変身HERO異世界へ征く!

アーナタト・ショーモネッガー

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暗雲たちこめる王国と公国

ヴィルドーア帝国軍

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サイの身辺警護を厳重にしてから、更に一週間が経った。

公国軍は不気味な静寂と共に、野営地より微動だにしてない。

そんな中、帝国軍の援軍が駆け付けた。

帝国軍、総指揮官ジュラルド大将。

ジュラルド将軍は、サイへの謁見の後、シンは挨拶をする。

「遠方からの援軍、真に有難う御座います。名前はシン・フジクラと申します。以後、お見知り置きを。ジュラルド閣下。」

そう言って一礼をすると、精悍な顔立ちと、威風堂々たる佇まいをするジュラルドは、

「こちらこそ。近郊に駐留軍として邪魔をします。」

将軍とは言え、礼儀正しく、シンに微笑みながら返礼した。

武人としてだけでは無く、人格者としてのジュラルドの在り方を、この挨拶だけで、シンは悟った。

その後に、ゴンザレス、ブレイブ、ギルバルト、ヤースキー達が、ジュラルドに挨拶を交わした。

各、重鎮と、帝国援軍が揃い、テーブルにつき、議題に入る。

「…………………………であります。」

シンは、公国軍がライトゾンビで編成され、尚且つ、異常な位に、その場に駐留し動く気配すら微塵にも見せない事を報告した。

サイはライトゾンビの情報以外は把握してたが、ライトゾンビらしき軍勢と聴いて、他の会議参加者同様、驚きを隠せなかった。

それもその筈。

アンデッドが出現したとなれば、北の軍勢。

死者の国。『亡国』が永き沈黙を破り、更に北の防壁を乗り越えて南下して来た事を意味していた。

「つまり公国は、何らかによる形で、亡国に干渉したか、されたか何だろう。」

ギルバルトは重い表情で言葉を吐く。

「しかし、ここで『死皇帝』の軍勢が関わるとは思いもよらず、ですな。しかし心配無用。我等、帝国が救援しに来たのです。公国であろうが、亡国であろうが、盟友を見捨てる事はありません。我が龍帝陛下の名に懸けて、お守りします。」

ジュラルドは動揺せずに、落ち着きを払った様子で、一同に話をする。
流石は音に聴こえし、『黒獅子将軍』である。
昔に公国との戦いにおいて、単騎駆けで、公国の将を数人、立て続けに討ち取り、龍帝に

「こやつの身体は『肝』で出来ておる」

と称賛されたのは、王国内でも有名な話であった。

「時に御一同。俺に策があるのだが、一つ、聴いて貰えないでしょうか?」

シンは意を決し、この策に賭ける事にした。
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