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34.思いきる
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朝起きたら意外なほど、律はスッキリしていた。もっと呆然として起きてもよさそうな夢を見たというのに、と自分でも呆れる。ただ飲み食いをしたまま歯を洗わずに寝たせいで口の中が気持ち悪い。
律はとりあえずもそりと起きあがり、洗面所へ向かおうとした。すると丁度起きて二階から降りてきた利央と鉢合わせする。
「あ、おはよう兄貴……」
利央はニッコリ笑って顔を近づけてきた。キスをされると思い、律は咄嗟に口を覆って利央を避ける。利央はただ黙って律を見てきた。
「ご、ごめん。おはよう、りお」
昨夜から歯を磨いてないのに絶対無理、と律はそのまま慌てて洗面所へ入った。弟なのに無理、ではなく歯を磨いてないのが無理だと思う辺り自分は、と律は苦笑する。スッキリしている理由が理由だけに、心から自分に呆れるというか適当過ぎる気がした。
昔から律は基本的に悩みが持続しない。もちろん時間を空けてふと思い出したように同じ内容で悩むことはあるが、ひたすらずっと悩み続けはしなかった。
利央についても、深く考えてもきっと仕方ないのだろうと思う。ずっと利央は弟だったし、これからも弟なのは変わらない事実だ。だから利央がその上で律をどう思っているか、そして律はどうしたいのかしかない。
ハミガキ粉を少し出して歯ブラシにつけると律は口に含んだ。
そういえば昨日も夜、りおはキスしようとして止めたな。何とも言えない表情させてしまったし。でも今はむしろ無表情に近かったような……?
律は利央が気になり心を痛めつつもとりあえず歯を磨き始めた。
利央も本当は顔を洗いたかったのだが、とりあえずぼんやり台所へ行く。
昨夜構えている律を見た時も悲しくなったが、今ははっきりと拒絶されて呆然としてしまった。利央に好きだと言われて狼狽しつつもキスは受け入れてくれたと思っていたが、甘かったようだ。むしろさらに嫌われた感しか、ない。
昨夜も情けない話だが律のことを考えて中々寝つけなかったというのに、今は本気で落ち込みそうだった。昨日のことについては気を取り直したつもりだったが、なおさら打ちのめされた。
気持ちを伝えるなんてしてしまったからだろうか。少しずつ進めるつもりだったがキスは早急だったのだろうか。
そもそも真面目な律が弟を受け入れてくれるはずなかったのだろうなと利央は思う。
考えが押し寄せ、味噌汁を作りながら利央はため息をそっとついた。だが律が洗面所を出たのがわかると、火を止めてから自分も顔を洗いに行く。
歯と顔を洗ってから鏡に映る自分を見た。ジッと見ながら改めて思う。
それでも利央は律が好きだし、気持ちがそんな簡単になくなるくらいならそもそも最初から血のつながった兄に思いを寄せるなんてしないだろう。
まだ嫌いだとも一緒にいたくないとも言われてない。
利央は改めて自分に活を入れた。律に無茶だけはしないよう、それでも自分はこうして気持ちを出すしかできない。
「りお? 大丈夫?」
ずっと洗面所にいたからだろうか、律の声がした。
「うん。ごめんごめん。すぐ朝飯の用意する」
利央は慌てて台所へ向かった。
「ああ、いいよ。俺やっといた。飯、食お」
丁度味噌汁を椀に入れていた律がニッコリ、入ってきた利央を見てきた。
「悪い、兄貴」
「何で謝るんだよ」
いつもとは逆のように律が笑いながら言う。
二人で和室の座卓まで食事を運ぶと「食うか」と座った。利央が洗面所にいる間に、律は出汁巻き卵を作ってくれていたようだ。久しぶりに律が作ったそれを食べると、利央の口の中に幸せ感が美味しさと共に広がった。
「美味い……」
「そっか、よかった。久しぶりに作ったからちゃんと巻けるかなって思ったよ。ほんと最近はりおに任せっきりだもんな」
律が嬉しそうに笑う。その笑顔を見て、利央はほっとした。
まだ、笑ってくれる。
そう思っていると「りお……」と律が何故か明後日の方向を見つつ名前を呼んできた。顔を逸らしている律が珍しいのもあり、そして何となくその様子が気になって利央は「何」と言いながらも律をジッと見た。
