々なのだ。
本は、京都の地名で末に「野」が付いているところはかつて風葬の地だったといった内容だった。歴史的に有名な古都は、精神世界や宗教的な解釈でも怖い場所でもあると知ってドキドキしていた。別に霊に興味がある訳ではないし、ホラーに関してもどちらかというと興味はない。だが不思議な世界を昔から信じてきた海翔にとっては、こういった和の不思議な話も気になるところだった。新年早々変な目には合っていたが、それでもまさか自分に影響してくるとは思っていなかった。
それもこれもある意味自業自得かと思うとウッと詰まらざるを得ない。
「体調いい時ならそんなに影響ないかもだよ。あと、多分慣れると思うから」
「ん……ありがと」
とりあえず、落ち着かない気持ちやダルさは月時にくっついているとマシになる気がした。普段は中々甘えることをしない海翔だが、今回は別だとばかりに月時にくっつき、太ももに顔を擦りつけ、腕を回してギュッと抱きしめる。
「わー蛇の生殺し」
月時が抑揚のない声で言ってきた。
「え、なんで」
「だって! さすがにここじゃエロいこと出来ないじゃん!」
「……分かってくれてて良かったよ」
「だから生殺し」
「……じゃあ離れる」
生殺しなら仕方ない、と渋々離れようとしたら月時が途端慌ててきた。
「待って! 生殺しでもいい! ひろが甘えてくれるなんて百年に一度かもしんないから待って! 生殺して!」
「百年に一度なの。なにそれ」
本当に変なこと言ってくるよなと笑いながらも、海翔は既にかなり楽になっていることに気づいた。
おまけに翌日は更にずいぶん楽になっていたのでホッとした。とはいえ向かう先は神社や寺ばかりだったので、海翔はなるべく大人しく過ごした。
海翔がぼそりと呟くと、月時がよしよしといった風に頭を撫でてきた。いつもなら海翔が撫でることはあれどもあまり月時に撫でられることはないので珍しい。ただ海翔も赤くなったり喜んだりするよりも、はー……っと長いため息を吐いて月時にもたれかかっただけだった。
「長月、どしたんだ?」
同じ部屋割である他の生徒が怪訝そうに聞いてくる。
「車に酔ったんだって! ちょっと疲れ気味だったみたいだから」
あはは、と月時が答えている。さすがに人前で抱きついたりつかれたりは抵抗があるが、その辺は月時も察してくれているのか、もたれかかった海翔にぎゅっと抱きつくのではなくぽんぽん、と頭を撫でるに留めてくれたようだ。
海翔たちは修学旅行に来ていた。沖縄の年もあるのだが、今回は京都だった。どのみちいくら沖縄でもこの時期だと海水浴は満喫出来ないにしても、京都へ来ても遊び倒す場所がある訳ではない。担任は「お前ら修学をなんだと思ってんだ。学問を修める旅行だぞ。遊びじゃねーんだ」と新幹線を降りてのバス内で呆れたように言っていた。
海翔自身は別に京都に対してなんら思うところはないといった態度でぼんやりしていた。悠音からは「相変わらずの無関心ぶりね。最近はちょっと変わってきた感じしてたんだけど」と言われた。変わってきたつもりは全くなかったが、無関心なのはどちらかというとわざとだ。正月に月時から「見ないふり」と教わっていたからそれを実行しようと心掛けているだけだ。
……京都がこんなになんていうか、色々見えるとこだとは思わなかった。いや、不思議な場所やものはあるかもしれないとは思っていたが、自分にこんな影響を与えてくるとは思っていなかった。
一応向かう先々は有名どころではあるので、悪いものがいる訳ではない。それでもなにかは見えるし、移動途中で不意に気持ち悪くなることもあった。
月時を見ていると普段と変わらない。自分も見ないふりをしてるというのにと納得がいかないが、とりあえずはやり過ごした。だが旅館の部屋に入ると実際に疲れたのかどっときたようだ。同じ部屋の他の生徒がよその部屋に遊びに行くと言い出した時も「俺はやめとく……」と既に敷かれてある布団の一つに転がった。
「まー、ダルそーだもんな。水白はどーする?」
「俺もやめとく。いってらっしゃーい!」
皆が出ていった後、海翔はうつ伏せのまま月時をちらりと見た。
「なに?」
「あんたも行けば良かったのに。女子の部屋」
「そんなこと思ってねーくせに」
「……。なあ、あんたは全然平気そうなのに、なんで俺はこんなに落ち着かないしダルいんだ?」
更にじっと月時を見ると「あー」と苦笑しながら海翔に近寄って座り、海翔の頭を伸ばした足に乗せてきた。
「なにこれ、膝枕?」
「うん。あ、首痛い?」
「……ううん」
暫くは誰も帰ってこないのは分かる。落ち着かない気持ちが少しホッとしたので、海翔はむしろ月時の太ももに顔を摺り寄せた。
