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ハンサーラ公国と亡国の思惑

公国side フォルクハルト・フォン・シュナイダー侯爵

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その頃、聖防御壁の封印門を守護する貴族がいた。

その名も、フォルクハルト・フォン・シュナイダー侯爵。

別名を白銀の巨狼フェンリルと言う異名を持つ若き名将だ。

その名将は、この地ラーゼの町にて、辺境伯と変わらない生活を余儀無く、強いられていた。

何故ならば、何者かの手により封印門がこじ開けられ、アンデッドが押し寄せてしまったのだ。

その対応の為、フォルクハルトはラーゼに本陣を構え、封印の為の戦いをせざるを得なかったのである。

その間に、帝国・王国連合軍による、公国軍の大敗。

帝国軍には、フォルクハルトのライバルとも言える、異名『オルトロス』の名で知られる猛将がいた。

ジュラルド・レスカー公爵である。

フォルクハルトは歯痒い思いをしていた。

その戦場いくさばに出陣していれば、かの首を討ち取る事が出来た、と。

しかし過ぎた事は過ぎた事。
フォルクハルトには、成さねば成らない・・・・・・・・目標がある。

その為には、今は堪え忍ぶ時と、自身を落ち着かせる様に念じていた。

と、同時に
この封印門を破った者は、帝国か王国の工作員がやったのではないか、と思慮したが、これが部下オスカーの報告で、見事に裏切られ粉砕される事になる。

「侯爵閣下。敗れた我が軍の大半は……」

公国軍の編成内容を聞いて、フォルクハルトは驚愕したのと同時に戦慄を覚えた。

「な、なんだ……と?まさか!我が軍の大半がライトゾンビで編成されてたとは!」

つまり、この門を破ったのは、帝国や王国ではなく、

「……まさか、我が国が、この門を……」

フォルクハルトは、疲れたかの様に、その場にある椅子に座った。

公国内部では、珍しい人道主義の人格者としても有名なフォルクハルトである。
戦奴隷も奴隷から解放し、きちんと兵士として、分け隔て無く接する人間性が彼には備わっていた。

そんな彼が、この話を聞いて驚かないのが土台無理な話であった。

何せ、奴隷制度廃止や亜人差別撤廃に対し、積極的な侯爵である。

国主たる大公にも、幾度も上奏し疎まれてはいたが、まさかこう言う形で、国の在り方を大公が提示するとは思わなかったのである。

「……愚かな。国も魂も亡国に売り渡したのか。」

その呟きにオスカーの表示が曇る。
上司の心痛を察した為であった。

「オスカー。大至急、封印門の修理を全力で行えと伝えよ!その後、速やかに首都に帰投する。急げ!」

「ハッ!」

オスカーは命令を受けると、伝達の為にその場を後にした。

後に残ったフォルクハルトは、拳を強く握り締め、何かを決意する様な、鋭く力強い眼で宙を睨んだ。

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