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暗雲たちこめる王国と公国
対策室。
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制度政策の発足の間、シンは城に仕事の為の一室を与えられた。
『対策長室』
とドアプレートには、こう掛かれている。
立場的には、王の第二のブレーンとして、かつ外国に対して調査や独自の交渉も含まれていた。
本来ならば、王族たるサラが就任すべきなのだが、サラは辞退。その代わりにシンを推薦し、周囲の重鎮達の後押しもあり、初代室長として就任となる。
サラは、シンの補佐官として。
リーチェは対策室専属メイドとして就任した。
静かにシンが報告書を読んでいると、ノックが聞こえた。
「……ロベルタです。」
「どうぞ。」
「失礼します。」
入って来たのは、栗毛のショートヘアの女性だった。
ロベルタは、元近衛騎士団団員で、ネーネリア王妃護衛の1人だった。
観察力が鋭く、ネーネリア推薦で、対策室の役員となる。
現時点での対策室は、他にも6人、合計10人で成り立っている。
少人数なのは、立ち上げたばかりなのと、国のデリケートな部分を担う仕事な為、適切な人材が見つかり難いという事からである。
「ロベルタ、ご苦労。書類はサラ副室長に渡してくれ。」
シンはそう言うと、ロベルタに室内にあるソファーに着席する様に促した。
ロベルタが着席すると、リーチェが紅茶、アールグレイを用意、ティーカップに注いでくれた。
「早速ですまない。公国の動きで判った事あるか?」
「はい。公国は大規模な軍を動かす準備に入った様です。」
「これが、その資料ですね?」
サラから資料を受けとると、シンは「フム。」と言って目を通す。
「…………………なるほど確かに。さて、この軍はどこへ向かうのか。こっちに来たら、籠城しながら、帝国の救援を待つしかないな。北方は殆んど行く旨みが無い。後は南方か。この書類からすれば、来る可能性は………………」
「……我が国ですね。室長。」
サラの言葉に深くシンは頷いた。
「さて、例の件。仕掛けて来るのは、前か中頃か、はたまた攻めた後か。兎に角ロベルタ、本当にご苦労。何も無いが、紅茶を飲んで、ゆっくりしてってくれ。」
「はい。有難う御座います。室長。」
「リーチェ、ジュリアス近衛副団長に手紙を出す。頼まれてくれるか?」
「わかったッス。言伝は何かあるッスか?」
「至急、戦支度をと、陛下に伝えるように。と。俺は単身偵察に今から出掛ける。なので、会議あっても不参加。代理人として、副室長が参加すると。」
「了解ッス」
「さて、これから忙しくなるな。ここまでが、グレイとの知恵くらべだったが、この先は見える戦いになるな。サラ、すまないが、これから公国の軍勢に対し単独で斥候する。なので、暫く席は空くけど、留守を頼む。」
「わかりました。お気をつけて。」
シンは部屋を出て、目的地へ向かうべく、準備をしに自室へと向かった。
『対策長室』
とドアプレートには、こう掛かれている。
立場的には、王の第二のブレーンとして、かつ外国に対して調査や独自の交渉も含まれていた。
本来ならば、王族たるサラが就任すべきなのだが、サラは辞退。その代わりにシンを推薦し、周囲の重鎮達の後押しもあり、初代室長として就任となる。
サラは、シンの補佐官として。
リーチェは対策室専属メイドとして就任した。
静かにシンが報告書を読んでいると、ノックが聞こえた。
「……ロベルタです。」
「どうぞ。」
「失礼します。」
入って来たのは、栗毛のショートヘアの女性だった。
ロベルタは、元近衛騎士団団員で、ネーネリア王妃護衛の1人だった。
観察力が鋭く、ネーネリア推薦で、対策室の役員となる。
現時点での対策室は、他にも6人、合計10人で成り立っている。
少人数なのは、立ち上げたばかりなのと、国のデリケートな部分を担う仕事な為、適切な人材が見つかり難いという事からである。
「ロベルタ、ご苦労。書類はサラ副室長に渡してくれ。」
シンはそう言うと、ロベルタに室内にあるソファーに着席する様に促した。
ロベルタが着席すると、リーチェが紅茶、アールグレイを用意、ティーカップに注いでくれた。
「早速ですまない。公国の動きで判った事あるか?」
「はい。公国は大規模な軍を動かす準備に入った様です。」
「これが、その資料ですね?」
サラから資料を受けとると、シンは「フム。」と言って目を通す。
「…………………なるほど確かに。さて、この軍はどこへ向かうのか。こっちに来たら、籠城しながら、帝国の救援を待つしかないな。北方は殆んど行く旨みが無い。後は南方か。この書類からすれば、来る可能性は………………」
「……我が国ですね。室長。」
サラの言葉に深くシンは頷いた。
「さて、例の件。仕掛けて来るのは、前か中頃か、はたまた攻めた後か。兎に角ロベルタ、本当にご苦労。何も無いが、紅茶を飲んで、ゆっくりしてってくれ。」
「はい。有難う御座います。室長。」
「リーチェ、ジュリアス近衛副団長に手紙を出す。頼まれてくれるか?」
「わかったッス。言伝は何かあるッスか?」
「至急、戦支度をと、陛下に伝えるように。と。俺は単身偵察に今から出掛ける。なので、会議あっても不参加。代理人として、副室長が参加すると。」
「了解ッス」
「さて、これから忙しくなるな。ここまでが、グレイとの知恵くらべだったが、この先は見える戦いになるな。サラ、すまないが、これから公国の軍勢に対し単独で斥候する。なので、暫く席は空くけど、留守を頼む。」
「わかりました。お気をつけて。」
シンは部屋を出て、目的地へ向かうべく、準備をしに自室へと向かった。
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