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本編
第25章『裏切り者』
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「やっと着いたぜ魔王城…。」
あの一件から二日程経って、ようやく着いた魔王城である。
あたりは戦争もいざ知らずの静けさに包まれている。
「静かだな…。バカ共はまだ来ていないのか?」
「まあ、神色の龍騎士団は魔王城から遠いからな。」
マオの疑問にツルギが答えた。好都合といえば好都合だけどな。
俺達は早速、真正面から魔王城に突入する。魔王城は、ザ・魔王というような禍々しい雰囲気に包まれている。
俺達はただただ長い階段を登っていった。ちなみに先頭はマオだ。一番魔王城の構造を知っているからな。
「よく来たな!!俺様は四天王補佐の黒騎士、タラント・ドルガ…」
「じゃまだ。」
突如横から登場した黒騎士の顎をマオがアッパーのように蹴り飛ばす。名前ぐらい聞いてやれよ。
蹴られた黒騎士は階段をごろごろと転がり落ちていく。御愁傷様です。
「甘い!!今のは、偽物だ!俺様は四天王補佐の黒騎士、タラン…」
「うるせえよ。」
逆側から斬りかかる黒騎士の顔をマオが容赦なくぶん殴る。
そいつもさっきの偽物と同じ運命を辿ったようだ。ざまぁ。
そんなどうでもいいことを挟みながら王座の間にたどり着く。
「やっと来ましたか…元魔王サクラ。魔王は僕に引き継がれています。仕事は残っていないですよ?」
王座にはスーツにメガネのビジネスマン風な銀髪男が居た。
「能書きはいい。さっさとぶん殴らせろ、カリス・アルガード。」
「おっと、僕は暴力を好みません。穏便に解決しましょうよ。」
マオの言動にカリスは苦笑いする。
「暴力を好まない?人間の虐殺は暴力に含まれないのか?」
「ええ。それは僕の計画に必要なことでした。そして、貴方が死ぬことも。」
「今の我は貴方ではなく貴女なのだがな。」
「うるさいですよ。メッゾ、ピアノ、フォルテ!魔力供給を!」
カリスの命令に執事と二人のメイドが主に魔力を送り始める。
やらせるか!ゲート!その身は…
「お前はそこで座っていなさい!」
ビシッ!
痛っ!?なんだ?
頭に何か石の様なものをつけられた。外れないようだ。これは……?
「召喚無効石だ。しばらく傍観していろ。」
マオに戦力外通告されてしまった。そんなに言うなら見てるだけにするよぉ!
「さて、邪魔が入りましたが……まずは元魔王サクラ、『跪いてください』。」
その魔力がこもった言葉にマオはなすすべ無く跪いてしまう。
あれ?やばくね?
「あらら、思ったより早かったようです。もっと対策を用意していたのですけれど。」
カリスはゆっくりとマオに近づいていく。
マオの目の前まで来ると、カリスはマオの頭を思いきり踏みつけた。
あまりの激痛にマオが悲鳴を上げる……筈だった。
マオの体はホログラムのように実体がなかったのだ。
「な、どうして!?このっ、このっ!」
カリスは何度も踏みつけるが、結果は変わらない。
そのカリスが、突然何かに首根っこを掴まれた。それは、跪いた筈のマオだった。
「い、いつからそこに!?」
「さあ、いつからだろうな。案外ずっとここにいたのかもしれないな。」
「…まさか、黒魔法で自分の存在の認識をずらしていたのですか!?」
「逆に聞くが、どうして姿を見せなければ行けないんだ?そんなルールなどない。」
カリスはもがくが、マオは一向に放す気は無い。
「くっ!『放しなさい』!」
「『断る』。」
魔力をこめた言葉もすぐに無効化される。
「そもそも、二、三人をかき集めたところで我に魔力量で勝てるわけがなかろう。お前の敗因は敵の戦力を見誤ったことだ。」
「クソッ!僕を殺すんですか?」
「ただ殺す気は無い。お前には転生してもらう…ニッポンにな。」
「ニッ…ポン?」
「ニッポンは厳しいぞ。全員が対等に扱われるから、色々学ぶことがあるだろう。」
「ちょっ、まっ!」
「じゃあな。再び会えるとき、立派な家臣になっていることを願う。」
そう言うとマオは何かの呪文を言ってカリスを消滅させた。
「で、残ったメイド達はどうするんだ、マオ?」
怯えているメイド二人を庇うように執事が立った。
「全ての責任は、このメッゾにございます。この二人は命令に動かされただけです。罰なら、私一人に。」
「いや、いい。その忠誠心は他の所に活かすべきだ。今は人数が必要なのでな。」
その一言で三人はホッとしたような表情を見せた。
そんな三人を尻目にマオは招集をかける。
「作戦会議をするぞ。集まれ。」
マオを中心に全員が集まっていく。何だ何だ?
