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79話
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冬休みに入る前日に、海翔は月時に美術室へ来てもらった。美術室は明日から冬休みだからか、誰もいない。いや、普通は明日から休みなら皆出てくるのかもしれないが、この辺がこの部の緩いところだろうか。
「どしたの?」
「絵、見て貰おうと思って……」
「わぁ、なんの絵だろ」
普段は美術に全然関心がない月時だが、海翔の絵にはちゃんと関心を持ってくれる。海翔が好きだからというのもあるかもしれないが、形だけではないのは絵を見ながら「ここのこういうところが好き」などとしっかり見た上で感想をくれるので分かる。元々お世辞を言う性格ではないから尚更かもしれない。
海翔は結構前に完成しつつもずっと大事に保管しておいた絵を取り出した。
「……、あ。この絵」
どれどれ、と海翔が壁に立て掛けた絵を見ると、月時がハッとした。
「うん。あの時の絵」
天使の視点での絵を描こうと思って挙げ句屋上から落ちた時のことが恐らく海翔だけでなく月時の中でも浮かんだだろうと思われた。
その絵をスケッチしている時に落ち、そして月時に助けられた。その時は暗示にかけられていたのもあって、助けられたことは分かっていなかったが仮契約もして暗示が完全に解けている今ではしっかり海翔は覚えている。
仮契約前に完全に解けていたと思っていたのだが、見ていた月時の姿をぼんやりではなく本当にはっきり思い出したのは仮契約後だ。
耳と尻尾を生やし、仮契約の時のように髪が白っぽく、そして金色の目をした俺のワーウルフ。
「あ……、えっと。ってあれ? 天使の絵じゃないの?」
何故か一瞬動揺したような顔をした後で月時が聞いてきた。
「あー。天使の絵は……なんていうか、ちょっと想像しにくくなって」
「え……? う、上から落ちてるような視点だから?」
変な質問だなと首を傾げつつ、海翔は「まあ」と相槌を打った。この魔界をイメージした絵だと、上からの視点は活かしているとはいえ、下を見るよりは視点はそこに留まっている感じというのだろうか。下へこのまま落ちるのだろうと思いつつも下へ向けている目線ではない。
「それにあんたの正体知って、なんていうか魔界のイメージのほうが気になって。あの赤い月と絡めてみたくなったっていうか」
「そっか。……いい絵だと思う。ひろってなんていうか、特徴捉えて表現するの上手いよね」
海翔の顔を見た後で月時はじっと絵を見て微笑んだ。ふと前に悠音にも「あんたの絵はなんだろう、特徴つかむのほんと上手いよね」と言われたのを思い出す。
「って赤いってよりピンクだね。まるであの時の月だ」
「うん。あの月の印象がすごいから」
「魔界はやっぱ暗いイメージなんだね」
「もしかしてやたら明るいとか?」
「あはは、それはないな! やっぱうん、暗いよ。うーん、いやまあ空って概念とはちょっと違うけどもね、ここで言う曇りとかね、昼や夜もあるんだけどね」
「へえ。面白いな」
「……俺、これ見てたらね、なんか俺とひろが一緒に魔界にこれから落ちようとしているような気持になる」
更にじっと見つめた後、月時が言ってきた。まさにそんなつもりで描いていた海翔は妙に嬉しくなった。方向を変えて今の絵にし始めた頃は月時の正体を知ったばかりの頃で、まさか契約だのなんだとということになるとは思ってもみなかった。なので本当に一緒に落ちるというつもりで描いた訳ではない。ただそういう想像は絵を描きながらした。そういうイメージで描いた。
「うん」
