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暗雲たちこめる王国と公国

策略の予測。

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会議が終了し、主要な人間以外は席を外した。
サイはシンの方に顔を向け発言する。

「さて、シン。ここに居る者は、城の重要な事を良く知る者達であり、今、ここでシンが敢えて話さなかった事を話してもかまわないぞ?」

「陛下。申し訳ありませんが、公でも構わないと、あの時に言われましたが、この場においては、言葉を固くする事を、お許し下さい。」

シンは一礼をもってサイに断りを入れる。サイも「許す」と言って許した。

ここに残っている者は、

サイクォーダー陛下。

サラ・アーシュリー・ヴェルナント姫。

ゴンザレス宰相。

ブレイブ近衛騎士団長。

ギルバルト将軍。

ヤースキー将軍。

リーチェ・シルフェン嬢。

そして、

シン・フジクラ。

の8名。

サイの言葉に、シンは頷き、敢えて言わなかった話を始める。

「それでは陛下。他の皆様の手前、敢えて言わなかったのですが。さて、先程述べた話の中で伏せていたのは、これから起こり得る、陛下の暗殺方法です。」

「どんな方法で来るのか、判るのか?」

ギルバルト将軍は、シンに尋ね、シンは答える。

「大体、ある程度は。あくまでも、予測範囲内ですが。」

一呼吸置き、シンは更に話を続ける。

「さっき、相手の手段は限られてると言いましたが、それは『直接な方法』で来るだろうって事です。」

「直接?」

そう言ってサラは首をかしげる。シンは、頷きながら言葉を返し、更にどんな方法で来るのかを手段の可能性から列挙する。

「直接。やり方は幾つか挙げる事が出来ます。」

1、グレイが変装して侵入してくる。

2、部下や人材を雇い、暗殺者として送り込む。

3、城の関係者の家族等を人質にして、暗殺者として実行させる。

4、城下町で騒ぎを起こし、警備が手薄になった所に侵入してくる。

その上で、

1、毒物等で殺害してくる。

2、ダガー等で直接殺りにくる。
3、陽動を仕掛けた上で、別動隊で城に攻めてくる。


「……な位でしょうか。ん?皆さん、いかがなされましたか?」

一同(女性陣以外)は、ポカンとした表情で、シンを見ていた。

「……????。皆さん?何か?」

シンは質問を、もう一度投げ掛けた。

「……い、いや、シンは意外と……ゴホン!な、何でもないぞ?本当だぞ?余が言うのだから、間違いないぞ?」

サイが皆を代表して、少し引きつった顔をしながら言った。他の男性陣は、その言葉に激しく頭をブンブンと縦に大きく振った。

(男性陣の胸中の声)
『あ、危なかった……シンは脳筋と思っていたんだが、認識を改めてなければならないな……』

サイとサラが、ある時にシンの武勇伝を聴いて、サイもここにいる男達に「余が友と認めた男はな~」と、その武勇伝を語っていた為、この場の人達はシンを「単なるパワータイプな男」と、心の何処かでは思っていたのである。

「……と、言う訳で、取れる対策が見えてくるとは、思いますが、一つ質問が御座います。」

と、シンはサイに質問をする。

「許す、申せ。」

「はい。このヴェーラング城において、術に対する何かはあるのですか?」

「うむ。この城はな。聖法により護られておってな。他の術、特に魔法と術法においては、作動はしない。他の国々で居るはずの宮廷術法師が城に居ないのは、この為なのだ。」

サイの言葉にシンは得心した。
故に前国王陛下が城から、出さねばならなかった。

だが、王族全てを亡き者に出来ないと言う欠点があり、再びこの策略を用いて、上手く行けば現国王陛下を亡きものにした後、混乱に乗じて国を滅ぼし、策が失敗したら、王族もろとも、暗殺か何かで仕掛ける。

そして、まとめる王族無き混乱期に乗じて、王国を滅亡させ、土地を我が物とする算段なのだろう。

「やはり、次は直接的に仕掛けてきますね。」

シンの言葉で、周囲に緊張の空気が走る。

「面白い!ならば仕掛けさせようではないか?余の命を狙うは、決して安くは無い事を身をもって教えてやろう。」

フハハハハっ!
と豪快にサイは笑い飛ばした。

大丈夫だろうか?
この国王陛下は。

その後、それぞれの問題点を挙げ、検討、対策を練って、閉会をした。
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