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神話の時代の話

神話 4

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姉を思い、号泣し崩れながら責め続けるヤーシュレイに、

「いい加減にしなさい!ヤーシュレイ!」

アーシュリーは一喝した。

見たことの無い姉の烈火の如く怒った顔がそこにあった。

いつも姉は妹の前では優しく、そして笑っていた。

しかしヤーシュレイは知っていた。

自分が寝たと思ったのか、影で声を殺し泣く姉の姿を。

「ですがお姉様!こんなのはあんまりです!」

涙でグシャグシャになった顔を上げ、アーシュリーに言葉を投げ掛ける。

すると、アーシュリーはヤーシュレイの前で膝を折り両腕でソッと、そして愛情を込めて抱き締めた。

「ゴメンね、ヤーシュレイ。でもね、誰かがやらないと私達だけではない。」

両手をヤーシュレイの両肩に添え、優しい眼差しで妹瞳を観て言葉を続ける。

「……世界が滅ぶのよ。その時が来れば、早かれ遅かれ、私達も自由意思の無いアンデッドにされてしまう……」

「……お姉様ぁ」

「だからね。私が必ず、人間の……いいえ、世界の明日を繋ぐわ。必ず勝つ。仮に私が神様になっても、貴女を見守るわ。」

そう言いながら、アーシュリーは自分の着けていたペンダントをヤーシュレイの首に着けてあげた。

「ヤーシュレイ、私が居なくなっても、必ず世界を建て治しなさい。それが私の願いであり、我が儘よ?」

そう言うと、アーシュリーの柔らかな笑みを浮かべた。
たが、片目からツゥっと涙が流れ落ちる。

その光景を見守っていた神官や戦士達は、ある者は目頭を抑えて声を殺し泣き、ある者はしかめた顔をし俯いて唇を噛みながら拳を強く握り締め震えている者、ある者はハラハラと涙を流し嗚咽する者がいた。

『何故、こんな子供達の未来を護る事が出来ないのだろう。』

『大人である我々が不甲斐ないばかりに、苦しい別れをさせてしまうなんて。』

個々の胸中に過るのは、己が無力さや憤りであったが、

「何を情けない顔つきをしてるんです!」

涙を拭きながらアーシュリーはすくっと立ち上がり、大人達の1人1人の顔を見回した。

「これからです。これから反撃し、必ず勝利に導くのです!」

そして、神官に向き直り

「お待たせ致しました。…………では、謹んで聖勇者の大任、引き受けます。」

アーシュリーは、そう述べると主神の神像の前に跪き頭を垂れた。

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