47 / 111
暗雲たちこめる王国と公国
一方、リーチェは。
しおりを挟む
「うーん。やはり、おかしいッスね。」
小声で、リーチェは呟いた。
亡国の完全なる属国ならば、生者は居ない筈である。
なのに、生者ばかりで死者は見かけない。
先の陽動に利用した、公国軍は死者で編成されていた。
一体、どこであの編成を実行したのかが掴めないのだ。
考えられるのは、
①公国が事実を隠蔽している。
②亡国が公国を語り、侵攻しようとしている。
③既に公国は、亡国に乗っ取りをされた後。
現時点では、これくらいしか思いつかない。
シンさまなら、どう考え、どう予測するのだろう。
と、リーチェは、ふとシンの事を思いながら帰路に着こうとした、その時。
「ん?アレは?」
リーチェは素早く音をたてずに身を隠して、気になった方向へと眼を細め向ける。
リーチェが見た方向には、フードを深々と被った、男とも女とも判別出来ない戻ったが、建物の壁に触れると、隠し扉だったのか、レンガの壁がズレて入り口が現れ、そして、その中に入って行った。
その後、入り口は閉まり、元の壁になった。
「……この建物は。」
国立独立記念館。
つまり、王国から独立した事を、展示品等を通してアピールする施設。
しかし、どうしてこんな所の路地裏に隠し扉があるのだろうか。
好奇心が勝ったリーチェは、隠し扉の前に行き、仕掛けを理解した上で、侵入を開始した。
内部は、壁にランタンが掛かっており、若干薄暗い状態であった。
入って間も無く、地下へと下る階段があり、リーチェは忍び足で用心しながら、降りて行く。
約1階分だろうか。
降りた先は、横が約2人分ぐらいの、前の見通しが悪い、石畳の廊下に出た。
廊下には、所々に木箱が置いてあり、陰に隠れる事は出来そうだ。
箱の内部を確認したが、空箱で何も入って無かった。
そんな時、廊下の奥から話し声が近づいて来るのを察知したリーチェは、そのまま箱の中へと身を潜め息を殺した。
「…………にしても、あと何人実験にするつもりなんだ?アイツは。」
「さぁな。直接、訊けば良いだろう?俺達は俺達の仕事をするだけだろ?」
「……違いない。だが、あんまり良い気分な仕事で無いな。」
「同感だ。亜人を実験に使うのは良いが、人間までやるとはな。」
話声からするに2人。
近づいた声は、段々と遠くなり、リーチェが来た階段を昇る足音が聞こえた。
『……実験? 一体何の? 人体実験をこんな場所で行うくらいだから、きっとロクでも無い事ッスね。』
リーチェは、箱の蓋を薄く、そっと開け、周囲を確認した後に外へ出て、更に奥へ奥へと侵入した。
小声で、リーチェは呟いた。
亡国の完全なる属国ならば、生者は居ない筈である。
なのに、生者ばかりで死者は見かけない。
先の陽動に利用した、公国軍は死者で編成されていた。
一体、どこであの編成を実行したのかが掴めないのだ。
考えられるのは、
①公国が事実を隠蔽している。
②亡国が公国を語り、侵攻しようとしている。
③既に公国は、亡国に乗っ取りをされた後。
現時点では、これくらいしか思いつかない。
シンさまなら、どう考え、どう予測するのだろう。
と、リーチェは、ふとシンの事を思いながら帰路に着こうとした、その時。
「ん?アレは?」
リーチェは素早く音をたてずに身を隠して、気になった方向へと眼を細め向ける。
リーチェが見た方向には、フードを深々と被った、男とも女とも判別出来ない戻ったが、建物の壁に触れると、隠し扉だったのか、レンガの壁がズレて入り口が現れ、そして、その中に入って行った。
その後、入り口は閉まり、元の壁になった。
「……この建物は。」
国立独立記念館。
つまり、王国から独立した事を、展示品等を通してアピールする施設。
しかし、どうしてこんな所の路地裏に隠し扉があるのだろうか。
好奇心が勝ったリーチェは、隠し扉の前に行き、仕掛けを理解した上で、侵入を開始した。
内部は、壁にランタンが掛かっており、若干薄暗い状態であった。
入って間も無く、地下へと下る階段があり、リーチェは忍び足で用心しながら、降りて行く。
約1階分だろうか。
降りた先は、横が約2人分ぐらいの、前の見通しが悪い、石畳の廊下に出た。
廊下には、所々に木箱が置いてあり、陰に隠れる事は出来そうだ。
箱の内部を確認したが、空箱で何も入って無かった。
そんな時、廊下の奥から話し声が近づいて来るのを察知したリーチェは、そのまま箱の中へと身を潜め息を殺した。
「…………にしても、あと何人実験にするつもりなんだ?アイツは。」
「さぁな。直接、訊けば良いだろう?俺達は俺達の仕事をするだけだろ?」
「……違いない。だが、あんまり良い気分な仕事で無いな。」
「同感だ。亜人を実験に使うのは良いが、人間までやるとはな。」
話声からするに2人。
近づいた声は、段々と遠くなり、リーチェが来た階段を昇る足音が聞こえた。
『……実験? 一体何の? 人体実験をこんな場所で行うくらいだから、きっとロクでも無い事ッスね。』
リーチェは、箱の蓋を薄く、そっと開け、周囲を確認した後に外へ出て、更に奥へ奥へと侵入した。
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説