「なんていうか、明るい絵じゃない筈なのに、凄く嬉しくなってくる絵って感じする」
「うん」
お互い微笑み合った。
「いい絵だね……。あのスケッチブックの絵がこんなすごい絵になるなんて、美術って、ていうかひろって凄いね」
「……あ、ありがとう」
ストレートに褒められ、さすがに照れた。その後で「これ……」と続ける。
「ん?」
「これ、良かったら貰って欲しい」
「えっ? え、いい、の? だってせっかくひろが一生懸命描いた絵なのにっ?」
「うん……嫌じゃなければ」
「嫌な訳ないよ! 凄い嬉しい」
「良かった。あんたに貰って欲しいなって思いながら描いてた」
「マジでっ?」
月時が嬉しそうにキラキラした目で海翔を見てきた。だがその後で急に悲しそうな顔をする。
「どうしたんだ?」
「……ひろ、あの事故がなかったらきっと今頃はこの絵、天使が下を覗いてるよーな絵になってたんだよね」
「……まあ、途中で気分が変わらなかったら……」
「……俺、あの時程自分の不甲斐なさ感じたことなかったかも」
月時が絵を眺めながら呟いてきた。
「なんで……俺を助けてくれたのに?」
「ユーキならきっとひろが落ちる前に支えてた。俺は力が出し切れず、結局ひろは空中へ落ちて高いとこ、怖くなっちゃった」
えへへ、と笑いながらもやはり顔が悲しそうで、海翔は月時の髪をそっと撫でた。そして一房つかむと軽くピッと引っ張る。
「な、なに?」
「馬鹿だなって思って」
「ええっ? なんで」
「普通だったらそもそも俺はあのまま落ちてた。あんたが助けてくれたんだ。それに俺はかすり傷すらなかった。次の日、あんた顔に傷作ってたよな? あれ、落ちた時に俺を守ってくれたからだろ」
言いながら海翔は笑いかけた。
「さすがに落ちると思った後の記憶は定かじゃないんだ。暗示とか関係なく、俺がほぼ意識失くしてたから。でも木の中っていうイメージがすごく残ってる。多分衝撃を和らげるためにあんたがしてくれたんだろ? そして枝で俺が傷つかないよう守ってくれた。俺、あの時どれだけあんたに守られたんだろうなって思う」
「……ひろ」
「いくらあんたらでも、人一人抱えてバランス崩したまま落ちたらヤバイんじゃないの? なのに全身で俺を守ってくれた。不甲斐ない訳ない。あんたは俺のヒーローだよ」
静かに言い切ると月時がぎゅっと抱きしめてきた。
「ここ、学校だから」
「……もう。これくらいはさせてよ。ひろ、ありがとう……大好きだよ」
更にぎゅっと抱きついてくる月時を海翔は仕方ないなとばかりに受け入れる。さすがにこの時間だと誰も来ないだろうことは把握している。
それでもやはり落ち着かないでいると、月時が海翔の耳元にキスをしてきた。
「っおい。これくらいって言っておきながら更になんかしてくるなよ」
「だって。ひろが好き過ぎて俺、もう堪んなくて……」
耳元で言われて海翔はゾクリと体になにかが走る。
月時の声は基本的には高めだと思う。明るい月時に似合う声だ。なのにたまにこうして少し低く艶っぽい声で囁かれると海翔だって堪らなくなる。あの時は女役を受け入れているとはいえ海翔も正真正銘の男であり、好きな相手なのだ。反応しない訳がない。
ただ基本的に常識やら羞恥心が上回るだけだ。
「ひろ……、絵、ありがとう。凄く嬉しい。それに、ひろが今言ってくれた言葉がマジで嬉しくて……俺……」
耳元にキスをしていた月時の唇が首筋へ動く。
「……っ。……トキ……」
「あっ、ご、ごめんね! ひろ、学校でとか凄く嫌がるってのに、ほんとごめん」
海翔の低い声に、月時が我に返ったようにハッとなり体を離してきた。
「……ここの教室、鍵、かかるから……」
「へ?」
「鍵、かけてきて」
