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グラード王国王都ヴェーテル

斬り込みの狂戦士

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シン達は、一旦家の中に入ると、村長に軽い挨拶をし、次の戦闘を準備した。
この時にシンは2人に指示を出した。

「斬り込みは俺1人でやる。サラ達は此処に残り、村人達を守ってくれ。」

「無茶よ!」
「無理ッス!」

「解ってくれ、あの姿を村人には見せられない。せっかく、冒険者に扮したのに意味が無くなる。」

すると、不承不承ではあるが了承してもらった。

「村長。俺が斬り込みする。奴等は絶対に俺に戦力を集中させる筈だ。サラの指揮で、まずは体制を立て直しするんだ。リーチェはその補佐を。更に奴等は、この家から離れる。そうしたら、王都の方へ避難するんだ。わかったな?」

すると、サラを始めとする人々が頷いた。
それを見届けると、シンは扉に向かい歩き出す。

「……シン」

サラの不安そうな声が背中から聴こえる。

「……大丈夫だ。サラ、きっと巧く行く。…今度、あのカフェに、また一緒に行こうな?約束だぜ?」

言い終えると扉を開け、シンはバスタードソードを抜きながら出て行った。


「やぁやぁ!ゴブリン共!ってか言葉通じないか?ここからは、俺がお前達に戦い方を教えてやるぜ?授業料は……」

シンは斬り走りながらゴブリン達の真っ只中に飛び込む。

「……お前らの命だ!」

そこから激しい攻防が始まった。

槍を繰り出すゴブリン。
斧や剣で襲い来るゴブリン。
ショートボウて射かけて来るゴブリン。

ゴブリン、ゴブリン、ゴブリン。

槍や矢を払い、剣・斧ををバスタードソードで払い、拳や蹴りの体術を駆使し、ゴブリンの体勢を崩し、斬撃を喰らわす。

村人達から見ても、最早戦士の戦い方では無い。
村人の誰かが呟いた。

「…………野獣だ。いや、狂戦士ベルセルクだ。」

シンは疲れを知らないのか、益々動きにキレが出てくる。

相手の槍を引き抜き、別のゴブリンに突き刺したり、盾を奪っては攻撃を防いだり、ゴブリンの顔面に叩き付けたりと、数で圧倒するゴブリン達を逆に圧倒し始めた。

家を囲んでるゴブリン達にも動揺が走り始め、持場を離れて、シンを倒すべく動き始めた。

「冒険者って皆、あんなに強いのか?」

すると、リーチェがツッコミを入れる。

「いやいや、シンさまが異常に強いだけッスから。」

そこにサラと村長から指示が入る。

「急いで体制を整え警戒して!」


その様子を横目でチラリと確認しつつ、シンは少しずつ家から遠ざかり戦い続けた。

「脆い。脆すぎる。彼の戦闘員ですら、もっと粘るぞ?」

シンはゴブリン達をあしらいながら森の方角へと、場所をずらしだす。
この時には、家を囲んでいる大量のゴブリンは、シンに狙いを絞り、執拗に追い掛け始めていた。

「追撃も、まだまだだな?おい!」

シンはバスタードソードを操り、一匹、また一匹と狩人の如く仕留める。


「今よ。皆、王都へ向かうわよ!」

サラの号令で、一斉にかつ静かに家を出て、村人達は王都への移動を開始した。

「兄ちゃん、大丈夫かなぁ」

半泣きな表情でジュードはリーチェに問いかける。

「大丈夫ッスよ。シンさまはFランでも、英雄並みに強い、最低最強ッスから。」


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