俺の娘、チョロインじゃん!
ちゃんこ
ファンタジー
俺、そこそこイケてる男爵(32) 可愛い俺の娘はヒロイン……あれ?
乙女ゲーム? 悪役令嬢? ざまぁ? 何、この情報……?
男爵令嬢が王太子と婚約なんて、あり得なくね?
アホな俺の娘が高位貴族令息たちと仲良しこよしなんて、あり得なくね?
ざまぁされること必至じゃね?
でも、学園入学は来年だ。まだ間に合う。そうだ、隣国に移住しよう……問題ないな、うん!
「おのれぇぇ! 公爵令嬢たる我が娘を断罪するとは! 許さぬぞーっ!」
余裕ぶっこいてたら、おヒゲが素敵な公爵(41)が突進してきた!
え? え? 公爵もゲーム情報キャッチしたの? ぎゃぁぁぁ!
【ヒロインの父親】vs.【悪役令嬢の父親】の戦いが始まる?
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

【完結】魔術師なのはヒミツで薬師になりました
すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
ティモシーは、魔術師の少年だった。人には知られてはいけないヒミツを隠し、薬師(くすし)の国と名高いエクランド国で薬師になる試験を受けるも、それは年に一度の王宮専属薬師になる試験だった。本当は普通の試験でよかったのだが、見事に合格を果たす。見た目が美少女のティモシーは、トラブルに合うもまだ平穏な方だった。魔術師の組織の影がちらつき、彼は次第に大きな運命に飲み込まれていく……。
【なろう440万pv!】船が沈没して大海原に取り残されたオッサンと女子高生の漂流サバイバル&スローライフ
海凪ととかる
SF
離島に向かうフェリーでたまたま一緒になった一人旅のオッサン、岳人《がくと》と帰省途中の女子高生、美岬《みさき》。 二人は船を降りればそれっきりになるはずだった。しかし、運命はそれを許さなかった。
衝突事故により沈没するフェリー。乗員乗客が救命ボートで船から逃げ出す中、衝突の衝撃で海に転落した美岬と、そんな美岬を助けようと海に飛び込んでいた岳人は救命ボートに気づいてもらえず、サメの徘徊する大海原に取り残されてしまう。
絶体絶命のピンチ! しかし岳人はアウトドア業界ではサバイバルマスターの通り名で有名なサバイバルの専門家だった。
ありあわせの材料で筏を作り、漂流物で筏を補強し、雨水を集め、太陽熱で真水を蒸留し、プランクトンでビタミンを補給し、捕まえた魚を保存食に加工し……なんとか生き延びようと創意工夫する岳人と美岬。
大海原の筏というある意味密室空間で共に過ごし、語り合い、力を合わせて極限状態に立ち向かううちに二人の間に特別な感情が芽生え始め……。
はたして二人は絶体絶命のピンチを生き延びて社会復帰することができるのか?
小説家になろうSF(パニック)部門にて400万pv達成、日間/週間/月間1位、四半期2位、年間/累計3位の実績あり。
カクヨムのSF部門においても高評価いただき80万pv達成、最高週間2位、月間3位の実績あり。
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
婚約破棄されて満足したので聖女辞めますね、神様【完結、以降おまけの日常編】
佐原香奈
恋愛
聖女は生まれる前から強い加護を持つ存在。
人々に加護を分け与え、神に祈りを捧げる忙しい日々を送っていた。
名ばかりの婚約者に毎朝祈りを捧げるのも仕事の一つだったが、いつものように訪れると婚約破棄を言い渡された。
婚約破棄をされて喜んだ聖女は、これ以上の加護を望むのは強欲だと聖女引退を決意する。
それから神の寵愛を無視し続ける聖女と、愛し子に無視される神に泣きつかれた神官長。
婚約破棄を言い出した婚約者はもちろんざまぁ。
だけどどうにかなっちゃうかも!?
誰もかれもがどうにもならない恋愛ストーリー。
作者は神官長推しだけど、お馬鹿な王子も嫌いではない。
王子が頑張れるのか頑張れないのか全ては未定。
勢いで描いたショートストーリー。
サイドストーリーで熱が入って、何故かドタバタ本格展開に!
以降は甘々おまけストーリーの予定だけど、どうなるかは未定

社畜から卒業したんだから異世界を自由に謳歌します
湯崎noa
ファンタジー
ブラック企業に入社して10年が経つ〈宮島〉は、当たり前の様な連続徹夜に心身ともに疲労していた。
そんな時に中高の同級生と再開し、その同級生への相談を行ったところ会社を辞める決意をした。
しかし!! その日の帰り道に全身の力が抜け、線路に倒れ込んでしまった。
そのまま呆気なく宮島の命は尽きてしまう。
この死亡は神様の手違いによるものだった!?
神様からの全力の謝罪を受けて、特殊スキル〈コピー〉を授かり第二の人生を送る事になる。
せっかくブラック企業を卒業して、異世界転生するのだから全力で謳歌してやろうじゃないか!!
※カクヨム、小説家になろう、ノベルバでも連載中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる