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一時の平和な日常

ヤーシュレイ2

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アーシュリーの質問の言葉にヤーシュレイは、せせら笑いを浮かべながら答える。

「簡単な事ですわ。姉様を微塵も残さない程に叩きのめす為……ですわ。」

ヤーシュレイが黒いドレスのスカートを両手でつまみ上げ淑女の礼をすると、彼女の背後から、身長が190は越えるだろう黒いコートに身を包んだ大男が現れた。

大男は背は高いものの、マッチョタイプの身体つきではなく、上半身は逆三角形で腰は細く、手足もスラッとした長さである。
切れ長の眼で、シンを無言でジッと、自然体の体制でヤーシュレイの前へと歩み出る。

シンは、その自然体から僅かな『闘気』を感じ取り、臨戦態勢になる。

大男は口元に薄ら笑いを浮かべた次の瞬間、シンの眼前から消えた。

と、思った時には、シンは左へと吹飛んだ。
遅れて右頬に衝撃と痛みが襲い来る。

「ガハッ!!!?」

一体何が起こったのか?
シンは空中に飛ばされながら思考を巡らす。

だが、相手は待った無しに連撃を加えて来た。

空中に投げ飛ばされているというのに、奴はシンと並んで跳んでいた。
更にシンの腹部に下から膝で蹴り上げる。
が、無意識的に辛うじて両腕でこれを防御。
だが、奴は甘くは無かった。
ほぼ同時に・・・・・背中に肘で叩きつけてきたのだ。

これには、流石のシンも防ぐ事は出来ず、モロにその洗礼を受け、身体を地面に叩きつけられた。

「ぐはぁっ!!」

口から吐血するシン。
内臓が数ヶ所、損傷したと激痛が訴える。

地面に叩きつけられ、ピクリとも動けないシンは、意識も次第に薄れていった。

薄れゆく意識の中で

「……負け……た……のか?」

と思い、シンはブラックアウトした。

そのシンを口元は嗤いながらも蔑む視線で見下ろし

「…………弱い」

と大男は吐き捨て、シンの頭を右手てムンズと捕まえ、引き摺りながらヤーシュレイの元へと戻って行く。

流石の戦闘音に、サラもアーノルドンも起き、見知らぬ漆黒ドレスを纏う女性と、ボロ巾の様に変貌したシンを引き摺って、やって来た大男に構えを取る。

大男はシンをサラの足元辺りに無造作に投げ捨てた。
サラは慌てて構えを解き、シンを介抱する。
その二人を庇う様にアーノルドンとアーシュリーが立ちはだかる様に立って、大男の出方を待った。

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