「これから始まる戦争は、できれば話し合いで終わらせたい。できなければ……敵のリーダーを人質にする。この戦争、一人も犠牲を出すな!」
了解。今回まったく出番が無かったので頑張りますよ。
あの一件から二日程経って、ようやく着いた魔王城である。
あたりは戦争もいざ知らずの静けさに包まれている。
「静かだな…。バカ共はまだ来ていないのか?」
「まあ、神色の龍騎士団は魔王城から遠いからな。」
マオの疑問にツルギが答えた。好都合といえば好都合だけどな。
俺達は早速、真正面から魔王城に突入する。魔王城は、ザ・魔王というような禍々しい雰囲気に包まれている。
俺達はただただ長い階段を登っていった。ちなみに先頭はマオだ。一番魔王城の構造を知っているからな。
「よく来たな!!俺様は四天王補佐の黒騎士、タラント・ドルガ…」
「じゃまだ。」
突如横から登場した黒騎士の顎をマオがアッパーのように蹴り飛ばす。名前ぐらい聞いてやれよ。
蹴られた黒騎士は階段をごろごろと転がり落ちていく。御愁傷様です。
「甘い!!今のは、偽物だ!俺様は四天王補佐の黒騎士、タラン…」
「うるせえよ。」
逆側から斬りかかる黒騎士の顔をマオが容赦なくぶん殴る。
そいつもさっきの偽物と同じ運命を辿ったようだ。ざまぁ。
そんなどうでもいいことを挟みながら王座の間にたどり着く。
「やっと来ましたか…元魔王サクラ。魔王は僕に引き継がれています。仕事は残っていないですよ?」
王座にはスーツにメガネのビジネスマン風な銀髪男が居た。
「能書きはいい。さっさとぶん殴らせろ、カリス・アルガード。」
「おっと、僕は暴力を好みません。穏便に解決しましょうよ。」
マオの言動にカリスは苦笑いする。
「暴力を好まない?人間の虐殺は暴力に含まれないのか?」
「ええ。それは僕の計画に必要なことでした。そして、貴方が死ぬことも。」
「今の我は貴方ではなく貴女なのだがな。」
「うるさいですよ。メッゾ、ピアノ、フォルテ!魔力供給を!」
カリスの命令に執事と二人のメイドが主に魔力を送り始める。
やらせるか!ゲート!その身は…
「お前はそこで座っていなさい!」
ビシッ!
痛っ!?なんだ?
頭に何か石の様なものをつけられた。外れないようだ。これは……?
「召喚無効石だ。しばらく傍観していろ。」
マオに戦力外通告されてしまった。そんなに言うなら見てるだけにするよぉ!
「さて、邪魔が入りましたが……まずは元魔王サクラ、『跪いてください』。」
その魔力がこもった言葉にマオはなすすべ無く跪いてしまう。
あれ?やばくね?
「あらら、思ったより早かったようです。もっと対策を用意していたのですけれど。」
カリスはゆっくりとマオに近づいていく。
マオの目の前まで来ると、カリスはマオの頭を思いきり踏みつけた。
あまりの激痛にマオが悲鳴を上げる……筈だった。
マオの体はホログラムのように実体がなかったのだ。
「な、どうして!?このっ、このっ!」
カリスは何度も踏みつけるが、結果は変わらない。
そのカリスが、突然何かに首根っこを掴まれた。それは、跪いた筈のマオだった。
「い、いつからそこに!?」
「さあ、いつからだろうな。案外ずっとここにいたのかもしれないな。」
「…まさか、黒魔法で自分の存在の認識をずらしていたのですか!?」
「逆に聞くが、どうして姿を見せなければ行けないんだ?そんなルールなどない。」
カリスはもがくが、マオは一向に放す気は無い。
「くっ!『放しなさい』!」
「『断る』。」
魔力をこめた言葉もすぐに無効化される。
「そもそも、二、三人をかき集めたところで我に魔力量で勝てるわけがなかろう。お前の敗因は敵の戦力を見誤ったことだ。」
「クソッ!僕を殺すんですか?」
「ただ殺す気は無い。お前には転生してもらう…ニッポンにな。」
「ニッ…ポン?」
「ニッポンは厳しいぞ。全員が対等に扱われるから、色々学ぶことがあるだろう。」
「ちょっ、まっ!」
「じゃあな。再び会えるとき、立派な家臣になっていることを願う。」
そう言うとマオは何かの呪文を言ってカリスを消滅させた。
「で、残ったメイド達はどうするんだ、マオ?」
怯えているメイド二人を庇うように執事が立った。
「全ての責任は、このメッゾにございます。この二人は命令に動かされただけです。罰なら、私一人に。」
「いや、いい。その忠誠心は他の所に活かすべきだ。今は人数が必要なのでな。」
その一言で三人はホッとしたような表情を見せた。
そんな三人を尻目にマオは招集をかける。
「作戦会議をするぞ。集まれ。」
マオを中心に全員が集まっていく。何だ何だ?
「これから始まる戦争は、できれば話し合いで終わらせたい。できなければ……敵のリーダーを人質にする。この戦争、一人も犠牲を出すな!」
了解。今回まったく出番が無かったので頑張りますよ。
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