「……っぅ。……えっと、ちょっと落ち着いた?」
「うん。これからいつもこんなになるなら、俺どこも行けない」
「ちゃんと慣れるよ。ごめんね、しんどい思いさせて」
「……これ絡みで謝るのは無しって言ったけど?」
「んー。ありがと、ひろ」
月時がヘラリと笑いながら自分の太ももに乗っかっている海翔の頭をまた撫でてきた。髪をすっとすくように優しく触れてくる。それが気持ちよくて海翔は目を閉じた。
「俺はね、多分魔物だからなんともないんだと思う」
すると月時が囁くように言ってきた。え、っと海翔はまたすぐに目を開けて横になったまま月時を見上げる。
「隠してるつもりはなかったんだけど、隠してるよーなもんだね、これに関しては謝らせてね。ごめんなさい、ひろ」
「え、あ、そ、そうなの、か」
そうなのか、としか言いようがない。別に責める気持ちはない。言われてようが言われてなかろうが、海翔の状態が変わる訳ではない。仮契約をしたのは見えないものが見える云々とは全く関係のない理由でしているので、騙されたと思うこともない。まあ確かに「魔物なら楽なのか、ずるい」とは少し思ったが。
「ひろが慣れてから言おうかなって思ってた」
なんでと聞こうとしたが、丁度今自分が考えたことですぐにピンときた。
「魔物のが楽ならもういっそ本契約するとかって俺が考えないよーに?」
「ぅ、ん。そこまであからさまじゃないけど、そんな感じに思ってた」
「馬鹿だな、あんたって頭いいのに、ほんといつも馬鹿」
「うん」
馬鹿、と言われても月時はすぐにホッとしたように静かに微笑んできた。
「そうだよね。俺の大好きなひろが、そんな理由であっさり本契約する筈ないのに」
「でもずるい、とは思ったけどね」
「あはは。……ひろは元々そういうの鋭かったから余計今、キツいのかも。それにヒトはとても精神的に影響受けやすい生き物らしいって、俺、聞いたことあるし」
またスッと海翔の髪を撫でながら、月時が静かに言う。
「でも俺、仮契約するまでは霊なんて見たことなかったけど」
「んー。多分今日見たり感じたりしたのも、霊は霊でも魔物に近いものなんだと思う。だからじゃないかな。ただまだ成仏していないっていうの? そんな霊はよほどじゃないとこんなに影響しないと思う」
「……京都ってそんなに魔物めいてんの……? じゃあ沖縄が良かった。あーでもそこも本土決戦だっけ? そーいうのでヤバ、い?」
はぁ、とため息を吐きながら海翔はまた月時の太ももに顔をこすりつける。月時はぴくり、と足を震わせた後に「ど、どーだろね」と苦笑してきた。
「相性とか、ひろの体調も関係あったのかも。ひろ、昨日はあんま寝てないとか言ってなかった?」
その言葉に海翔は「うっ」と詰まった。京都に行くから、と京都の不思議に関する本を読んでいたのだ。相変わらず、他に対しての関心が薄くても、こういう系には興味津々なのだ。
本は、京都の地名で末に「野」が付いているところはかつて風葬の地だったといった内容だった。歴史的に有名な古都は、精神世界や宗教的な解釈でも怖い場所でもあると知ってドキドキしていた。別に霊に興味がある訳ではないし、ホラーに関してもどちらかというと興味はない。だが不思議な世界を昔から信じてきた海翔にとっては、こういった和の不思議な話も気になるところだった。新年早々変な目には合っていたが、それでもまさか自分に影響してくるとは思っていなかった。
それもこれもある意味自業自得かと思うとウッと詰まらざるを得ない。
「体調いい時ならそんなに影響ないかもだよ。あと、多分慣れると思うから」
「ん……ありがと」
とりあえず、落ち着かない気持ちやダルさは月時にくっついているとマシになる気がした。普段は中々甘えることをしない海翔だが、今回は別だとばかりに月時にくっつき、太ももに顔を擦りつけ、腕を回してギュッと抱きしめる。
「わー蛇の生殺し」
月時が抑揚のない声で言ってきた。
「え、なんで」
「だって! さすがにここじゃエロいこと出来ないじゃん!」
「……分かってくれてて良かったよ」
「だから生殺し」
「……じゃあ離れる」
生殺しなら仕方ない、と渋々離れようとしたら月時が途端慌ててきた。
「待って! 生殺しでもいい! ひろが甘えてくれるなんて百年に一度かもしんないから待って! 生殺して!」
「百年に一度なの。なにそれ」
本当に変なこと言ってくるよなと笑いながらも、海翔は既にかなり楽になっていることに気づいた。
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