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グラード王国王都ヴェーテル

HERO激昂す!

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サラが舌を噛み切り自害しようとした瞬間、

ターーーン

バシュッ!

サラを犯そうとしたオークの頭に風穴が開いて、仰け反り

ドスーン!!

と音と共に倒れた。

ブォン!ブォーーーッ!!

爆音が天に轟く。
オーク共は、女達への暴行を中断する。

ターーーン!!

次はリーチェを襲っていたオークの頭が弾けた。

「……ゲールランナー、マキシマムパワー!」

村の女性の近くのオーク一匹を猛スピードで弾き飛ばす。

キキィーッ!

ゲールランナーにブレーキをかけて停車させて、メタルバトラーは降り立った。
サラ、リーチェ、村人達の状態を確認すると、
メタルバトラーのバイザーに赤い目が『ギン!』と光を帯びた。

「……敵、残7か。」

先程、マグナムブラスターで撃ち抜いた二匹のオークの足元に、鎧と衣類が引き剥がされて倒れている、サラとリーチェの姿がモニターに映る。サラ達は、剣を持って立ち上がり、村人達の元へ走って来る。

村人達の方を確認すると、男達は動けず、うめき声を。女達も犯される一歩手前だった。

しかし、メタルバトラーは見てしまった。
ジュードが仰向けで、ピクリとも動かない状態で倒れている姿を。

慌てて駆け寄り、ジュードを抱き抱える。

(……診断。……ジュード死亡。)

無機質にバイザーに浮かぶ無慈悲な文字。
メタルバトラーの肩が、ブルブルと震える。

「………………か?」

メタルバトラーは、サラにジュードの亡骸を託すと、7匹のオークに振り返る。

「………のか?」

どす黒いオーラがメタルバトラーを包み込む。

「キ・サ・マらが殺したのかぁあぁあぁーーーっ!!」

メタルバトラーが絶叫を上げるとどす黒いオーラが赤々と炎の様に立ち登り天を衝いたき、地面はひび割れを起こした。
鎧の色も、ミッドナイトブルーから、禍々しいワインレッドに変色した。

メタルバトラーのモニターには、こう表示されていた。

『……危険:修羅暴走モード起動』

メタルバトラーが一歩踏み出す。

…………ズズーーン。

重い音と共に、地面がめり込む。

……ズズーーン。

二歩目、やはりめり込む。

……ズズン、ズズン、ズズン

歩速が早くなる。

「うがぁあぁあぁーっ!!」

メタルバトラーが獣の雄叫びと同時にオークに向かい走り出す。

オーク達も、この人間のオーラを感じ取ったのか、一瞬怯んだ。

そんなオークの眼前に瞬動で、パッと現れる。
その刹那、

グワシャーッ!

メタルバトラーの鋭い鬼の爪の様に尖った指先がオークの頭蓋を突き刺しながら、握り潰し引き抜いた。

「ウガァアァアァーッ!」

吹き出す血飛沫のシャワーを全身に浴び、咆哮するメタルバトラー。

その様子をリーチェが震える声で、

「あ、あ、アレは、本当にシンさまッスか?」

「………間違い無くシンよ。…………彼は今、怒りだけでなく……泣いているわ。」

身体も刺々しく変わった、メタルバトラーは、天に向かい慟哭の声を上げ続けた。
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