絞り出すような低く静かな海翔の声に、月時は一瞬ポカンとした後で「はい!」と急いで閉めに行く。
その夜は美術室でのことを思い出し、海翔はあまりの恥ずかしさで死ねるとベッドの中でのたうち回った。
「どしたの?」
「絵、見て貰おうと思って……」
「わぁ、なんの絵だろ」
普段は美術に全然関心がない月時だが、海翔の絵にはちゃんと関心を持ってくれる。海翔が好きだからというのもあるかもしれないが、形だけではないのは絵を見ながら「ここのこういうところが好き」などとしっかり見た上で感想をくれるので分かる。元々お世辞を言う性格ではないから尚更かもしれない。
海翔は結構前に完成しつつもずっと大事に保管しておいた絵を取り出した。
「……、あ。この絵」
どれどれ、と海翔が壁に立て掛けた絵を見ると、月時がハッとした。
「うん。あの時の絵」
天使の視点での絵を描こうと思って挙げ句屋上から落ちた時のことが恐らく海翔だけでなく月時の中でも浮かんだだろうと思われた。
その絵をスケッチしている時に落ち、そして月時に助けられた。その時は暗示にかけられていたのもあって、助けられたことは分かっていなかったが仮契約もして暗示が完全に解けている今ではしっかり海翔は覚えている。
仮契約前に完全に解けていたと思っていたのだが、見ていた月時の姿をぼんやりではなく本当にはっきり思い出したのは仮契約後だ。
耳と尻尾を生やし、仮契約の時のように髪が白っぽく、そして金色の目をした俺のワーウルフ。
「あ……、えっと。ってあれ? 天使の絵じゃないの?」
何故か一瞬動揺したような顔をした後で月時が聞いてきた。
「あー。天使の絵は……なんていうか、ちょっと想像しにくくなって」
「え……? う、上から落ちてるような視点だから?」
変な質問だなと首を傾げつつ、海翔は「まあ」と相槌を打った。この魔界をイメージした絵だと、上からの視点は活かしているとはいえ、下を見るよりは視点はそこに留まっている感じというのだろうか。下へこのまま落ちるのだろうと思いつつも下へ向けている目線ではない。
「それにあんたの正体知って、なんていうか魔界のイメージのほうが気になって。あの赤い月と絡めてみたくなったっていうか」
「そっか。……いい絵だと思う。ひろってなんていうか、特徴捉えて表現するの上手いよね」
海翔の顔を見た後で月時はじっと絵を見て微笑んだ。ふと前に悠音にも「あんたの絵はなんだろう、特徴つかむのほんと上手いよね」と言われたのを思い出す。
「って赤いってよりピンクだね。まるであの時の月だ」
「うん。あの月の印象がすごいから」
「魔界はやっぱ暗いイメージなんだね」
「もしかしてやたら明るいとか?」
「あはは、それはないな! やっぱうん、暗いよ。うーん、いやまあ空って概念とはちょっと違うけどもね、ここで言う曇りとかね、昼や夜もあるんだけどね」
「へえ。面白いな」
「……俺、これ見てたらね、なんか俺とひろが一緒に魔界にこれから落ちようとしているような気持になる」
更にじっと見つめた後、月時が言ってきた。まさにそんなつもりで描いていた海翔は妙に嬉しくなった。方向を変えて今の絵にし始めた頃は月時の正体を知ったばかりの頃で、まさか契約だのなんだとということになるとは思ってもみなかった。なので本当に一緒に落ちるというつもりで描いた訳ではない。ただそういう想像は絵を描きながらした。そういうイメージで描いた。
「うん」
「なんていうか、明るい絵じゃない筈なのに、凄く嬉しくなってくる絵って感じする」
「うん」
お互い微笑み合った。
「いい絵だね……。あのスケッチブックの絵がこんなすごい絵になるなんて、美術って、ていうかひろって凄いね」
「……あ、ありがとう」
ストレートに褒められ、さすがに照れた。その後で「これ……」と続ける。