律が洗面所を出て一旦二階へ上がっている間に利央は洗面所で顔を洗っているようだった。出勤する準備を済ませた後で律は台所へ入る。
スッキリ目覚めたせいか時間はいつもより早い。久しぶりに出汁巻きを作りながら律は改めて考えた。
弟としてだろうが、俺はりおが大好きだ。
眠りに落ちる前に弟とは、と悶々としていたからだろうか、夢は顔を洗ってはっきりした頭で考えなくともとんでもない内容だった。
弟なのにとひたすら自分で思っていたくせに、律は利央に自らキスしていた。ぎゅっと抱きしめ、そして抱きしめられていた。
大好きで大好きで堪らない弟。そう思いつつ抱きしめ合う律と利央は服を着ていなかった。多分そういった行為をしていたのだと思う。はっきり明確に覚えていないのは夢だからか、律にそういう経験がないからかはわからないが、それでもあれはそういう行為なのだろうなと思う。
夢の中でただ律は幸せだった。弟が大好きで、そして弟も好いてくれていることが純粋に嬉しかった。
そして起きた時、気持ちがスッキリとしていた。
ただ、好き。ああ、それでいいんだ。
妙にストンと何かがスッキリ落ちた気がした。
無理じゃなかった。
「世間でどうこうなんて知らない、俺は兄貴がどう思うかが気になるんだ」
利央の言っていた言葉が過った。
ただそれでも何て夢をと思ったし、天国にいるであろう両親に心の中で何度も土下座した。
「りお……」
「何」
利央が怪訝そうにジッと律を見てくる。
ああ、どうかお互い後悔しませんように。
間違った選択であると、律の心の片隅にいる生真面目な良心が訴えている。それでも律は利央が好きだし、未だに弟として見ているとはいえ、そういう好きが無理ならそもそも最初からキスをされた時点で無理だっただろうと今は思う。
ただでさえ恋愛感情がどんなものかよくわかっていないのに、元々お互い大切な兄弟だったため余計に律の中の小宇宙が消滅しそうなほど大混乱してしまったけれども。
それでも。
「す、好きだから。俺」
顔を合わせられないまま、何とか言う。だが利央から何も返ってこない。
もしかしていつも言っていることと同じだと思われたのだろうかと恐る恐る利央をそっと見ると、見たこともないほどポカンとして律を見ている利央がいた。
「りお……?」
「兄貴、ほんと? あの、いいの?あの……だって、俺、弟……」
伝わってた。
律は嬉しくなって笑うと利央を抱きしめる。
「弟としても利央としても、りおが好きだよ。それだけはわかるから」
恋愛とか色々ほんとよくわかっていないけど、これだけは間違いないから。
「……」
利央はその後無言のまま、だけれどもきつく律を抱き返してきた。そんな利央に「間違っていたとしても、それでも間違ってない」という思いが律の中に沁み込んでいく。
好きだ。
それよりも難しいことはこれからゆっくり考えればいい。ただ利央にあんな顔だけはして欲しくない。
とはいえ感動の一場面と思っている暇はなく、その後二人で冷めてしまった味噌汁を飲みながら、それでも目が合うとニッコリしつつも律は仕事へ出かけた。
その日一日、とても律の気分は軽かった。
律はとりあえずもそりと起きあがり、洗面所へ向かおうとした。すると丁度起きて二階から降りてきた利央と鉢合わせする。
「あ、おはよう兄貴……」
利央はニッコリ笑って顔を近づけてきた。キスをされると思い、律は咄嗟に口を覆って利央を避ける。利央はただ黙って律を見てきた。
「ご、ごめん。おはよう、りお」
昨夜から歯を磨いてないのに絶対無理、と律はそのまま慌てて洗面所へ入った。弟なのに無理、ではなく歯を磨いてないのが無理だと思う辺り自分は、と律は苦笑する。スッキリしている理由が理由だけに、心から自分に呆れるというか適当過ぎる気がした。
昔から律は基本的に悩みが持続しない。もちろん時間を空けてふと思い出したように同じ内容で悩むことはあるが、ひたすらずっと悩み続けはしなかった。
利央についても、深く考えてもきっと仕方ないのだろうと思う。ずっと利央は弟だったし、これからも弟なのは変わらない事実だ。だから利央がその上で律をどう思っているか、そして律はどうしたいのかしかない。
ハミガキ粉を少し出して歯ブラシにつけると律は口に含んだ。
そういえば昨日も夜、りおはキスしようとして止めたな。何とも言えない表情させてしまったし。でも今はむしろ無表情に近かったような……?
