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44.包容力 ※
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ゆっくりキスを続けるだけで律はもうトロリとした表情を見せてくれる。
利央は、はやる気持ちを何とか抑えるのに必死になりながら、ずいぶん行為に慣れたであろう今でも律を傷つけないよう心を配る。
耳がひたすらくすぐったいらしい律だが、他の場所は色々と敏感だった。敏感だからこそ、耳もぞくぞくしたくすぐったい感覚が走るのかもしれない。
傷つけないようにと思いつつもやはり反応してくれるのが嬉しくて、そして自分が実際触れたくて堪らなくて、利央はあらゆる部分に指を這わせたりキスをしたりする。首筋であろうが胸元であろうが、腋や臍、どこに触れても律は体を震わせ反応してくれる。利央はますますとても愛しい気持ちになる。
普段色々と敵わない尊敬する相手が、こんなにも自分に感じてくれる。そして何もかもさらけ出し委ねてくれる。そう思うと心が震えた。
「好きだよ……」
何か言ったら泣きそうで、でも何も言わないでも泣きそうなほど、律が好きで堪らない。
本当はもっとたくさん優しい言葉をかけながら体を受け入れやすいようリラックスさせたいのに、そんな言葉しか言えない。だが律は嬉しそうに微笑むと、気持ちよさにびくりと体を震わせながらも利央をギュッと抱きしめてくれる。
「律……律好き」
いつもは兄貴と呼ぶが、行為中は無意識に名前で呼んでいる時がある。後で気づいて、まるで自分が必死になって律と対等になろうとしているのがバレているみたいな気がして、恥ずかしくなったりもする。
「俺も、好きだよ、りお」
そして優しい律の声がさらに利央を包んでくれる気がする。
切ないほど愛おしく思うのに、だがその半面、大切な相手の中に侵入したくて堪らない自分がいる。せめて沢山濡らして解そうと、利央はたっぷりのローションで律の外や中を濡らしていく。
どれほど回数こなしても、最初はゆっくりと入口辺りをマッサージした。それから慎重に指を一本ゆっくりと入れていく。何度も何度もローションをつぎたし、あり得ないほど沢山濡らす。
「ん、……ん」
ゆっくり解していくと、律の口から小さな艶っぽい声が漏れてくる。それがまた利央を堪らなくさせた。
二本に増やしたところで今度は解すよりも、気持ちよくなってもらおうと指でまさぐりながらしこりのような部分を探す。
「……っぁ、あ、そこ、待ってっ」
今のところ、まだ後ろで達するほどではない律も、前立腺を刺激されるのは少し辛いくらい気持ちいいらしく、生理的に浮かんでくる涙を溜めながら「だめ」だと懇願してくる。そんな律を見ると、大切に大事に優しく、と思っているはずの利央の心にむくむくと嗜虐心にも少し似た気持ちがもたげてくる。
気持ちよすぎて泣く律がもっと、もっと見たい。
ほんとどうしようもないな、と自分に呆れながらも欲望には結局勝てない。
「ここ?」
ニッコリと囁くように耳元で言うと、律は必死になって首を振ってきた。
「嘘、ここだよね。気持ちいいよね? だって俺もう兄貴の場所、覚えてる」
「っじゃ、あ何で聞くんだ、よ」
「だって反応がかわいいから」
ニッコリ言うと「かわいくない」と返ってきた。
利央はそのまま刺激を続けつつ、律の硬くなっているペニスをもう片方の手で扱いた。
「あっ、あ……、待っ」
律がますます真っ赤になりながら涙を浮かべている姿が堪らない。利央は今すぐにでも自分のものを押し込みたい衝動と戦う。
「指、締めつけてくる」
「ば、か」
さすがに利央は自分で試したいとは思わないのだが、本当に前立腺を刺激しながらの射精はかなり気持ちいいらしい。通常射精する時も尻の奥から快楽が押し寄せてくる感じなのだが、前立腺を刺激されることによって尻と竿の快感具合が半端なくなるようだ。
「ん、ぁあ……、は……っ」
利央の指でもわかるくらい、締まってくる中にある前立腺が硬く膨らんできた。またニッコリ笑って利央は律にキスをしながらそれを狙って刺激しつつ、律のペニスを次第に激しく扱いた。
「ふっ、んぅぅ」
律が大きく震える。勢いよく射精したのがわかった。
「かわいい……兄貴。ごめんね、今度は俺、イきたい」
囁くように言うと、息を荒げたまま律が「うん」とまた利央をギュッと抱きしめてきた。優しい律は基本何でも許してくれる。何でも受け入れてくれる。