「ん?」
「これ、良かったら貰って欲しい」
「えっ? え、いい、の? だってせっかくひろが一生懸命描いた絵なのにっ?」
「うん……嫌じゃなければ」
「嫌な訳ないよ! 凄い嬉しい」
「良かった。あんたに貰って欲しいなって思いながら描いてた」
「マジでっ?」
月時が嬉しそうにキラキラした目で海翔を見てきた。だがその後で急に悲しそうな顔をする。
「どうしたんだ?」
「……ひろ、あの事故がなかったらきっと今頃はこの絵、天使が下を覗いてるよーな絵になってたんだよね」
「……まあ、途中で気分が変わらなかったら……」
「……俺、あの時程自分の不甲斐なさ感じたことなかったかも」
月時が絵を眺めながら呟いてきた。
「なんで……俺を助けてくれたのに?」
「ユーキならきっとひろが落ちる前に支えてた。俺は力が出し切れず、結局ひろは空中へ落ちて高いとこ、怖くなっちゃった」
えへへ、と笑いながらもやはり顔が悲しそうで、海翔は月時の髪をそっと撫でた。そして一房つかむと軽くピッと引っ張る。
「な、なに?」
「馬鹿だなって思って」
「ええっ? なんで」
「普通だったらそもそも俺はあのまま落ちてた。あんたが助けてくれたんだ。それに俺はかすり傷すらなかった。次の日、あんた顔に傷作ってたよな? あれ、落ちた時に俺を守ってくれたからだろ」
言いながら海翔は笑いかけた。
「さすがに落ちると思った後の記憶は定かじゃないんだ。暗示とか関係なく、俺がほぼ意識失くしてたから。でも木の中っていうイメージがすごく残ってる。多分衝撃を和らげるためにあんたがしてくれたんだろ? そして枝で俺が傷つかないよう守ってくれた。俺、あの時どれだけあんたに守られたんだろうなって思う」
「……ひろ」
「いくらあんたらでも、人一人抱えてバランス崩したまま落ちたらヤバイんじゃないの? なのに全身で俺を守ってくれた。不甲斐ない訳ない。あんたは俺のヒーローだよ」
静かに言い切ると月時がぎゅっと抱きしめてきた。
「ここ、学校だから」
「……もう。これくらいはさせてよ。ひろ、ありがとう……大好きだよ」
更にぎゅっと抱きついてくる月時を海翔は仕方ないなとばかりに受け入れる。さすがにこの時間だと誰も来ないだろうことは把握している。
それでもやはり落ち着かないでいると、月時が海翔の耳元にキスをしてきた。
「っおい。これくらいって言っておきながら更になんかしてくるなよ」
「だって。ひろが好き過ぎて俺、もう堪んなくて……」
耳元で言われて海翔はゾクリと体になにかが走る。
月時の声は基本的には高めだと思う。明るい月時に似合う声だ。なのにたまにこうして少し低く艶っぽい声で囁かれると海翔だって堪らなくなる。あの時は女役を受け入れているとはいえ海翔も正真正銘の男であり、好きな相手なのだ。反応しない訳がない。
ただ基本的に常識やら羞恥心が上回るだけだ。
「ひろ……、絵、ありがとう。凄く嬉しい。それに、ひろが今言ってくれた言葉がマジで嬉しくて……俺……」
耳元にキスをしていた月時の唇が首筋へ動く。
「……っ。……トキ……」
「あっ、ご、ごめんね! ひろ、学校でとか凄く嫌がるってのに、ほんとごめん」
海翔の低い声に、月時が我に返ったようにハッとなり体を離してきた。
「……ここの教室、鍵、かかるから……」
「へ?」
「鍵、かけてきて」
絞り出すような低く静かな海翔の声に、月時は一瞬ポカンとした後で「はい!」と急いで閉めに行く。
その夜は美術室でのことを思い出し、海翔はあまりの恥ずかしさで死ねるとベッドの中でのたうち回った。
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