律は利央が気になり心を痛めつつもとりあえず歯を磨き始めた。
利央も本当は顔を洗いたかったのだが、とりあえずぼんやり台所へ行く。
昨夜構えている律を見た時も悲しくなったが、今ははっきりと拒絶されて呆然としてしまった。利央に好きだと言われて狼狽しつつもキスは受け入れてくれたと思っていたが、甘かったようだ。むしろさらに嫌われた感しか、ない。
昨夜も情けない話だが律のことを考えて中々寝つけなかったというのに、今は本気で落ち込みそうだった。昨日のことについては気を取り直したつもりだったが、なおさら打ちのめされた。
気持ちを伝えるなんてしてしまったからだろうか。少しずつ進めるつもりだったがキスは早急だったのだろうか。
そもそも真面目な律が弟を受け入れてくれるはずなかったのだろうなと利央は思う。
考えが押し寄せ、味噌汁を作りながら利央はため息をそっとついた。だが律が洗面所を出たのがわかると、火を止めてから自分も顔を洗いに行く。
歯と顔を洗ってから鏡に映る自分を見た。ジッと見ながら改めて思う。
それでも利央は律が好きだし、気持ちがそんな簡単になくなるくらいならそもそも最初から血のつながった兄に思いを寄せるなんてしないだろう。
まだ嫌いだとも一緒にいたくないとも言われてない。
利央は改めて自分に活を入れた。律に無茶だけはしないよう、それでも自分はこうして気持ちを出すしかできない。
「りお? 大丈夫?」
ずっと洗面所にいたからだろうか、律の声がした。
「うん。ごめんごめん。すぐ朝飯の用意する」
利央は慌てて台所へ向かった。
「ああ、いいよ。俺やっといた。飯、食お」
丁度味噌汁を椀に入れていた律がニッコリ、入ってきた利央を見てきた。
「悪い、兄貴」
「何で謝るんだよ」
いつもとは逆のように律が笑いながら言う。
二人で和室の座卓まで食事を運ぶと「食うか」と座った。利央が洗面所にいる間に、律は出汁巻き卵を作ってくれていたようだ。久しぶりに律が作ったそれを食べると、利央の口の中に幸せ感が美味しさと共に広がった。
「美味い……」
「そっか、よかった。久しぶりに作ったからちゃんと巻けるかなって思ったよ。ほんと最近はりおに任せっきりだもんな」
律が嬉しそうに笑う。その笑顔を見て、利央はほっとした。
まだ、笑ってくれる。
そう思っていると「りお……」と律が何故か明後日の方向を見つつ名前を呼んできた。顔を逸らしている律が珍しいのもあり、そして何となくその様子が気になって利央は「何」と言いながらも律をジッと見た。
律が洗面所を出て一旦二階へ上がっている間に利央は洗面所で顔を洗っているようだった。出勤する準備を済ませた後で律は台所へ入る。
スッキリ目覚めたせいか時間はいつもより早い。久しぶりに出汁巻きを作りながら律は改めて考えた。
弟としてだろうが、俺はりおが大好きだ。
眠りに落ちる前に弟とは、と悶々としていたからだろうか、夢は顔を洗ってはっきりした頭で考えなくともとんでもない内容だった。
弟なのにとひたすら自分で思っていたくせに、律は利央に自らキスしていた。ぎゅっと抱きしめ、そして抱きしめられていた。
大好きで大好きで堪らない弟。そう思いつつ抱きしめ合う律と利央は服を着ていなかった。多分そういった行為をしていたのだと思う。はっきり明確に覚えていないのは夢だからか、律にそういう経験がないからかはわからないが、それでもあれはそういう行為なのだろうなと思う。
夢の中でただ律は幸せだった。弟が大好きで、そして弟も好いてくれていることが純粋に嬉しかった。
そして起きた時、気持ちがスッキリとしていた。
ただ、好き。ああ、それでいいんだ。
妙にストンと何かがスッキリ落ちた気がした。
無理じゃなかった。
「世間でどうこうなんて知らない、俺は兄貴がどう思うかが気になるんだ」
利央の言っていた言葉が過った。
ただそれでも何て夢をと思ったし、天国にいるであろう両親に心の中で何度も土下座した。
「りお……」
「何」
利央が怪訝そうにジッと律を見てくる。
ああ、どうかお互い後悔しませんように。
間違った選択であると、律の心の片隅にいる生真面目な良心が訴えている。それでも律は利央が好きだし、未だに弟として見ているとはいえ、そういう好きが無理ならそもそも最初からキスをされた時点で無理だっただろうと今は思う。
ただでさえ恋愛感情がどんなものかよくわかっていないのに、元々お互い大切な兄弟だったため余計に律の中の小宇宙が消滅しそうなほど大混乱してしまったけれども。
それでも。
「す、好きだから。俺」
顔を合わせられないまま、何とか言う。だが利央から何も返ってこない。
もしかしていつも言っていることと同じだと思われたのだろうかと恐る恐る利央をそっと見ると、見たこともないほどポカンとして律を見ている利央がいた。
「りお……?」
「兄貴、ほんと? あの、いいの?あの……だって、俺、弟……」
伝わってた。
律は嬉しくなって笑うと利央を抱きしめる。
「弟としても利央としても、りおが好きだよ。それだけはわかるから」
恋愛とか色々ほんとよくわかっていないけど、これだけは間違いないから。
「……」
利央はその後無言のまま、だけれどもきつく律を抱き返してきた。そんな利央に「間違っていたとしても、それでも間違ってない」という思いが律の中に沁み込んでいく。
好きだ。
それよりも難しいことはこれからゆっくり考えればいい。ただ利央にあんな顔だけはして欲しくない。
とはいえ感動の一場面と思っている暇はなく、その後二人で冷めてしまった味噌汁を飲みながら、それでも目が合うとニッコリしつつも律は仕事へ出かけた。
その日一日、とても律の気分は軽かった。
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