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一時の平和な日常

まずは、腹ごしらえしよう。

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「……はい?」

シンは訳も解らないと言わんばかりに聞き返した。

「だ~か~ら~ぁ、腹が減ったし、死ぬ程に暇だと言ってる。この世に舞い戻って平和になって、暇なんだ~~っ!」

駄々っ子の様に喚きながら、シンに訴えかけるアーシュリーの姿は闘神とは思えない幼女そのものだ。

仕方がないと思いつつ、本や書類を片付けてから席を立ち、シンは

「……ん。」

と言って片手をアーシュリーに差し出した。

「……何だ?その手は?」

いぶかしむ様な表情をしながら、シンの差し出した手をジッ見るアーシュリー。

「……迷子になるぞ。」

スッパーーーン!

アーシュリーは、何処から取り出したのか、ハリセンでシンの頭頂部をおもいっきり叩いた。

「……やっぱり、踏んではならない魔犬の尻尾だったわね。」

サラがボソリと呟くと、アーシュリーの目がギラリと向いた。

「だ・れ・が~犬っコロだって~!?」

しかしサラは涼しげな表情で、

「いえいえ、空耳ですよ。ご先祖様。」

と、ニッコリ笑って答えた。

「まぁ良い。取り敢えず、汝等が前に食べに行った、あの店に行ってみたい。エスコートを頼む。」




カフェ・ブラウニーに到着した三人は、店主のボビーと、その妻ヘレンにもてなしを受けた。
娘のシェレンは、初等学校に今は通ってて、店には居なかった。

「っと旦那、いらっしゃーい!……ん?今日は家族連れかい?」

ボビーの目には、

①旦那=シン

②奥方=サラ

③娘 =アーシュリー

と、映っていた。

「……いやいや、俺もサラも未婚だしっ!」

シンの激しい反論に

「おっ……おうっ!」

と、ボビーは気圧されて頷くしかなかった。

サラは顔を赤くして俯き、アーシュリーも顔が赤いが、サラとは別な意味合いで赤いのだろう。
ボビーに対し、

「がるるる!」

と威嚇的な言葉が漏れていた。

「あなた、姫様やシン様達に悪いわよ。」

ヘレンに言われて、ボビーは我に返り、シン達に謝りながら頭を下げた。

「それじゃあ店主、本日のオススメを頼むよ。」

「まいど!受けたまわりました!」

暫くして、ライスにハンバーグ、コーンスープにサラダと紅茶のアールグレイが順番に運ばれて来た。

それを目をキラキラさせて、アーシュリーは見ている。
全てがそろい、神への謝辞を述べてから食べ始めた。

余談ではあるが、神への謝辞を述べる時、アーシュリーが『えっへん』ポーズを少し決めていた。

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