……俺、変な趣味にだけは走りませんように。
思わずそう思いつつ、利央はコンドームをはめた自分の高ぶったものにもローションで沢山濡らした。そしてまだ息の荒い律の中にゆっくり埋めていく。
「ひ、ぁ……」
どれほど回数をこなしても最初はとても苦しそうなので、毎回「ごめんね」と言ってしまう。自分のためというより、律が少しでも楽だと思えるよう、早く律が後ろだけで快楽を得られるようになればいいなと利央は思う。
「き、つ」
相変わらず狭い中をゆっくりと自分のものが入っていく感覚は、少しきついけれども利央は好きだ。
「大丈夫? 兄貴、大丈夫?」
「う、ん。大丈夫。動いて……いいよ」
何とか中に入った後、少しだけそのままにして利央が聞くと、律はいつも微笑んでそう言ってくれる。
「動いて、大丈夫?」
「うん。ちゃんと、気持ちいいから、動いて」
そして利央の心を読んでいるかのように答えてくれる。ごめんと心の中で呟いた後、どのみちもう我慢できそうにない利央は律の中を貪った。
「……っぁ、あ、あ」
沢山濡らしているそこは、利央が律動を繰り返す度に小さな水音を立てている。そんな音すら堪らなくて、余計に動くのを利央はやめられなくなる。
気持ちいいと言ってくれるのは一応嘘ではないらしく、律の中にある襞が蠢くように利央を締めつけてきた。苦しいながらにもちゃんとそれなりに感じてくれるのが嬉しくて、そして狭い中の刺激が堪らなくて、利央はいつもすぐに達しそうになるのを必死になって堪えようとしていた。
この間亨が「男相手にすぐイきそうになるんは仕方ねぇよ。だってケツのが女のあれより締まってんだろ」と言ってきた時は引いたように見返してしまったが、確かにそうなのだろうなとは思う。ただ、やはりそれだけじゃなく、律だからこそなのだろうなと今も必死になって堪えていた。
「んっ、う、ん……っぁあ」
でももう、堪えられそうにない。
「律、俺……もう」
思わずぼそりと呟くと、律が手を伸ばしてきた。苦しい体勢だろうにまたぎゅっと利央を抱きしめてくる。
「好きだよ、りお」
ああ、前に兄貴が言っていたこと、何となくわかった気がする。
温かい包容力を感じ、利央はそのまま律の中で果てた。
弟としても、好き。
とてつもない充足感や開放感そして疲労感とともに、律の言葉が脳内に広がる。
利央は、はやる気持ちを何とか抑えるのに必死になりながら、ずいぶん行為に慣れたであろう今でも律を傷つけないよう心を配る。
耳がひたすらくすぐったいらしい律だが、他の場所は色々と敏感だった。敏感だからこそ、耳もぞくぞくしたくすぐったい感覚が走るのかもしれない。
傷つけないようにと思いつつもやはり反応してくれるのが嬉しくて、そして自分が実際触れたくて堪らなくて、利央はあらゆる部分に指を這わせたりキスをしたりする。首筋であろうが胸元であろうが、腋や臍、どこに触れても律は体を震わせ反応してくれる。利央はますますとても愛しい気持ちになる。
普段色々と敵わない尊敬する相手が、こんなにも自分に感じてくれる。そして何もかもさらけ出し委ねてくれる。そう思うと心が震えた。
「好きだよ……」
何か言ったら泣きそうで、でも何も言わないでも泣きそうなほど、律が好きで堪らない。
本当はもっとたくさん優しい言葉をかけながら体を受け入れやすいようリラックスさせたいのに、そんな言葉しか言えない。だが律は嬉しそうに微笑むと、気持ちよさにびくりと体を震わせながらも利央をギュッと抱きしめてくれる。
「律……律好き」
いつもは兄貴と呼ぶが、行為中は無意識に名前で呼んでいる時がある。後で気づいて、まるで自分が必死になって律と対等になろうとしているのがバレているみたいな気がして、恥ずかしくなったりもする。
「俺も、好きだよ、りお」
そして優しい律の声がさらに利央を包んでくれる気がする。
切ないほど愛おしく思うのに、だがその半面、大切な相手の中に侵入したくて堪らない自分がいる。せめて沢山濡らして解そうと、利央はたっぷりのローションで律の外や中を濡らしていく。
どれほど回数こなしても、最初はゆっくりと入口辺りをマッサージした。それから慎重に指を一本ゆっくりと入れていく。何度も何度もローションをつぎたし、あり得ないほど沢山濡らす。
「ん、……ん」
ゆっくり解していくと、律の口から小さな艶っぽい声が漏れてくる。それがまた利央を堪らなくさせた。
二本に増やしたところで今度は解すよりも、気持ちよくなってもらおうと指でまさぐりながらしこりのような部分を探す。
「……っぁ、あ、そこ、待ってっ」
今のところ、まだ後ろで達するほどではない律も、前立腺を刺激されるのは少し辛いくらい気持ちいいらしく、生理的に浮かんでくる涙を溜めながら「だめ」だと懇願してくる。そんな律を見ると、大切に大事に優しく、と思っているはずの利央の心にむくむくと嗜虐心にも少し似た気持ちがもたげてくる。
気持ちよすぎて泣く律がもっと、もっと見たい。
ほんとどうしようもないな、と自分に呆れながらも欲望には結局勝てない。
「ここ?」
ニッコリと囁くように耳元で言うと、律は必死になって首を振ってきた。
「嘘、ここだよね。気持ちいいよね? だって俺もう兄貴の場所、覚えてる」
「っじゃ、あ何で聞くんだ、よ」
「だって反応がかわいいから」
ニッコリ言うと「かわいくない」と返ってきた。
利央はそのまま刺激を続けつつ、律の硬くなっているペニスをもう片方の手で扱いた。
「あっ、あ……、待っ」
律がますます真っ赤になりながら涙を浮かべている姿が堪らない。利央は今すぐにでも自分のものを押し込みたい衝動と戦う。
「指、締めつけてくる」
「ば、か」
さすがに利央は自分で試したいとは思わないのだが、本当に前立腺を刺激しながらの射精はかなり気持ちいいらしい。通常射精する時も尻の奥から快楽が押し寄せてくる感じなのだが、前立腺を刺激されることによって尻と竿の快感具合が半端なくなるようだ。
「ん、ぁあ……、は……っ」
利央の指でもわかるくらい、締まってくる中にある前立腺が硬く膨らんできた。またニッコリ笑って利央は律にキスをしながらそれを狙って刺激しつつ、律のペニスを次第に激しく扱いた。
「ふっ、んぅぅ」
律が大きく震える。勢いよく射精したのがわかった。
「かわいい……兄貴。ごめんね、今度は俺、イきたい」
囁くように言うと、息を荒げたまま律が「うん」とまた利央をギュッと抱きしめてきた。優しい律は基本何でも許してくれる。何でも受け入れてくれる。
……俺、変な趣味にだけは走りませんように。
思わずそう思いつつ、利央はコンドームをはめた自分の高ぶったものにもローションで沢山濡らした。そしてまだ息の荒い律の中にゆっくり埋めていく。
「ひ、ぁ……」
どれほど回数をこなしても最初はとても苦しそうなので、毎回「ごめんね」と言ってしまう。自分のためというより、律が少しでも楽だと思えるよう、早く律が後ろだけで快楽を得られるようになればいいなと利央は思う。
「き、つ」
相変わらず狭い中をゆっくりと自分のものが入っていく感覚は、少しきついけれども利央は好きだ。
「大丈夫? 兄貴、大丈夫?」
「う、ん。大丈夫。動いて……いいよ」
何とか中に入った後、少しだけそのままにして利央が聞くと、律はいつも微笑んでそう言ってくれる。
「動いて、大丈夫?」
「うん。ちゃんと、気持ちいいから、動いて」
そして利央の心を読んでいるかのように答えてくれる。ごめんと心の中で呟いた後、どのみちもう我慢できそうにない利央は律の中を貪った。
「……っぁ、あ、あ」
沢山濡らしているそこは、利央が律動を繰り返す度に小さな水音を立てている。そんな音すら堪らなくて、余計に動くのを利央はやめられなくなる。
気持ちいいと言ってくれるのは一応嘘ではないらしく、律の中にある襞が蠢くように利央を締めつけてきた。苦しいながらにもちゃんとそれなりに感じてくれるのが嬉しくて、そして狭い中の刺激が堪らなくて、利央はいつもすぐに達しそうになるのを必死になって堪えようとしていた。
この間亨が「男相手にすぐイきそうになるんは仕方ねぇよ。だってケツのが女のあれより締まってんだろ」と言ってきた時は引いたように見返してしまったが、確かにそうなのだろうなとは思う。ただ、やはりそれだけじゃなく、律だからこそなのだろうなと今も必死になって堪えていた。
「んっ、う、ん……っぁあ」
でももう、堪えられそうにない。
「律、俺……もう」
思わずぼそりと呟くと、律が手を伸ばしてきた。苦しい体勢だろうにまたぎゅっと利央を抱きしめてくる。
「好きだよ、りお」
ああ、前に兄貴が言っていたこと、何となくわかった気がする。
温かい包容力を感じ、利央はそのまま律の中で果てた。
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