37 / 111
暗雲たちこめる王国と公国
出陣、そして………
しおりを挟む
翌日、ギルバルトを総大将とした王国軍、約15000が第一陣として出陣。
続いて、ジュラルド麾下の帝国軍、約50000とブレイブ近衛騎士団が第二陣として出陣。
その後ろ姿を、城の高所からシンとサイは見送りながら、
「……いよいよだな。」
「ここから、相手がどう出るか。……俺の予測が当たれば、必ず。」
2人は呟く様に会話をしていた。
……奴は、必ず観ている。
息を潜め、この時が来たと。
待ってろ。
必ず、サイ達王室と、この国を守ってみせる!
「……時に、シンよ。こんな時に何だが。」
「?」
「妹と結婚し、余の義弟になるつもりは無いか?」
「まさか!?……お戯れを。」
「……戯れ言では無い。アレはシンにぞっこんだ。今まで、どれだけ見合いや婚約を全部ひっくり返し、異性に見向きもしかなかったアレが、お前だけには、異性と意識しているみたいだ。………どうだ?」
まさか、ここに来て180度も違う話題にシンは奇襲を受けた気持ちになった。
「アレだけが不服ならば、リーチェも側室として許そう。リーチェも満更でなさそうでな、ふははは。」
「……サイ、不意打ちだな。その話題。」
「あぁ!不意打ちさ。今の気分も変えたかったしな。それに、……もし余が討たれる様な事があれば、この国を任す人間は居ない。余の子も、まだまだ幼い。余の子が継がずとも、お前が居れば、必ず国は……」
サイがそこまで言うと、シンは会話にストップをかけた。
「……サイ、いいか?万が一を考えるのは悪くない。だが、それは俺の敗北を意味している。俺は負けるつもりは無いし、お前を失う様な事は、有り得ない。」
「……不意打ちか?」
「……あぁ、お返しだ。」
「……余にその気は無いぞ?」
「……安心しろ、俺もその気は無いぞ?断じて。」
すると、どちらが先か後かも無く、互いに破顔し笑った。
「まぁ、結婚は暫く考えておくよ。そこまで俺を買ってくれたのは、初めてだ。」
「余も、これは冗談のつもりは無い。お前だからこそ、大切な妹を任せられる。この戦いの後まで考えてくれ。……王命なんぞ、不粋な真似はしたくないのでな。」
「…………………………脅迫か?」
「…………………………半分は。」
「…………………………本気か?」
「…………………………極めて。」
この王には、どうにも勝てない気がしてきたシンであった。
続いて、ジュラルド麾下の帝国軍、約50000とブレイブ近衛騎士団が第二陣として出陣。
その後ろ姿を、城の高所からシンとサイは見送りながら、
「……いよいよだな。」
「ここから、相手がどう出るか。……俺の予測が当たれば、必ず。」
2人は呟く様に会話をしていた。
……奴は、必ず観ている。
息を潜め、この時が来たと。
待ってろ。
必ず、サイ達王室と、この国を守ってみせる!
「……時に、シンよ。こんな時に何だが。」
「?」
「妹と結婚し、余の義弟になるつもりは無いか?」
「まさか!?……お戯れを。」
「……戯れ言では無い。アレはシンにぞっこんだ。今まで、どれだけ見合いや婚約を全部ひっくり返し、異性に見向きもしかなかったアレが、お前だけには、異性と意識しているみたいだ。………どうだ?」
まさか、ここに来て180度も違う話題にシンは奇襲を受けた気持ちになった。
「アレだけが不服ならば、リーチェも側室として許そう。リーチェも満更でなさそうでな、ふははは。」
「……サイ、不意打ちだな。その話題。」
「あぁ!不意打ちさ。今の気分も変えたかったしな。それに、……もし余が討たれる様な事があれば、この国を任す人間は居ない。余の子も、まだまだ幼い。余の子が継がずとも、お前が居れば、必ず国は……」
サイがそこまで言うと、シンは会話にストップをかけた。
「……サイ、いいか?万が一を考えるのは悪くない。だが、それは俺の敗北を意味している。俺は負けるつもりは無いし、お前を失う様な事は、有り得ない。」
「……不意打ちか?」
「……あぁ、お返しだ。」
「……余にその気は無いぞ?」
「……安心しろ、俺もその気は無いぞ?断じて。」
すると、どちらが先か後かも無く、互いに破顔し笑った。
「まぁ、結婚は暫く考えておくよ。そこまで俺を買ってくれたのは、初めてだ。」
「余も、これは冗談のつもりは無い。お前だからこそ、大切な妹を任せられる。この戦いの後まで考えてくれ。……王命なんぞ、不粋な真似はしたくないのでな。」
「…………………………脅迫か?」
「…………………………半分は。」
「…………………………本気か?」
「…………………………極めて。」
この王には、どうにも勝てない気がしてきたシンであった。
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説

