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20.欲求と思い
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律も一人ですることは真っ当な青年として当然、ある。基本的にひたすら忙しかったし大抵それどころではなかったからか、あまりそういった欲求を持てあましはしなかったが、たまにしたくなる時はある。
自分の中では別に淡白だとも逆に欲求不満だとも思っていない。普通の行為として受け止めていたし、特に疾しさを感じたりもしない。
休日の朝である今も、眠りから覚めた時にふと湧きあがった衝動にかられて抜いていた。
抜く時は特に凝ったやり方などないし、何か媒体を用意してする程でもない。ただベッドの上で仰向けのままか座り、手で刺激させるだけだ。女性との経験がないので本やテレビなどで得た知識だけとはいえ、大抵は頭の中で想像しながら抜く。
疲れ過ぎている時や、そんな気分だと思いきや結局気分が乗らない時は達することなく途中で萎えて止めることもあるが、大抵は想像だけで十分できた。
さすがに大っぴらにするものでもないので親がいる頃からこっそりとしていた訳だが、特別な感情も思い入れもなくそういうものだと自然に捉えていた。だが利央が中学生になった頃ぐらいに「どうしよう」と少し悩んだことはある。
親がいないから自分が教えてあげるべきだろうか、だが自然なこととはいえさすがに弟に教えづらい。
ふと思いついたこの悩みは数日考えた挙句、親友の翔にこれまた言いづらいながらに持ち出すと、一気に解決した。
解決とは言わないかもしれないが。
「お前ほんっと弟のことになると考え過ぎだよな」
「え? 何で」
「思い出せ。お前は親に処理を教えてもらったんか?」
「あ」
当時、翔がおかしそうに言ってくれた言葉でようやく律は我に返った。親に教えてもらうとか、むしろない。あり得ない。
……そういえば利央ってどうしてるんだろう。
手に付いた精液をティッシュで拭きとり、服を正すと何気に思いつつ、律は手を洗いに一階へ降りた。
中学の頃、二階にもトイレがある友だちの家があり、少しそういう面で羨ましいなと思ったことを何となく思い出す。別に手を洗うくらいでバレるわけないと思いながらも、バレたらやはり恥ずかしいのでこそこそ一階へ降りていったっけと苦笑する。
自然なこととはいえバレたいとはさすがに思わない。だから途中小さな利央に出会うとさすがに妙な罪悪感を覚えたこともあったなあと思いつつ、律が洗面所へ入ると先客がいた。
「りお? どうしたの?」
何やら洗面ボウルの中で洗っているように思えて律が声をかけた途端、いつも基本落ち着いてみえる利央がビクリと体を震わせている。
「な、何でもない。兄貴こそ、何」
「……あー、えっと顔洗いに来たんだけど、いいよ後にする」
一瞬黙った後で律は何でもないようにニッコリ笑い洗面所から出た。台所へ向かい、そこで手を洗う。そのついでにコップに茶を淹れてその場で飲んだ。
何となく察した。高校生でも、そういうことあるかもねとそっと思う。
いつも下手すれば自分よりも大人っぽく見える利央が、年相応というかちゃんとまだ子どもなのだと思えて律は微笑んだ。
一方利央はいっそもう消えてしまいたいと思いながらざっと洗い終えた自分の下着をそのまま洗濯機へ放り込んだ。
何ていうか察されたような気、しかしない。
だがなかったことにしてくれたのだろうし自分もその方向で行こうとため息ついた。
朝目が覚めた途端、絶望感に陥っていた。この歳になって何しているのだろうと顔がひきつった。
ここ数日、夜抜こうかと思っても頭に自分の兄である律が過ってしまい、抜いてなかったせいだろうとは思った。
でも、と不快な顔しながら布団から出て、とりあえず着替える。
でも夢が。
相手の顔が見えないまま、よくわからないまま、それでもその全裸は間違いなく男のそれだった。ただ利央は顔が見えなくても相手は誰か把握していた。わかっているからこそ、萎えることなく行為を続けた。
顔が見えないまま、汗に濡れた額や首筋に舌を這わせた時は、だが本当に塩味を感じた。そのまま這わせた舌が平らな、そして尖った胸先に触れると適度な硬さを感じ、堪らなくなりそのままさらに味わった。
自分にも付いているはずのそれには全く嫌悪感を覚えなかった。はっきりとした形が見えなかったからだろうか。
いや、違う。
多分はっきり見えていたらもっと堪らなくなったかもしれない。そのすこしぼやけた、だが硬く濡れた先にも舌を這わせると、ねっとりした感触さえ感じられた。
そして現実では到底あり得ないとしか思えないが、確かに利央はそこへ慣らすこともなく自分のモノをあてがい、ゆっくりと入れていった。
味わったことのある女性のそれとは違い、とてつもない狭さまでも感じた。そこはしっかりと利央を咥えこみ、きゅうきゅうと締めつけてきた。あまりにも堪らなく、外へ出すこともできずそのまま中に思いきり出した。絞り取られるようにその熱いものを吐き出し、明らかに男の体であるその相手の顔を堪能しようとした。
そこに想像どおり律の、けだるげに赤らめた顔を見た途端目が覚めた。
その夢をゆっくり考える暇もなく着替えを済ませた利央だったが、着替え終わると改めて顔をひきつらせた。
夢精したからではない。夢精自体もいい歳して何してんだ自分とは思ったが、夢の内容に比べると全然たいしたことじゃないように思える。自分は何て夢を見たんだと呆然とする。
ここのところ抜こうとする度に何故か兄貴の顔が過っていたからか?
それにしても男を、実の兄を利央は夢の中で抱いた。それも夢中になって抱いていた。堪らなく最高だと思っていた。
自分で自分がよく分からない。これは、どういうことなのか。
悶々と考えつつも、とりあえず濡れた下着をそのまま洗濯機に放り込むわけにもいかず洗っているところへ律がやってきた。居たたまれないにもほどがある。二重でつらい。
このまま二階へ逃げるように戻ろうかと思ったが、それはそれで二度と一階へ降りてこられない気分になりそうで利央は居間へ向かった。
「まだまだ暑いけどそろそろちょっとマシになってきたよね」
居間ではなく台所にいた律は、利央が居間に入ってきたのに気づいて声をかけてくる。
「うん」
内心まだ動揺し続けてはいるが、何でもないフリして利央は頷き畳の上に座った。そして甘い匂いに気付く。
何だろう懐かしい匂いだな。
すると律がニコニコ台所から居間へ入ってきた。
「休みだしたまには俺がね、作ろうかなって。昔よく食べたよね」
置いてきた皿の上には薄いホットケーキが乗っていた。既製品ではなく、小麦粉と卵、砂糖で作った律のお手製で、今日みたいな休日の朝、小さかった利央に時折作ってくれていた。
色んなものがのったパンケーキ、といった洒落たものでなく、素朴でそして薄いホットケーキには既にマーガリンと蜂蜜が塗られている。
メープルシロップどころかバターすらあまりよくわかっていなかった律が、当時は買っていなくて家にはなくて。安っぽい味かもしれないが、でも利央はこの律のホットケーキが大好きだった。
ああ、と利央は泣きそうな気持ちになりながら思った。
俺は、律が、好きだ。兄貴が大好きで大好きで。
いや。兄だから好きというよりも、律だから大好きだ。こうやってホットケーキを作ってくれる、兄……じゃなくて律が好きで堪らない。
堪らなく大好きで。だからきっと、あんな夢を見た。
兄とか男とかじゃなく、律が好きで堪らないのだと改めて利央は思った。
「久しぶりに作ったけど、どう?」
「……うまい。美味いよ凄く。……大好きだ、兄貴」
「そう、よかった」
利央の言葉に、律は屈託なく笑った。
自分の中では別に淡白だとも逆に欲求不満だとも思っていない。普通の行為として受け止めていたし、特に疾しさを感じたりもしない。
休日の朝である今も、眠りから覚めた時にふと湧きあがった衝動にかられて抜いていた。
抜く時は特に凝ったやり方などないし、何か媒体を用意してする程でもない。ただベッドの上で仰向けのままか座り、手で刺激させるだけだ。女性との経験がないので本やテレビなどで得た知識だけとはいえ、大抵は頭の中で想像しながら抜く。
疲れ過ぎている時や、そんな気分だと思いきや結局気分が乗らない時は達することなく途中で萎えて止めることもあるが、大抵は想像だけで十分できた。
さすがに大っぴらにするものでもないので親がいる頃からこっそりとしていた訳だが、特別な感情も思い入れもなくそういうものだと自然に捉えていた。だが利央が中学生になった頃ぐらいに「どうしよう」と少し悩んだことはある。
親がいないから自分が教えてあげるべきだろうか、だが自然なこととはいえさすがに弟に教えづらい。
ふと思いついたこの悩みは数日考えた挙句、親友の翔にこれまた言いづらいながらに持ち出すと、一気に解決した。
解決とは言わないかもしれないが。
「お前ほんっと弟のことになると考え過ぎだよな」
「え? 何で」
「思い出せ。お前は親に処理を教えてもらったんか?」
「あ」
当時、翔がおかしそうに言ってくれた言葉でようやく律は我に返った。親に教えてもらうとか、むしろない。あり得ない。
……そういえば利央ってどうしてるんだろう。
手に付いた精液をティッシュで拭きとり、服を正すと何気に思いつつ、律は手を洗いに一階へ降りた。
中学の頃、二階にもトイレがある友だちの家があり、少しそういう面で羨ましいなと思ったことを何となく思い出す。別に手を洗うくらいでバレるわけないと思いながらも、バレたらやはり恥ずかしいのでこそこそ一階へ降りていったっけと苦笑する。
自然なこととはいえバレたいとはさすがに思わない。だから途中小さな利央に出会うとさすがに妙な罪悪感を覚えたこともあったなあと思いつつ、律が洗面所へ入ると先客がいた。
「りお? どうしたの?」
何やら洗面ボウルの中で洗っているように思えて律が声をかけた途端、いつも基本落ち着いてみえる利央がビクリと体を震わせている。
「な、何でもない。兄貴こそ、何」
「……あー、えっと顔洗いに来たんだけど、いいよ後にする」
一瞬黙った後で律は何でもないようにニッコリ笑い洗面所から出た。台所へ向かい、そこで手を洗う。そのついでにコップに茶を淹れてその場で飲んだ。
何となく察した。高校生でも、そういうことあるかもねとそっと思う。
いつも下手すれば自分よりも大人っぽく見える利央が、年相応というかちゃんとまだ子どもなのだと思えて律は微笑んだ。
一方利央はいっそもう消えてしまいたいと思いながらざっと洗い終えた自分の下着をそのまま洗濯機へ放り込んだ。
何ていうか察されたような気、しかしない。
だがなかったことにしてくれたのだろうし自分もその方向で行こうとため息ついた。
朝目が覚めた途端、絶望感に陥っていた。この歳になって何しているのだろうと顔がひきつった。
ここ数日、夜抜こうかと思っても頭に自分の兄である律が過ってしまい、抜いてなかったせいだろうとは思った。
でも、と不快な顔しながら布団から出て、とりあえず着替える。
でも夢が。
相手の顔が見えないまま、よくわからないまま、それでもその全裸は間違いなく男のそれだった。ただ利央は顔が見えなくても相手は誰か把握していた。わかっているからこそ、萎えることなく行為を続けた。
顔が見えないまま、汗に濡れた額や首筋に舌を這わせた時は、だが本当に塩味を感じた。そのまま這わせた舌が平らな、そして尖った胸先に触れると適度な硬さを感じ、堪らなくなりそのままさらに味わった。
自分にも付いているはずのそれには全く嫌悪感を覚えなかった。はっきりとした形が見えなかったからだろうか。
いや、違う。
多分はっきり見えていたらもっと堪らなくなったかもしれない。そのすこしぼやけた、だが硬く濡れた先にも舌を這わせると、ねっとりした感触さえ感じられた。
そして現実では到底あり得ないとしか思えないが、確かに利央はそこへ慣らすこともなく自分のモノをあてがい、ゆっくりと入れていった。
味わったことのある女性のそれとは違い、とてつもない狭さまでも感じた。そこはしっかりと利央を咥えこみ、きゅうきゅうと締めつけてきた。あまりにも堪らなく、外へ出すこともできずそのまま中に思いきり出した。絞り取られるようにその熱いものを吐き出し、明らかに男の体であるその相手の顔を堪能しようとした。
そこに想像どおり律の、けだるげに赤らめた顔を見た途端目が覚めた。
その夢をゆっくり考える暇もなく着替えを済ませた利央だったが、着替え終わると改めて顔をひきつらせた。
夢精したからではない。夢精自体もいい歳して何してんだ自分とは思ったが、夢の内容に比べると全然たいしたことじゃないように思える。自分は何て夢を見たんだと呆然とする。
ここのところ抜こうとする度に何故か兄貴の顔が過っていたからか?
それにしても男を、実の兄を利央は夢の中で抱いた。それも夢中になって抱いていた。堪らなく最高だと思っていた。
自分で自分がよく分からない。これは、どういうことなのか。
悶々と考えつつも、とりあえず濡れた下着をそのまま洗濯機に放り込むわけにもいかず洗っているところへ律がやってきた。居たたまれないにもほどがある。二重でつらい。
このまま二階へ逃げるように戻ろうかと思ったが、それはそれで二度と一階へ降りてこられない気分になりそうで利央は居間へ向かった。
「まだまだ暑いけどそろそろちょっとマシになってきたよね」
居間ではなく台所にいた律は、利央が居間に入ってきたのに気づいて声をかけてくる。
「うん」
内心まだ動揺し続けてはいるが、何でもないフリして利央は頷き畳の上に座った。そして甘い匂いに気付く。
何だろう懐かしい匂いだな。
すると律がニコニコ台所から居間へ入ってきた。
「休みだしたまには俺がね、作ろうかなって。昔よく食べたよね」
置いてきた皿の上には薄いホットケーキが乗っていた。既製品ではなく、小麦粉と卵、砂糖で作った律のお手製で、今日みたいな休日の朝、小さかった利央に時折作ってくれていた。
色んなものがのったパンケーキ、といった洒落たものでなく、素朴でそして薄いホットケーキには既にマーガリンと蜂蜜が塗られている。
メープルシロップどころかバターすらあまりよくわかっていなかった律が、当時は買っていなくて家にはなくて。安っぽい味かもしれないが、でも利央はこの律のホットケーキが大好きだった。
ああ、と利央は泣きそうな気持ちになりながら思った。
俺は、律が、好きだ。兄貴が大好きで大好きで。
いや。兄だから好きというよりも、律だから大好きだ。こうやってホットケーキを作ってくれる、兄……じゃなくて律が好きで堪らない。
堪らなく大好きで。だからきっと、あんな夢を見た。
兄とか男とかじゃなく、律が好きで堪らないのだと改めて利央は思った。
「久しぶりに作ったけど、どう?」
「……うまい。美味いよ凄く。……大好きだ、兄貴」
「そう、よかった」
利央の言葉に、律は屈託なく笑った。
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