セカンドライフは寮母さん 魔王を討伐した冒険者は魔法学園女子寮の管理人になりました
今卓&
ファンタジー
その日、魔法学園女子寮に新しい寮母さんが就任しました、彼女は二人の養女を連れており、学園講師と共に女子寮を訪れます、その日からかしましい新たな女子寮の日常が紡がれ始めました。

おばさん、異世界転生して無双する(꜆꜄꜆˙꒳˙)꜆꜄꜆オラオラオラオラ
Crosis
ファンタジー
新たな世界で新たな人生を_(:3 」∠)_
【残酷な描写タグ等は一応保険の為です】
後悔ばかりの人生だった高柳美里(40歳)は、ある日突然唯一の趣味と言って良いVRMMOのゲームデータを引き継いだ状態で異世界へと転移する。
目の前には心血とお金と時間を捧げて作り育てたCPUキャラクター達。
そして若返った自分の身体。
美男美女、様々な種族の|子供達《CPUキャラクター》とアイテムに天空城。
これでワクワクしない方が嘘である。
そして転移した世界が異世界であると気付いた高柳美里は今度こそ後悔しない人生を謳歌すると決意するのであった。

人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)
葵セナ
ファンタジー
主人公 39歳フリーターが、初めての旅行に行こうと家を出たら何故か森の中?
管理神(神様)のミスで、異世界転移し見知らぬ森の中に…
不思議と持っていた一枚の紙を読み、元の世界に帰る方法を探して、異世界での冒険の始まり。
曖昧で、都合の良い魔法とスキルでを使い、異世界での冒険旅行? いったいどうなる!
ありがちな異世界物語と思いますが、暖かい目で見てやってください。
初めての作品なので誤字 脱字などおかしな所が出て来るかと思いますが、御容赦ください。(気が付けば修正していきます。)
ステータスも何処かで見たことあるような、似たり寄ったりの表示になっているかと思いますがどうか御容赦ください。よろしくお願いします。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第三章フェレスト王国エルフ編

元チート大賢者の転生幼女物語
こずえ
ファンタジー
(※不定期更新なので、毎回忘れた頃に更新すると思います。)
とある孤児院で私は暮らしていた。
ある日、いつものように孤児院の畑に水を撒き、孤児院の中で掃除をしていた。
そして、そんないつも通りの日々を過ごすはずだった私は目が覚めると前世の記憶を思い出していた。
「あれ?私って…」
そんな前世で最強だった小さな少女の気ままな冒険のお話である。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

竜皇女と呼ばれた娘
Aoi
ファンタジー
この世に生を授かり間もなくして捨てられしまった赤子は洞窟を棲み処にしていた竜イグニスに拾われヴァイオレットと名づけられ育てられた
ヴァイオレットはイグニスともう一頭の竜バシリッサの元でスクスクと育ち十六の歳になる
その歳まで人間と交流する機会がなかったヴァイオレットは友達を作る為に学校に通うことを望んだ
国で一番のグレディス魔法学校の入学試験を受け無事入学を果たし念願の友達も作れて順風満帆な生活を送っていたが、ある日衝撃の事実を告げられ……

ブラック・スワン ~『無能』な兄は、優美な黒鳥の皮を被る~
碧
ファンタジー
「詰んだ…」遠い眼をして呟いた4歳の夏、カイザーはここが乙女ゲーム『亡国のレガリアと王国の秘宝』の世界だと思い出す。ゲームの俺様攻略対象者と我儘悪役令嬢の兄として転生した『無能』なモブが、ブラコン&シスコンへと華麗なるジョブチェンジを遂げモブの壁を愛と努力でぶち破る!これは優雅な白鳥ならぬ黒鳥の皮を被った彼が、無自覚に周りを誑しこんだりしながら奮闘しつつ総愛され(慕われ)する物語。生まれ持った美貌と頭脳・身体能力に努力を重ね、財力・身分と全てを活かし悪役令嬢ルート阻止に励むカイザーだがある日謎の能力が覚醒して…?!更にはそのミステリアス超絶美形っぷりから隠しキャラ扱いされたり、様々な勘違いにも拍車がかかり…。鉄壁の微笑みの裏で心の中の独り言と突っ込みが炸裂する彼の日常。(一話は短め設定です)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる